もっと中継ぎ投手も取材して!沢村拓一の大活躍で考えたい「日本メディアは選手の報道が偏っていないか?」
米大リーグ1年目のレッドソックス、沢村拓一投手が奮闘している。ロッテから海外FAで移籍。強豪がそろうア・リーグ東地区で首位争いを繰り広げるチームの救援陣において、早くも不可欠な存在になっている。2日現在、18試合に登板して防御率2・75。奪三振数26は投球回数の19回3分の2を上回っている。
日本時間の5月30日(現地時間29日)のマーリンズ戦は2点リードの八回2死一塁から5番手で登板。二、三塁のピンチを招くも最後はスプリットで空振り三振で切り抜け、雄叫びを挙げた。その様子に興奮してツイッターにつぶやいた。「レッドソックス・・・沢村投手 吠えてたね~ よく粘った!!おつかれさん ニュースでるかなぁ あっ、ダメだ・・・大谷選手、ダルビッシュ選手が出てるから・・・」
私自身、先発だった巨人時代には、打たれても、チームが負けても「上原」の文字が翌日の新聞に大きく掲載されていた。取り上げられることは悪い気はしない。だけど、「きょうは俺じゃないでしょ」っていう日もある。勝敗に左右する犠打や進塁打、1点も与えられない場面でマウンドに上がる中継ぎ・・・。野球はチームプレー。その日の「MVP」は一緒に戦ったチームメートなら誰でもわかる。メジャーに移籍して、役割が先発から中継ぎになった途端、取材に来る記者の数も紙面の扱いも激減した。愚痴っていても仕方ないので、自分でブログを開設。登板日には自分のピッチングを振り返り、1球ずつ球種と意図を説明しながら振り返った。SNSがここまで広がる前だったが、自分で発信することの醍醐味も味わうことができた。ところが、ポストシーズンになると、日本人選手が勝ち残っているチームが減り、日本の記者が大挙して押し寄せてきたのには驚いた。
今季のメジャーでは、大谷翔平選手やダルビッシュ選手の扱いに比べ、沢村投手や他の日本人選手は紙面でも目立たない。テレビの扱いも違う。新聞は売れないと意味がなく、テレビも視聴率が大事。人気選手にボリュームを割くのは仕方ないという一面もある。だけど、沢村投手の今季の活躍は誰もが簡単にできることではない。これを伝えることにメディアの役割もあるはずなのに・・・。そんなことを考えながら、つぶやいたら、思わぬ〝援軍〟が登場してくれた。
ダルビッシュ投手本人だ。リツイートする形で「春先かなり寒いボストン、レベルの高いア東地区、ルーキー、タフなリリーバーであれだけ投げているのに日本のメディアは一体何をしているんだろう」。
引退後は野球だけでなく、スポーツの現場を見る機会が増えた。メディアの扱いという点では、野球は他競技に比べて恵まれていることも改めてわかった。注目選手、人気選手だけではなく、パフォーマンスや人間性に魅力があるアスリートを積極的に取り上げたいと思っている。沢村投手のことも、もちろん注目している。今季のレッドソックスは強い。ポストシーズンになってからの「手のひら返し」はしたくない。