27日の金融市場での動揺は、石破ショックではなく高市敗北ショック
9月27日の東京株式市場では、米ハイテク株高や円安を好感して買いが先行し、心理的節目となる39000円を一時上回ったその後、戻り売りに押される場面もあったが、自民党総裁選で高市氏と石破氏で決選投票となった。高市有利ではないかとの観測も強まり、を受けてドル円は146円台と円安が進行し、日経平均も再び上げ幅を拡大させた。日経平均の引けは903円高となった。
27日の債券先物は25銭高の145円15銭で寄り付いた。自民党総裁選を控え、日銀の利上げに批判的な立場の高市早苗氏が優位にあるとの思惑から、現物債は中期ゾーン主体に買われ、財政拡大も意識されてか超長期債は売られた。
債券先物も買いが先行したが、高市氏が勝利すれば日銀が追加利上げに動きにくくなるとの見方も。しかし、安倍氏ほどの影響力は持っておらず、それには懐疑的な見方も。また自民党総裁選の行方も不透明感が強く、その後の債券先物は145円22銭を高値に上値が重くなり、145円ちょうどまで下落した。しかし、自民党総裁選で高市氏と石破氏で決選投票となり、これを受けて債券先物はあらためて買い戻されて、145円37銭まで上昇し、引けは32銭高の145円22銭。10年債利回りは0.805%に低下した。
27日の15時時点では、高市氏が勝利するのではとの思惑から、円安株高、債券はまちまちという展開となった。いわば高市シフトといった格好となっていた。
ところが蓋を開けたら、石破氏の逆転勝利となったことでも、高市シフトが大きく崩れ、ナイトセションの日経平均先物は一時2500円以上もの下落となり、ドル円は142円台と急激な円高ドル安が進行した。債券先物もナイトセッションで一時70銭を超す下げとなった。
株価の下落は、石破氏が株式の売却益など金融所得課税の強化などを主張していたからとの見方があった。それは株安の説明になったとしても円高や債券安の理由とはならない。そうではなく、あまりに高市シフトとなってしまった反動によるものと見ざるを得ない。つまり、石破ショックではなく高市敗北ショックによる市場の変動であった。
それではこの一時的なショックが収まったあとはどうなるのか。
石破氏は岸田政権の経済政策を継承するとしており、衆院選なども控え、いきなり増税などへの動きには出ないと思われる。株価にとってはむしろ政治の不透明感の後退もあり、大きな売り要因とはならないのではなかろうか。
金融政策について、石破氏は金融緩和を継続との発言があった。政策金利が中立金利に届かない状態を緩和的というのであれば、今後、日銀は淡々と政策金利の調節、これは当面は引き上げとなるが、を行うと予想される。
ただし、次回利上げは衆院選もあり、10月は考えづらい。私は12月の金融政策決定会合での0.25%の利上げが決定されると予想している。