【天理市】「古墳もらっちゃいました」から始まったプロジェクトで「古墳に古民家宿を作っちゃいました!」
天理市萱生町には、戦国時代の動乱を受け、自衛の手段として集落に濠を設けた環濠集落が広がります。
環濠集落のすぐそばに、西山塚古墳があります。全国に約16万基ある古墳は、コンビニと同じ数。宮内庁などが管理しているのは一部で、そのほとんどが私有地です。推古天皇の祖母の墓との説がある西山塚古墳の麓には、100年以上の歴史を持つ古民家がありましたが、長い間手入れがされず荒れ放題で近隣の方々も管理に困っていました。
そこで、白羽の矢が立ったのが、地元で里山のアトリエ「里山文庫」を運営する前田さん。前田さんは、世界を旅するように暮らしながら植物民族学の研究を続けてきました。イギリスの秘境専門旅行会社を経て、フードツーリズムを専門とする旅行会社を設立。人々の暮らしや里山の風景を感じられる「生きた観光地」として海外の観光客からも人気の「山の辺の道」の魅力を伝えるツアーを企画したことがきっかけで、天理市に移住しました。
Do It Together (DIT)で取り組む新しいスタイルの宿づくり
地域住民から相談を受けた前田さんは、地元の人々と共に家の清掃や草刈りを行い整備し、集まったメンバーで「合同会社cofunia」を設立。この場所を活用する方法として「古民家宿を作る」本格的なプロジェクトが始動しました。主導するのは、みんなでつくろう(Do it together)をテーマに、地域を巻き込んだものづくりに取り組む「TEAMクラプトン」プロジェクトには地域のコミュニティーと共に、全国から約80名のメンバーが参加しています。なかには、南米やヨーロッパなど海外からのメンバーも。リノベーション期間中、遠方からの参加者はシェアハウスで生活しながら活動しました。
参加者は図面を描くところから関わり、それぞれのアイデアも取り入て試行錯誤しながら、わきあいあいとリノベーションは進みました。
10月1日にプレオープンした『cofunia コフニア』
まだ外構など未完成な部分もありますが、春のグランドオープンに向けて、着々と最終工事は進んでいます。
母屋「火の棟」は、この宿の核となるレストラン&レセプションルームとしてリノベーション。
裏庭では、古民家で使われていた瓦屋根を利用したハーブガーデンを製作中です。
古民家の装いを残した木の温もりが感じられる内装は、備えられた木製の家具で、よりいっそうほっとする空間となっています。
かつてのかまどの形を模したキッチン。食材や草花がセンス良くディスプレイされ、モダンなキッチンに様変わり。
宿では地元の新鮮な食材を使った身体に優しいメニューが提供されます。メニューのコンセプトは「料理を通じて五感を刺激し、心身を癒す。」現在、夜に提供する特別な「薬膳鍋セット」を準備中。これからの寒い季節に嬉しい身体の芯からポカポカ温まるお鍋です。
中庭では、前方後円墳を模ったスパイラルガーデンを製作中です。
部屋のご紹介
古代の思想「陰陽五行」の「木・火・土・金・水」それぞれ異なるコンセプトをもつ4つの部屋があります。(「火」はキッチンがある母屋)
こがね(金の棟)
青い壁に真鍮製のオリジナルライトが映えます。古民家でありながら内装は洋風で、気品漂う空間です。
みず(水の棟)
童心に返り、冒険心を呼び覚ますロフトとツリーハウスがあるお部屋。
はしごで2階に登ると寝室があります。
ツリーハウス風の小屋があり、屋内でありながらワクワク楽しめます。
つち(土の棟)
洞窟の中にいるようなリビングは、夏はひんやりと涼しい空間。内装は実際に古墳の土を混ぜて作られているそうです。
光が差し込む階段を登ると、墳丘が目の前に広がる景色を眺めることができる温かな雰囲気の寝室があります。
浴室には前方後円墳をかたどった浴槽があり、よりいっそう古墳を強くイメージしたお部屋となっています。
き(木の棟)
入り口には、古民家で使われていたお菓子の器の表面を削って作られたセンスの良いランプ。
木をふんだんに使用した山小屋風のお部屋の窓越しに、環濠集落の景色が眺められます。
階段を上がる吹き抜けスペースにある現代風にリメイクされたランプシェードも、懐かしさとセンスの良さが感じられます。
2階は最大4名が宿泊することができるこの宿で1番広い寝室です。
西山塚古墳に登ってみました!
宿の裏の古代の要人が眠る西山塚古墳に恐縮しながら登ってみると、奈良盆地が見渡せる絶景が広がります!この日はあいにくの曇り空でしたが、晴れた日は素晴らしい夕日が鑑賞できるそうです。絶景を眺めながらピクニックが出来る広場も整備され、宿ではピクニックセットの貸し出しもされます。
期間限定価格で試泊できます!
今なら12月28日までの期間限定で、特別価格で『cofunia コフニア』に宿泊出来ます!ぜひこの機会に「古墳の麓に宿泊する体験」をしてみませんか?(対象外の日程もあり)
ランチメニューが始まりました
11月の週末限定で、身体に優しい「発酵旬菜おばんざいランチプレート」が提供されます。各日10食限定の予約制です。詳細は『cofunia コフニア』インスタグラムでご確認ください。
春には外部からお店を募り、月替わりにお店を変えてお店独自のランチを提供することも計画中です。実際に山の辺の道を散策してみてみると、ゆっくりと休憩できるお店が少ない印象でした。山の辺の道の散策と共に、『cofunia コフニア』でランチを味わう楽しみができますね。
人々が関わっていく土壌づくりとしての宿
「『cofunia コフニア』は単なる入り口にすぎない」とおっしゃる前田さん。もともとは旅行会社などでプランナーをしていたこともあり、「たくさんの人がプロジェクトに関わり、ここから様々な企画が生まれ、人々が楽しく活動しながらつながりが広がっていくことが最大の目的です。」とのこと。
「古墳もらっちゃいました」から始まったその先にあったのは、人と人との温かな関わりを育むプロジェクト。
今回取材させていただいた『cofunia コフニア』は、プロジェクトメンバーの思いが詰まった、独創的で他にはない魅力的なお部屋ばかり!部屋に入るだけでも古墳に見守られている不思議な感覚があり、神秘的な気分になりました。私もぜひ一度、古代の息吹が感じられる古墳の麓の古民家宿に宿泊してみたいと思いました!
『cofunia コフニア』
住所:天理市萱生町1021
TEL:0743-20-6393
予約メールアドレス:reservation@cofunia.co.jp
駐車場:有り(無料)
アクセス:(車) 名阪国道から天理東インターより南へ約7km 約10分
(電車) JR「長柄」駅下車 徒歩25分(タクシー 7分)
※時間帯により、JR長柄駅より予約送迎あり
(バス) 近鉄天理駅下車 奈良交通バス ①のりば桜井駅北口行き「成願寺」駅下車 徒歩10分
チェックイン:16:00~21:00
チェックアウト:10:00