台湾を巡るアジアの地政学的リスクと金融市場
バイデン大統領が、初めての対面形式の会談相手として、菅首相を招いて行った日米首脳会談。共同声明では約半世紀ぶりに「台湾」を明記し、中国を強くけん制した。日米首脳の共同文書に「台湾」が明記されるのは、1969年の佐藤栄作首相とニクソン大統領以来、約半世紀ぶりとなる(日本テレビ)。
「台湾」を巡り、日米と中国が緊張状態となる可能性もあり、米中の覇権争いにあらためて日本も加わったような格好となる。今後は台湾を巡るアジアの地政学的リスクも金融市場では意識する必要があろう。
ロシアは、2025年に国際宇宙ステーション(ISS)プロジェクトから離脱すると、ボリソフ副首相が表明したとの報道も流れた。
米国とロシアの関係も次第に距離が出てきているように思われ、ロシアは中国とより接近しつつある。経済上での中国との関係が強くなっていた欧州もここにきて中国と距離を置こうとしている。
コロナ禍にあって政治のリスクよりも経済などへのリスクが注視されていたが、新型コロナウイルスのワクチン接種の拡大により今後、感染が沈静化に向かい、経済リスクは後退してくることが予想される。
その後は膨れ上がった各国政府の債務のリスクとともに、政治のリスクがあらためて浮上することも予想される。
バイデン大統領はアフガンからの米軍の完全撤退を表明したが、これについて、ブリンケン米国務長官は18日、アフガニスタンからの米軍撤退は中国や新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に資源を集中させるというバイデン政権の目標と一致するとの認識を示した(19日付ブルームバーグ)。
ブリンケン長官は対中関係のほか、気候変動や新型コロナへの対応など極めて重要な問題が他にあるとも指摘していたが、新型コロナへの対応が一段落すれば、より対中関係に目を向けてくる可能性がある。
金融市場では現状、それほどのリスクとしては認識していないかもしれないが、今後、台湾情勢が緊迫化した際などには、当然、日本にも大きな影響を与えることになり、その潜在的なリスクも意識しておく必要はあろう。