34年ぶりの円安となった理由
3月27日にドル円は一時、151円97銭と2022年10月に付けた151円94銭を超えて、1990年7月以来およそ34年ぶりの水準を付けてきた。
財務省と金融庁、日銀の3者は午後6時20分から国際金融資本市場に関する情報交換会合(3者会合)を開き、為替市場で円安が進んでいる点について、過度な変動は望ましくないとの認識を共有。3者会合を開くのは2023年5月以来となった。
どうして円安が進行しているのか。
大きな理由はふたつある。ひとつは米長期金利の高止まりである。
19日のFOMCでは、ドットチャートではFRB当局者19人中10人が年内に少なくとも計0.75%(0.25%三回分)の利下げを想定していることが示された。
年内利下げ観測はあるが、米長期金利は高止まりしている。物価指標そのものが思うようには減速してこないことがその要因となっている。
2月の米消費者物価指数は前年同月比3.2%の上昇となり1月の3.1%から伸びが加速していた。ガソリンや住居費の上昇が影響していた。インフレに一定の粘着性があることを示唆し、これを受けて利下げが後ずれする可能性も指摘されていた。
FRBのウォラー理事は27日、最近の経済データでは年内に予想される利下げを遅らせるか、利下げの回数を減らすことが裏付けられると強調し、金利引き下げを急ぐことはないとの認識を示していた。
円安となっていたもうひとつの理由が、日銀の金融政策にある。
3月19日に日銀は正常化に向けた一歩を踏み出した。これは大きな転換点との見方がある一方、普通の金融政策に戻しただけともいえる。
問題は物価動向に即して、金利を今後引き上げてくるのかどうかである。日銀としてはいろいろな配慮もあって、今後の利上げには慎重姿勢を示す必要もあったとみられる。そこを市場に突かれた格好となった。
日銀は利上げに慎重、FRBは利下げに慎重となれば、円買い・ドル売りのインセンティブが後退し、円売りドル買い要因となって、ドル円が34年ぶりの水準を付けてきたということになろう。
さすがに介入警戒もでており、このあたりからは当局の動向を睨みながらの神経戦となりそうである。