【横浜市青葉区】「100本のスプーン」シェフに衝撃を与えた「未利用魚」とは。10/2から全店で提供へ
2023年10月2日より、レストラン「100本のスプーン」全店で和歌山県すさみ町の「未利用魚」を使った注目の新メニューが登場予定です。
横浜市青葉区内商業施設「あざみ野ガーデンズ」内にある「100本のスプーンあざみ野ガーデンズ店」(外部サイトへ)(横浜市青葉区大場町)でもこの新メニューが並ぶ予定です。
その新メニューは「もったいないをおいしく食べる 和歌山県すさみ町産 白身魚のムニエル」、「魚介のフリットと食べるタルタルソース」、「和歌山県すさみ町産 白身魚のフライ」、というように、和歌山県すさみ町でとれる白身魚の未利用魚「シイラ」をメイン食材にした料理です。
今回の新メニュー開発は「100本のスプーン」×「すさみ町」×「クラダシ」の連携プロジェクトです。
本記事では「未利用魚」の説明と和歌山県すさみ町の漁業の現状、そして新メニューの試食レポートをお伝えします。
「クラダシ」は過去記事「【横浜市青葉区】楽しく、フードロス削減。家計にやさしい食料品店「クラダシ」5/26オープン予定。」にありますように、フードロス削減に取り組む会社です。
「100本のスプーン」のシェフに衝撃を与えた和歌山県すさみ町「シイラ」を使ったフレンチな3品を試食しました。
猛暑日が続く2023年8月上旬、東京メトロ有楽町線豊洲駅から徒歩約2分「アーバンドック ららぽーと豊洲 3」内にある「100本のスプーンTOYOSU」(東京都江東区豊洲2丁目)にて「100本のスプーン×クラダシ新メニューお披露目会」に参加しました。
新メニューの全店舗での展開に先駆けて、すでに2023年8月7日からは東急田園都市線・大井町線二子玉川駅から徒歩約5分「100本のスプーン FUTAKOTAMAGAWA」(東京都世田谷区玉川一丁目)と「100本のスプーン TOYOSU」の2店舗のみ先行して発売しています。
「未利用魚」って何ですか? 市場価値が付きにくい魚があります。
人口約3,700人の和歌山県すさみ町では「ケンケン漁」という伝統漁法でとれる「ケンケン鰹(かつお)」が有名です。
しかし、鰹漁の際にとれる鰹以外の魚は市場価値が低いため「未利用魚」となってしまうそう。これはフードロスの問題として深刻です。鰹漁で鰹を追いかけて、とれるシイラも「未利用魚」です。
このように未利用魚とは、「利用可能であるが、何らかの理由で利用されていない魚のこと」だそう。「世界の大半の地域では全漁獲量の約30%〜35%が廃棄されている」とのことです。
くせのない白身魚の「シイラ」はハワイでは「マヒマヒ」と呼ばれ、レストランでよく使われるお魚。日本では九州などでも食べられています。実は夏場は相模湾沖でも釣れます。
しかし東京近郊で流通する食材としては「マイナー」な存在かもしれません。
現地に足を運んだシェフの衝撃。「東京のレストランで戦える食材」
「すさみ町にはクラダシさんのお声がけで行ってみたのですが、現地で衝撃を受けました」というのは「100本のスプーン」の総料理長である高橋徹也さん(以下高橋シェフ)。
すさみ町のシイラに「東京のレストランで戦える食材」という可能性を感じたという高橋シェフ。
「料理の素材として申し分ない魅力を感じました。それなのに近隣の大都市の市場では十分な値段が付かない。結果として輸送費がかけられず、現地でしか消費されていない「もったいない」状況です」とのこと。
ちなみに地元の方はお刺し身やカレー味のフライにして食べていると教えてくれました。
見た目が怖くて人気がない?! レストランで調理するために必要なこととは。
「シイラは見た目も怖いから人気がないですよね。なにしろ皮も緑ですし」と高橋シェフ。
なるほど、ちょっと怖い「見た目」かもしれません。
気さくなお人柄の高橋シェフ、なんと、シイラを現地で調理、関係者にふるまったそう。
そしてレストランで使えるようにする処理方法を打ち合わせしました。高橋シェフによると「シイラはなるべく早く皮や腎臓などの内臓を取り除く必要がある。」とのこと。その処理をしてから、現地で冷凍したものを仕入れています。
和歌山県すさみ町の白身魚「シイラ」を実際に食べてみた。「100本のスプーン」×「すさみ町」×「クラダシ」の連携による「未利用魚」シイラを活用した新メニュー。
新メニューをハーフポーション(※実際にレストランで提供されるのはフルサイズのみ)でご提供いただき、試食しました。
「もったいないをおいしく食べる」和歌山県すさみ町産 白身魚のムニエル
しっとり焼き上げたシイラに、ミントが香る爽やかなラヴィゴットソースを合わせています。
香味野菜に酢やオイルを合わせたラヴィゴットソースは魚料理に使われるフレンチのソースだそう。
