Zoom飲みってどうやるの?メリット、デメリットから、安全に配慮した開催方法までを解説
2020年4月7日、新型コロナウイルス対策特別措置法(正式名称:新型インフルエンザ等対策特別措置法)に基づく「緊急事態宣言」が発出され、5月6日までの1か月間、対象区域での人と人との接触を7割~8割削減するよう国民に呼びかけられた。
そして、「緊急事態宣言」が出された初めての週末、人の行動にも変化が起きていた。自宅に居ながら友人と飲み会をする「Zoom飲み」を開催する人が急増している。
■Zoom飲みって何?
オンラインビデオ会議サービスである「Zoom」を利用して、飲み会をすること。もともと在宅勤務者が多かったIT業界等では時折「Zoom」のようなビデオ会議サービスを利用して「オンライン飲み会」をするという人達は少数ながら存在していたが、話のネタ的な側面が強く、遠隔地で勤務している者同士等特殊な条件で飲み会を開催するというような必然性の有るケースを除いては、「そこまでしなくても」と思われることの方が多く、存在は知っていても「実際にやってみた」人は多くは無かった。
しかし、新型コロナウィルスの状況が悪化するにつれ外出を控えるようになり、人と会話する機会が激減したことで、人と会話出来ないストレスを和らげるために、多くの人が「Zoom飲み」を開催するようになっている。そして、いざやってみると「結構楽しい」「リアル飲み会より良いかも?」と感じる人も増え、時にはTwitterのトレンドに上がって来ることもあるくらい「Zoom飲み」が急速にブームになりつつある。
Twitterで「Zoom飲み」で検索してみると、世代、年齢に関係なく楽しまれていることがわかる。
■Zoom飲みのメリット
筆者の周辺やSNS上での「Zoom飲み」に関する感想を見ていると以下のようなメリットが有ることがわかった。
・リアル飲み会だと大人数居ても少人数の会話になりがち。しかし、Zoomだと常に全員で会話出来る。
Zoomでは基本的に参加者全員の会話が全員に共有される。そのためリアル飲み会では20人の参加者が居ても会話出来るのは同じテーブルの数名のみ。しかし、Zoomなら20人参加していれば、20人が均等に発言する機会も有るし、会話も共有される。これは多くの人が挙げているZoom飲みの利点だ。
・家族が居ても参加出来る。むしろ家族やペットが乱入すると盛り上がる
自宅から参加している人が多いので「Zoom飲み」の最中に家族やペットが画面に映り込むというハプニングが多々報告されている。しかし、それがNGかというとそうではなく、こういったハプニングを経験した参加者達は「友達の猫が写ったから、私の猫も連れてきたら、ペットの見せあいになった」とか「子供がダンス初めて、場が和んだ」とか、リアル飲み会ではまず起こりそうにないハプニングを楽しんでいるようだ。
・移動の時間が無い。終電を気にする必要もなくなった
「飲み会会場」に行くまでの移動時間も、帰宅する時間も不要。オンラインサービスなので当たり前のことではあるが、このお陰で子供を寝かしつけた夜22時から「Zoom会」に参加するということも手軽に出来る。そして、二時間会話して深夜の0時に会が終了しても終電を気にする必要が無いし、移動時間も無いのですぐに眠りにつくことも出来る。「子供が居るんで夜遅くまで飲めない…」と悩んでいたような人でも「Zoom飲み」なら参加することが出来るのだ。
・セクハラリスクが少なく女性も安心して参加出来る
Zoomでは身体に接触されるリスクが無いので、女性がセクハラの被害に合うリスクを抑えることが出来る。前述したように会話は全員に聞かれるため、猥褻な話をされるリスクもリアル飲み会よりも少なくなる。そのため女性も安心して参加出来るという声も多い。
また、リアル飲み会は自粛されているが、季節的には新人歓迎会の季節である。こういった場では飲みすぎる人も多いと思うが、Zoom飲みなら泥酔したとしても自宅。財布を落とすことも無ければ、猥褻な被害に合うことも無い。安心して参加することが出来る。
■Zoom飲みの課題
概ね好意的な意見の多い「Zoom飲み」だが、こんな意見もある。
・トイレに行きづらい
人によるとは思うが、全員で会話している雰囲気が強いZoomだけに特に少人数で会話している場合等は「トイレに行く」ことに気を使ってしまう人もいるようだ。そういった時にはZoomのチャット等で「ちょっと席外します」とコメントを入れたり、トイレの音が気になるから行けないという場合には「ミュート機能」をオンにすることで、音が聞こえなくすることが出来る。
・自分の部屋を見られたくない
女性等の場合、自分の部屋を見られたくないと考える人も居るようだ。こういった場合には、「バーチャル背景」を有効化することで部屋を見せなくすることが出来るようになる。パソコンであれば以下の手順でバーチャル背景を有効化出来る。バーチャル背景を有効化すると人の顔と背景画像が合成されて表示されるため、部屋を隠すことが出来る。
