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集中豪雪で道路が麻痺 雪の季節はまたやってくる。

上石勲防災科学技術研究所雪氷防災研究センター特別研究員
集中豪雪によって雪のやり場のない市街地(筆者撮影作成)

 今年もこれから真夏を迎える季節となりましたが、つい最近の大雪のことを忘れかけている方も多いのではないでしょうか。昨年の12月19日、新潟県長岡市では半日で1m近い雪が降りつもり、雪を融かすために地下水を道路に撒く消雪パイプが設置してあるにもかかわらず、大量の雪が一度に降ったため融けきらず、私の軽自動車は全く動けない状態でした。

2022年12月19日の長岡市の大雪 消雪パイプが設置してあるにもかかわらず、雪に埋まる(筆者撮影作成)
2022年12月19日の長岡市の大雪 消雪パイプが設置してあるにもかかわらず、雪に埋まる(筆者撮影作成)

 市街地の道路では車がスタックして動けなくなり、道路渋滞の連鎖が広がっていました。

道路を埋める雪とスタックした車による渋滞の連鎖(筆者撮影作成)
道路を埋める雪とスタックした車による渋滞の連鎖(筆者撮影作成)

 今年1月下旬には最強寒波が襲来し、普段雪の多くない東海、近畿、中国地方でも幹線道路でのスタックによる車の渋滞が発生しました。新潟県長岡市では、気温がマイナスで雪が大量に降り、しかも強風になったため地吹雪が発生し前が見えないホワイトアウトとなりました。さらに、気温が少し上がると、道路上に残った圧雪が消雪パイプなどの影響で緩んでしまい、さらにスタックが発生する状況も見られました。

2023年1月下旬の最強寒波で降った雪が緩んだためスタックしやすくなった(筆者撮影作成)。
2023年1月下旬の最強寒波で降った雪が緩んだためスタックしやすくなった(筆者撮影作成)。

 私どもは、雪の温度が0度で水分を多く含んでいる雪を道路に積もらせて、その上を実際の車で走る実験をしましたが、急勾配では、雪に強いと言われている大型のSUV車でもスタックして動けなることがあることがわかりました。

 このような大雪による道路の渋滞の連鎖を防ぐにはどうしたらよいでしょうか。

 もちろん、除雪の体制を強化することは大事ですが、経済的にも負担が大きくなります。

 これまでは大雪が降ってもどうしても出社しなければならないという風潮が強くありました。しかし、コロナ禍でテレワークが当たり前となり、無理をして出社しなくとも、自宅で仕事することが社会的にも認知されるようになりました。たいへんな重労働の除雪でやっと車を掘り起こし、道路に出たはいいが今度は渋滞に巻き込まれては、肉体的にも精神的にも疲労してしまいます。大雪時にはスーパーやコンビニエンスストアから食料品が一時消えましたが、このような事態に備えて食料品や水を備蓄しておけば、ある程度の期間は車での外出を控えても生活は可能です。

 幹線道路ではトラックのスタックも多くみられました。運送会社だけでなく、運送を依頼する荷主さんの理解も必要でしょう。車の台数が減れば、道路除雪の効率もあがります。車の利用を少し減らすことにより、除雪の効率も上がります。結果的にそれが大雪による社会活動の回復に貢献することを社会が容認できるようになればよいと思います。当然、通行止めの時間を少しでも短くする努力は必要ですし、最大限の説明も大事です。

 また半年後には雪が降ります。教訓を忘れずにいたいものです。

防災科学技術研究所雪氷防災研究センター特別研究員

1959年生まれ 新潟県上越市出身 富山大学雪氷学講座卒業 新潟大学積雪地域災害研究センター修了 民間建設コンサルを経て防災科研雪氷防災研へ 博士(学術) 技術士(建設(河川砂防、道路))

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