子供達のインターネットの利用時間はどのようにやりくりされるのだろうか(2024年公開版)
学業に従事する時間が長い子供達においても、スマートフォンなどによるインターネットの各種サービスの利用時間の長さが問題視されている。勉強や睡眠時間を削ってまでスマートフォンに夢中になる姿は、保護者にとってよい状況とはいえまい。今回は総務省統計局の「令和3年社会生活基本調査」(※)の結果を用い、小中高校生のインターネットの利用時間とライフスタイルの関係を確認する。
次以降に示すのは就学学校種類別に見た、「スマートフォン・パソコンなど」の使用をした1日平均時間別の、週全体における生活時間の内情。平日だけでなく土日も合わせた平均値(平日5日分、土曜と日曜1日分を合算して7で割っている)であることに注意。
なお今件における「スマートフォン・パソコンなど」を使用した人=行動者とは、インターネット接続により得るサービスの使用を意味する。また、インターネットに接続して入手したアプリケーションや音楽の使用も含む。さらに学業や仕事での使用は該当しない(学業は「学校での使用」と限定されていないので、自宅で自発的に勉強目的のために情報検索をする場合も該当しない)。要はプライベートでのインターネットの使用である(生活時間の区分では「自由時間」に該当する)。
まずは小学生。
小学生で1日12時間以上もインターネットを使う人はごく少数のため、ぶれが生じている可能性はあるが、おおよそインターネットを使用する時間が長い人ほど「身の回りの用事、食事」「睡眠」「仕事・学業」時間が減り、その分「自由時間」が増えているのが分かる。特に「仕事・学業」「身の回りの用事、食事」の減り方が顕著で、勉強や掃除、食事などもそこそこに、スマホに充てている様子が分かる。
続いて中学生。
中学生では小学生以上に明確に「身の回りの用事、食事」「仕事・学業」の時間が減り、その分「自由時間」が増えている。女性の場合、1日12時間以上のインターネット使用は特異な例としても、6~12時間未満の人はまったく使用しない人と比べ、「仕事・学業」の時間が117分も少なくなっている。
最後は高校生。スマートフォンの多用による日常生活の乱れが大いに懸念されるお年頃ではある。
「自由時間」を増やすために削る対象が、男女間で大きく異なるのが注目に値する。男性は「仕事・学業」を大きく削り、次いで「睡眠」を削っている。他方女性は男性と比べると「仕事・学業」を削る時間は同じ程度だが、「睡眠」の削られ方がやや大きくなっている。男女間でスマートフォンの利用と天秤にかけて、何が後回しにされるのか、その対象が違っているのは興味深い。
今件は主要行動時間の平均値。ながら行動における副次行動は含まないため、どの属性でも多少の誤差はあれど原則として合計24時間となっている。土日も含めた週全体の平均値ではあるが、スマートフォンなどの利用でどこまで日常生活が圧迫されているのか、それがよく分かる結果には違いない。
もっとも当事者にとっては、スマートフォンなどによるさまざまなサービスの利用もまた、日常生活の一環に過ぎないという認識なのだろうが。
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※令和3年社会生活基本調査
国勢調査の調査区のうち、総務大臣の指定する約7600調査区に対して行われたもので、指定調査区から選定した約9万1000世帯に居住する10歳以上の世帯員約19万人を対象としている。ただし外国の外交団やその家族、外国の軍人やその関係者、自衛隊の営舎内や艦船内の居住者、刑務所などに収容されている人、社会福祉施設や病院、療養所に入所・入院している人は対象外。2021年10月20日現在の実情について回答してもらっているが、生活時間については2021年10月16日から10月24日までの9日間のうち、調査区ごとに指定した連続する2日間についての調査となる。調査方法は調査員による調査世帯への調査票配布と、調査員への提出あるいはインターネットでの回答による回収方式。
調査は5年おきに実施されており、過去の調査もほぼ同様の様式で行われている。
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