【橋本市(高野山エリア)】教育現場での動物飼育のメリット。「ウズラ」がいい? 小学生ウズラー増加中!
今年の3/24に筆者が配信した、以下の記事を読まれた小学校の先生から連絡があり、「ウズラの卵が欲しい、クラスで育てたい」とのことで、和歌山大学教育学部附属小学校の中谷栄作先生と、ウズラ飼育に詳しい橋本市隅田中学2年生 水口二胡さんが繋がりました。
3/24記事【橋本市(高野山エリア)】ヒメウズラを飼ってみたい人(ウズラ―仲間)募集します(リンクから飛べます)
読者の皆様の中には、小学校でハムスター、モルモット、ウサギ、カメ、金魚、メダカ、ザリガニなどを飼育していた経験のある方も多いのではないかと思います。
しかしながら現在では、全国的な統計はないそうなのですが、例えば隣の大阪府教育委員会の調査によると、ウサギやニワトリなどを飼育する小学校は全体でおよそ80%だった平成19年度から大きく減少し、令和4年度では20%あまりになっており、全国的に動物を飼育する学校は減ってきています。
「学校飼育動物」が減った理由として
・動物愛護の観点から学校での飼育は適していないという意見が出てきたこと
・動物アレルギーがあって飼育活動に関われない子どもに配慮する例が増えたこと
・疲弊した教育現場で教員の業務量を少しでも減らそうとして、動物飼育を縮小していること
などがあります。
そんな社会状況の変化の中で、
今あえてヒメウズラを飼育しはじめたその理由とは? そしてそのメリットとは?
今回ご連絡いただいた中谷先生は、今は和歌山市ですが、なんと橋本市の応其小学校・紀見小学校・あやの台小学校で長年勤務されたご経験があり、授業を受けたことのあるご家庭は多いはず。お子様で自らこの記事を見られる方はいないと思うので、先生と想い出のあるご家庭の方が記事を見て居られたら是非お子様にも先生の活躍をご紹介ください。和歌山市でクリエィティブな教育活動を実行中です!
中谷栄作先生 プロフィール
大阪教育大学卒業後、2009年から小学校教員として勤務。橋本市 応其小学校・紀見小学校・あやの台小学校で14年勤務しながらESD(持続可能な開発のための教育)を推進してきた。2023年度から和歌山大学教育学部附属小学校に異動し、総合的な学習の時間を中心に「子どもたちといっしょにみんなが本気になれる本物の学びの創造」を目指し、教育活動に取り組んでいる。
現在は和歌山大学教育学部附属小学校に勤務。
ヒメウズラ飼育のきっかけ(以降ヒメウズラのことを「ウズラ」と略します)
総合学習の授業時間として、子供たち自らが材料から作る「ピザ作り」を目指しており、その中でタマゴ成分の供給先として子ども達がウズラを選択。
※ウズラを選んだ理由は、ニワトリにつつかれたら怖くて痛そうだけれど、ウズラは小さいのでそんなに怖くないはず、という子ども達の意見から。
これによりウズラを市販の卵から育てるところから行うことになったが、先生と子ども達だけではうまく卵から孵化させられず、Yahoo!ニュースを見て「ウズラの飼育をやり直したい」ということで今回の連絡に至る。
そこで、ウズラの卵の提供のみならず、ウズラ飼育に詳しい中学生の水口二胡さんが和歌山市に出動して、急遽『ニコ先生の動物教室』を開催して、子ども達に実際に見て・触って・座学もあるイベントを特別プログラムとして開催しました。
イベント中の子ども達の様子は、動物を触っている時にテンション高く非常に喜んでました!
・さわれた!持てた!
・動物の正しい持ち方教えてもらった!
・トカゲを近くで見れた!
・動物と目があった!
たった一回のイベントですが、子供たちには非常に多くの学びと気付きがあった模様。
イベント後は教室の(既に孵化に成功した)ウズラを世話をしたい子どもが増えたり、休みの日は子供たちが自主的にホストになり自宅に持ち帰って預かり飼育したい人が増えたり、その結果ウズラ飼育にはまるご家庭も出てきたりと、教育学部附属小学校周辺ではウズラ―(ウズラ愛にあふれた人)が増えているそうです。
ウズラを飼育することによる変化や教育効果(まだ飼育期間は数か月間にもかかわらず)
・ウズラは人間を拒まないし、カメや金魚よりもリアクションが分かりやすいので子供たちが世話し甲斐がある。
・ウズラはニワトリより小さいので、ずっと教室で飼えるので、子供たちは最後まで観察しつづけること、世話しつづけることができる。
・子供たちが動物にしてあげられることはたくさんある。自分たちが「何かしたい」という潜在的なエネルギーを発散できる場になっていて、動物は愛情を込めればその分返してくれるのでやり甲斐につながる。
・教室のはじっこにウズラがいるだけで、みんながニコニコして見つめて、幸せを感じて、癒されている(飼育に関わっていない子も)
・みんなの居場所、そして自主的に責任もって行う役割(やりがい)が新しく増えた
・ウズラは授業中鳴くが、みんな慣れてしまって授業に影響はない
・お昼休みの過ごし方が、ドッジボールに行こう→ウズラを見よう、に変化
・ウズラが懐いた人はみんなのヒーロー!
・ウズラが自分の手からエサを食べてくれるようになった人はみんなのヒーロー!
※なお、この飼育プログラムは保護者の許可を得ての飼育であることと、感染症やアレルギー対応を配慮された上で実施されています。
結論:まだ気軽に飼育しやすいウズラだからこそ良く、そして教室でウズラがずっとそばにいるのが子ども達にとって良い刺激になっている
今回の中谷先生及び和歌山大学教育学部附属小学校では、受験には直接的に関係ない領域にもかかわらず、教育者側の負担の増加を理解した上で新たに取り組まれており、人として大事な部分の教育にも熱心で素晴らしい!。
先般記念館の開設された橋本の天才数学者「岡潔」が最重要視していた『情操教育』とは、今回のような教育プログラムが相当すると筆者は考えます。
今回お話に加えて、実際の現場の姿も拝見して、改めて学校教育の中で、動物飼育、特に室内動物飼育を通じて、子ども達に生き物と直接触れさせる場・学びの場を創ることの教育的効果は高いと感じました。
そして、橋本市は自然が豊かな方だとは思いますが、子ども達が生き物に触れる機会が少ないのは和歌山市と同じ、というかむしろ博物館系の施設がない分、和歌山市よりも触れる・学ぶ機会が少ないかもしれません。
学校での動物飼育も含めて、橋本市の周辺のせっかくの自然を活かした教育機会の創出が、感受性豊かで優しさを持った若者を育てることにつながるのではないか、とも思いました。
※読者の皆様へ
子どもから高齢者まで、何かに秀でた地域の埋もれてる人材がまだまだおられると思うので、それをただ発信するだけではなく、何かアクションを通じて地域に還元できればと思っています。他薦自薦問わず、是非ご一報下さい。記事化を検討致します。
連絡先:saikoro3+news@gmail.com (田中)