1) Zoomアプリを起動し右上にある歯車アイコンをクリックし、Zoomの設定画面を起動する。
2) バーチャル背景をクリック
3) 好きな背景をクリックする
・発言していたのが誰だか分かりづらい
知人同士の「Zoom飲み」なら問題になることは無いが、今はSNS等で「Zoom飲み」を宣言して不特定多数の人が広く緩く会話するようなケースも多く見られ、このようなケースでは「Zoom飲み」が終わったあとで「あれ誰だっけ?」となることも少なくない。
こういった不特定多数の「Zoom飲み」の場合は、チャットに簡単に自己紹介を投稿したり、以下の設定で参加者の名前を常に表示することが出来る。
1) Zoomアプリを起動し右上にある歯車アイコンをクリックし、Zoomの設定画面を起動する。
2) ビデオをクリック
3) 「ビデオに参加者の名前を常に表示する」にチェックを入れる
・メイクするのがめんどくさい
せっかく家から参加出来るのに、メイクするのがめんどくさい…女性に多いこんな悩みも、Zoomの外見補正機能を使えば「美肌」にしてくれる。以下の設定で外見補正機能を有効化出来る。
1) Zoomアプリを起動し右上にある歯車アイコンをクリックし、Zoomの設定画面を起動する。
2) ビデオをクリック
3) 「外見を補正する」にチェックを入れる
■「Zoom飲み」を安全に開催するために
一度やってみると思った以上に楽しい「Zoom飲み」だが、「Zoom」のようなクラウドサービスの利用の原則は「責任共有モデル」であり、「Zoom」に全てのセキュリテイを担保させるのではなく、利用者もセキュリティに配慮したうえで利用するというのが基本的な考え方である。Zoomを利用するうえでのリスクと、安全に利用するためのポイントを記載したい。
・「Zoom飲み」利用上のリスクを理解する
A) Zoomのアプリは最新のバージョンを使用する
Zoomに限ったことでは無いが、プログラムには必ず不具合が存在するため、常に最新のバージョンを使用することを推奨する。
Zoomのバージョンアップ方法は以下のメーカ公式サイトから確認出来る。
B) 「Zoom飲み」のURLや会議番号を他人に知られると、他人に参加されるリスクがある
主催者がZoomで会議を作成すると、参加者に告知するために参加用のURLと会議用の番号が生成される。この告知用の文章にはURLや会議番号、参加用パスワード等も含まれているため、告知する際は、TwitterならDM、Facebookならメッセンジャーを利用する等の工夫をして「参加者だけに知らせる」ことを推奨する。
この参加用の文章をSNS等に公開し、他人が乱入する「Zoom爆弾」という「荒らし」が問題として指摘されている。
C) 機密事項は話さない
「Zoom飲み」の内容は主催者や参加者に録画や画面キャプチャを取得される可能性があるため、業務上の機密事項等は話さないようにしよう。
D) 機密事項を画面共有しない
上記と同様だが、Zoomには画面共有機能というものがあり、参加者のパソコンの画面等を共有することが出来る。写真を共有するつもりが、誤って作成中の資料等を共有してしまうリスクがある。「Zoom飲み」に参加する際には予めパソコンから会社の資料作成中のプロセスがあれば終了してから参加するようにしよう。
E) 録画内容や画面キャプチャを許可なくSNS等に共有しない
気心知れた仲間内の会話とはいえ、許可なくSNSに録画内容や画面キャプチャを公開することは控えた方が良いだろう。
■オンライン飲み会やランチに補助金を負担する企業も
Zoom等のビデオ会議サービスを利用して「オンライン飲み会」や「ランチ」を開催する社員に補助金を出す企業も現れている。在宅勤務によって社員間のコミュケーションが希薄になるリスクを、オンライン飲み会で軽減する期待がある。
・グリー
毎月1回、1人3000円を上限に飲み物やつまみの購入にかかった費用を申請できる。
・バリュークリエーション
各社員が使用した飲食店の持ち帰り商品や宅配の代金を補助する。領収書の提出を求め、月8000円を上限に支給する。
■ITを上手く活用して、困難な時期を乗り越えよう
仰々しく書いてしまったが、SNSを利用するのと同程度の一般常識で利用すれば、安全に「Zoom飲み」を楽しむことが出来る。「緊急事態宣言」という誰も経験したことのない困難な時期を迎え、不安に感じている人は少なくないだろう。筆者の周囲にも飲食業等を営んでいて、職業を変えるべきか悩んでいる人も居る。そんな不安を抱え、外出することも出来ず孤独に悩んでいるよりも、誰かと話すだけで気が楽になることもある。
是非「馴染みの店に出前を頼みながら、Zoom飲み」を試して欲しいと思う。