GMVは90兆円、中国の巨人アリババが年間業績を発表=「地方都市と海外」が次の成長スポットに
中国電子商取引(EC)大手アリババグループは2019年5月15日、2019年度(2018年4月1日から2019年3月31日)の業績を発表した。
2019年度の売上は3768億元(約6兆円)。前年比51%増を記録した。新規買収事業分を除いた既存事業では39%の成長となった。GMV(総取引額)は19%増の5兆7270億元(約91兆3000億円)、ドル換算で8530億ドルを記録している。2020年度には1兆ドルの大台という目標を掲げている。
GMVはアリババのプラットフォーム上で動いたお金の総額であり、売上とは異なるものだが、それにしても90兆円とは恐ろしい。創業者のジャック・マーは「2036年にアリババは米国、中国、欧州、日本に続く世界第5の経済体になる」と、大国レベルの経済力を身につけると豪語しているほどだ。また年間アクティブユーザーは前年比1億200万人増の6億5400万人。決済サービス利用者は10億人超(インドのPaytm、韓国のkakaopayなどローカルパートナーを含む)というユーザー数も膨大。ケタ違いの規模に改めて驚かされる。
2019年度のポイントは「地方都市と海外展開」とまとめられるだろうか。アリババの報告書によると、ECの成長ポイントとして「地方都市への浸透」を第一にあげている。中国のEC化率(小売総額に占めるネット販売額の比率)は19%と世界トップだが、地方市場を開拓することによって更なる成長を続けている。ネットに不慣れで、サイトを検索してショッピングなどはできないという人でも、動画を見ているだけで欲しい商品が見つかるライブコマースというサービスを広げるなど、さまざまな新機軸を導入している。
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また海外市場も重要な成長ポイントで、アリババグループが買収した東南アジアECプラットフォームのラザダ、中国製品を海外に販売するアリエクスプレスの年間アクティブユーザー数は合計で1億2000万人を突破したという。アリエクスプレスは今後、中国以外の商品を世界に販売するプラットフォームへと転身する方針で、さらに存在感が高まりそうだ。
前述の、「世界第5の経済体を目指す」というジャック・マーの発言は次のように続く。
「全世界で、1億人の雇用を生み出したい。20億人の消費者にサービスを提供したい。1000万社の中小企業が利益を得るプラットフォームになりたい」、と。