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歴史に残るあの「死闘」から24年。ウッズが再びバルハラの全米プロにやってきた! #ゴルフ

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
(写真:ロイター/アフロ)

今季2つ目のメジャー大会、全米プロゴルフ選手権は、米ケンタッキー州のバルハラCCで今週16日に開幕する。

すでに多くの選手が次々に会場入りして練習ラウンドを開始しているが、その中でも一番乗りに近いタイミングでバルハラに乗り込んだのは、メジャー15勝の王者タイガー・ウッズだった。

米スポーツイラストレイテッドによると、ウッズは12日の日曜日にフロント9を単独でラウンド。翌日の月曜日にはバック9を、やはり単独で回ったという。メジャー大会でウッズが1人で練習ラウンドを行なうことは珍しく、そこに並々ならぬ意気込みが感じられる。

なぜ、それほど気合いが入っているのか?その答えは、バルハラがウッズにとって非常に思い出深い特別な場所だからに違いない。

今から24年前。2000年の全米プロの舞台はバルハラだった。その年、ペブルビーチで開催された全米オープンを圧勝し、セント・アンドリュースで開催された全英オープンでも勝利したウッズは、当時は8月に行なわれていた全米プロでも勝利を挙げるべく、バルハラにやってきた。

バルハラでも勝利し、翌年4月のマスターズでも優勝すれば、カレンダーイヤーをまたいでメジャー4大会すべてを制する「タイガースラムが達成される!」と、当時のゴルフ界は全米プロが始まる前から、そんな期待を膨らませていた。

当時はウッズの黄金時代。期待に応えるかのように見事なゴルフを披露して大観衆を狂喜させていたウッズだったが、その前に立ちはだかったのは、PGAツアーで1勝も挙げたことがなく、「無名」に近い存在だったボブ・メイだった。

ウッズとメイは最終日をともに回り、終盤はメイが優勢となって、ファンもゴルフ界全体も「まさか、タイガーが負けるのか?」と不安さえ感じながら2人の一挙手一投足を祈るように見守っていた。

ウッズは72ホール目で、なんとか3ホールのプレーオフへ持ち込み、最終的にワナメイカー・トロフィーを掲げたのは、やっぱりウッズだった。

だが、光り輝いていた最強の王者ウッズをぎりぎりまで追い込み、激戦に持ち込んだのは、当時では唯一、メイだけだった。

そんな「バルハラの死闘」は、あれから24年が経過した今でも、古くからのゴルフファンの脳裏に焼き付いていることだろう。

ウッズにとっても、あらゆる面で「格下」のメイから文字通りの苦戦を強いられたあの戦いは、忘れがたき思い出に違いない。

そして、ウッズの記憶の中には、あのときのバルハラの18ホールもしっかり残されているはずだが、あれから四半世紀近い歳月が流れた今では、ウッズが変わっているように、バルハラも変わっている。

その変化を自分の目で確認し、24年前と今を比較して今年のコース攻略を練ることが、ウッズが早々とバルハラ入りした何よりの目的なのだと私は思う。

24年ぶりのバルハラとはいえ、ウッズは感傷に浸るのではなく、出場する以上は勝利を目指すはずである。プレーヤーとして、戦士としてのウッズのポリシーは、何年経とうとも、変わることはない。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、長崎放送などでネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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