スパイスも強いものはなく、どなたにも好まれそうな優しい味わいです。
肉厚な存在感とボリューム感におどろきます。これは「シイラ」ならではと言えそう。食べごたえある一品です。
高橋シェフは「ペアリングするのなら、白ワインが相性がいいです。」とにっこり。
「魚介のフリットと食べるタルタルソース」
1品目に提供されたムニエルと雰囲気が変わって、今度は「カジュアル」な仕立ての「魚介のフリットと食べるタルタルソース」。
「お好みの薬味を混ぜ合わせて自分だけのタルタルソースで魚介とポテトのフリットをお楽しみください」とのこと。
フリットはシイラのほかに、イカやエビも入って味の変化にワクワクできる、楽しい一品です。
子どもと一緒に手づかみで食べても楽しそう! ※16時からの販売となります。
「和歌山県すさみ町産 白身魚のフライ」
ぜいたくに分厚くカットされたシイラ、柔らかくサクっとした香草パン粉による軽やかな食感です。
そして香草パン粉の中の柔らかな身は「ジューシィ!」と声に出てしまうほどしっとり感があります。
「なんでこんなにジューシィなんですか?」と高橋シェフに質問したところ
「なにもしていません(キッパリ)」とのこと。つまり素材の良さから、だそうです。
自家製タルタルソースを付けながら味わいます。
ちなみにシイラの骨抜きはレストランで行っているそうです。子どもからシニアまで安心して食べられる一皿にはレストランの丁寧な仕事が詰まっています。
「100本のスプーン」では今回の未利用魚の活用だけでなく、鹿児島県産黒毛和牛のレストランで活用されない部位を現地でビーフジャーキーに加工してもらい、メニューに取り入れるなど、「フードロス削減」を以前から実践しています。
漁船で見た「本物の体験」から伝えたい「無駄にしたくない」気持ち。
2022年にインターンシップ「クラダシチャレンジ」として「すさみ町」と繋がってきた「クラダシ」さん。5名の大学生がすさみ町に滞在し「ケンケン漁」や「スルメイカ漁」を体験しました。
今回「すさみ町」との「未利用魚」の取り組みを解説してくれたクラダシ広報小平さんはなんと! 実際に漁船に乗ったそう。
「船の上で命を奪われていく魚の姿を目の当たりにして、魚の生命を大事にしたい。無駄にしたくないという強い気持ちが込み上げてきました」と体験を語ってくれました。
そして、漁船に必要な燃料費の高騰など、「ときには船を出すことを諦めてしまうこともある」という、漁業関係者を取り巻く厳しい状況を伝えてくれました。
今回のようにシイラが「東京で流通される」というのは漁業従事者のモチベーションアップに繋がっているそう。
クラダシでは「これからも日本全国の地域経済の活性化や特産品の魅力発信を実現したい」として2023年後半も和歌山県のほか島根県益田市での梨の収穫、京都府での丹波栗収穫、北海道仁木町でのワイン用ブドウの収穫を予定しているとのことです。
離乳食も用意「100本のスプーン」
おしゃれなレストラン「100本のスプーン」は実はとても子どもに優しいお店。離乳食も用意されています。
幼児からシニアまで、安心して食事をできるお店なので、筆者は家族のイベント時にも「100本のスプーンあざみ野ガーデンズ店」を利用しています。
小さな子どもがいると、泣き声に気を使い、レストランの利用を控えてしまうこともあるかもしれません。でも、ときには子連れでも不安がないお店でお食事をしてみてはいかがでしょうか。
美味しくて美しい一皿は体にも心にも栄養になりそうです。
100本のスプーン料理長高橋様、クラダシのみなさまありがとうございました。
※試食した写真のサイズはハーフサイズとなっています。実際に販売されるシイラのメニューはフルサイズのみになります。※記事中の料理は「100本のスプーン×クラダシ試食会」としてご提供いただいたものです。
店舗名:「100本のスプーンあざみ野ガーデンズ店」※すさみ町「シイラ」を使ったメニューは2023年10月2日より販売予定。
Retty公式:100本のスプーン あざみ野ガーデンズ店
住所:神奈川県横浜市青葉区大場町704-60あざみ野ガーデンズ内
電話:045-904-1007
営業時間:月~金 11:00 ~ 20:30 (ラストオーダー 19:30)
:土日・祝 11:00 ~ 21:00 (ラストオーダー 20:00)
※貸し切り利用予約が入る場合があります。最新情報は店舗にご確認ください。
施設:駐車場あり・オープンテラスあり・ペット可・授乳室あり・完全禁煙
ジャンル :洋食レストラン
支払い方法:現金・クレジットカード
アクセス:東急田園都市線「あざみ野」駅より、「すすき野団地」または「虹ヶ丘営業所」行バスにて「大場町」下車徒歩1分。
「あざみ野」駅から1,741m