地震と大雪の複合災害
能登半島地震の被災地では雪が積もり始めています。地震で被災した建物に雪が積もってその重みによって家屋が倒壊したり、重心が高くなるためさらに揺れやすくなる可能性もあります。さらに大量降雪後に雨が降ると、積雪がスポンジのように水を含み、さらに重くなって、建物被害の危険性が高くなることも想定されます。また、雨漏り防止のために敷かれているブルーシートの上に積もる雪は滑りやすく落雪の危険性が高くなりますので、足元だけでなく、上方にも注意を払うことも大事かと思います。
写真のように新潟県内でも液状化によって道路が陥没・隆起して、舗装が剥がれたり、段差ができていますが、これらが雪の下に隠れてしまうことにより、除雪がスムーズに行われないこととも危惧されます。このような個所を車で通行したり歩行する場合はより、慎重に注意深く行動することも必要です。能登地方では昨年12月に大雪による倒木で停電や通行障害が発生しました。今後も地震で弱った樹木への冠雪や傾いた電柱、電線への着雪による停電や通信障害の拡大も懸念されます。また、北陸地方に多数設置されている消雪パイプ(地下水をポンプアップして道路に撒いて雪を融かす装置)が地震による影響で機能が発揮されないことも心配されます。また、被災地で多発している土砂災害発生個所では、地震前は斜面の雪の移動を抑えていた樹木が無くなっているところも多く、雪崩の危険性も増している可能性があります。さらに、土砂自体の強度が低下弱っているうえに、今後の融雪による水分供給も加わり、土砂と雪が同時に崩れる現象など、斜面災害の拡大も懸念されます。今後の雪や雨の降り方にも留意ください。
雪によって車のマフラーが埋まると車内に排気ガスが逆流し、一酸化炭素中毒になる危険性があります。注意が必要です。被災地には救助や支援、復旧活動で、雪に慣れていない方の出入りも多くなるため、このような雪害に対する啓発も続けることも大事なことと思います。