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日本のキャッシュレス決済比率が67%と2021年の32.5%から倍返しとなるカラクリ

久保田博幸金融アナリスト
(写真:アフロ)

 経済産業省は、キャッシュレス決済比率を2025年までに4割程度、将来的には世界最高水準の80%まで上昇させることを目指し、キャッシュレス決済の推進に取り組んでいる。この目標の実現に向け、キャッシュレス決済比率を定期的に算出・公表することとした。

 2021年のキャッシュレス決済比率は、32.5%となったと経済産業省のサイトにある。

「2021年のキャッシュレス決済比率を算出しました」経済産業省

https://www.meti.go.jp/press/2022/06/20220601002/20220601002.html

 主要各国では40%~60%台となっていることで、経済産業省は、キャッシュレス決済比率を2025年までに4割程度に引き上げるとしている。

 しかし、政府は国のキャッシュレス決済比率の算出式を新たに策定するとした。

 これまで民間最終消費支出(持ち家の帰属家賃除く)を分母として、クレジットカード決済、デビットカードが決済、電子マネー決済、QRコード決済の合計を分子として、日本のキャッシュレス決済を算出していた。

 ただし、これでは本当の意味での日本のキャッシュレス決済の姿は見えてこない。

 21日付の日本経済新聞によると、キャッシュレスの決済方法や用途が広がってきたことから、より実体に合う算出法を検討してきた。その結果、これまで算入していなかった口座振替やプリペイントカード決済額を含めて計算するそうである。

 いやいや、キャッシュレスの決済方法や用途が広がってきたことからではなく、ずっと以前から口座振替やプリペイントカードは使われてきたはずである。

 そもそもそれらを算入せず、中国のQRコード決済、韓国のデビットカード決済、スウェーデンの電子決済などを念頭に、日本でもその比率を高めようとしたところに問題はなかったか。

 キャッシュレスの利用状況は国によって大きく異なる。紙幣への信頼度、銀行口座の利用度、自然災害の多さなどなどによっても異なってくる。

 日本は決してキャッシュレスの後進国などではない。紙幣への信頼度や利用しやすさもあり、現金保有の比率は高い面はあっても、実感としてキャッシュレスの利用は決して見劣りはしないはず。

 ということで、銀行振り込みや口座振替を含めると、月々に占めるキャッシュレス決済比率は67%となるそうである。確かに実感とすればこの程度はあってしかるべきだと思う。

 ただ、キャッシュレス決済比率を2025年までに4割程度にするという現行目標は変えずに、2025年以降の目標を定める際に活用する方針だそうである。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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