『うつ病』と『適応障害』は併発の可能性がある?症状の違いや治療法についても解説
こんにちは、精神科医しょうです。
心身の不調や、不眠や倦怠感などといった症状が続いているとき、『うつ病』と『適応障害』のどちらを発症しているのかわかりにくい場合もあるでしょう。
うつ病は一日中気分の落ち込みが持続するのに対して、適応障害はストレスの原因から離れると症状が改善するという大きな違いがあります。
今回の記事ではうつ病と適応障害の症状、うつ病と適応障害の違い、併発の可能性や治療法について紹介します。
うつ病の症状
うつ病とは悲しみや絶望感、希死念慮などの抑うつ状態が一日中続き、身体や心に症状が現れる病気です。
仕事のストレスや大事な人との別れなど、さまざまな出来事をきっかけにうつ病を発症します。
うつ病の主な症状について紹介します。
・頭痛、肩こり、筋肉痛
・倦怠感、疲労感
・意欲減退、無気力
・睡眠障害
・思考力や集中力の低下
・不安、焦燥感
・希死念慮
・食欲低下
うつ病になると、理由のない悲しみや気分の落ち込みが長期間に渡って続くようになります。
症状は午前中に強くなることが多く、午後に向けて少しずつ緩和していく傾向にあります。
また、思考力や決断力が鈍くなり、自分で物事をうまく判断できなくなります。
このような症状が強く現れるようになると、日常生活を送ることが困難になり、社会との繋がりが断たれてしまう恐れがあります。
適応障害の症状
適応障害は、仕事の負担や環境の変化によって心に大きなストレスがかかることにより引き起こされます。
適応障害を発症すると、精神症状や身体症状などさまざまな症状が現れるようになります。
適応障害の主な症状は以下の通りです。
・意欲の低下、集中力の低下
・イライラ、焦燥感
・不眠、睡眠障害
・腹痛、下痢、便秘
・過敏性、神経質
適応障害の症状は、本人が過ごしている環境やストレスの度合いによってさまざまです。
気分の落ち込みや意欲の低下、緊張やイライラなど複数の症状が混在する場合があります。
うつ病と適応障害の違い
うつ病と適応障害はどちらも強いストレスによって引き起こされると言われており、似たような症状が現れるため混同されることがあります。
しかし、うつ病と適応障害は根本的に異なり、「ストレスの原因となっている出来事から離れることで症状が緩和されるかどうか」という大きな違いがあります。
上記のように、適応障害はストレスの原因から離れると、症状が緩和されます。
たとえば原因が仕事にあるのなら、仕事を休職したり転職したりすることで症状が良くなっていくことがあります。
しかし、うつ病はストレスになっている出来事から離れたとしても、症状が良くなることはありません。
うつ病はストレスのほかに、脳の神経伝達物質の減少が原因ではないかと考えられており、病院で適切な治療を受けなければ、なかなか社会に復帰することが難しい病気です。
このようにうつ病と適応障害は、似ている部分があるものの、根本的には異なる精神疾患と言えます。
うつ病と適応障害は併発する?
適応障害は環境を変えるなどしてストレスの原因から離れることで症状が改善されますが、すぐに環境を変えるのは難しいという人もいるでしょう。
たとえば、業務内容が合わず転職をしたいと思っていても、なかなか上司に言えずストレスを溜め込んでしまったり、生活のために今の仕事を続けざるを得ない場合もあるかもしれません。
そのままストレスが溜まる環境で我慢し続けていると、休日でも仕事のことが頭から離れず疲れが蓄積し、やがてほかの精神疾患を引き起こす可能性があります。
適応障害の症状が長引いている場合は、うつ病に移行してしまう恐れがあるのでなるべく早めに医療機関を受診するようにしてください。
うつ病の治療法
しっかり休養をとる
うつ病を発症したら、まずはしっかり心身を休ませることが大切です。
休養をとることで「家族や会社に迷惑をかけてしまうかもしれない」と不安になる人もいるかもしれませんが、焦らずに休養をとって症状を緩和していくことが回復への近道となります。
また、うつ病になると寝ても疲れが取れない、寝付けない、早い時間に目が覚めてしまうというような、睡眠障害を併発することがあります。
うつ病の治療には規則正しい生活が大切なので、睡眠に支障がでている場合は医師に相談して、自分に合った薬物を処方してもらうと良いでしょう。
薬物療法
うつ病の治療は、十分な休養と規則正しい生活、薬物療法や認知行動療法を並行して行う必要があります。
うつ病の治療薬は飲んですぐに効果がでるわけではなく、長期に渡って服用することが大切です。
「今日は体調が良いから飲まなくても良いかな」と、自分で判断して服用を中断してしまうと症状が悪化してしまう恐れがあるため、医師の指示に従って正しく服用するようにしてください。
適応障害の治療法
環境の調整
適応障害はストレスが引き金となって発症する病気なので、ストレスの原因から離れることが何よりも大切です。
まずは、ストレスや負担を減らすために、環境の調整をおこないましょう。
もし仕事が原因となっているのであれば、仕事量や残業を減らしてもらったり、シフトの調整をしてもらうなど、職場への相談と周囲の理解が必要です。
また、原因が家庭内にある場合、家事の負担を減らしたり、ゆっくり休養を取れるような環境を作ったりすることが大切です。
必要に応じて家族や信頼できる知人に相談をして、少しでも心身の負担を減らせないか考えてみましょう。
ストレスへの対処
環境を変えたとしても、また同じようなことでストレスを受けて、適応障害を発症してしまうかもしれません。
病気の発症を防ぐためにも、ストレスへの対処法を身につけておく必要があります。
自分を責めてしまう癖や「〜すべき」「こうあるべき」などといった完璧主義思考は、適応障害を誘発してしまう可能性があるため、少しずつ考え方の癖を直していくと良いでしょう。
視点を変えてみたり、いろんな人に意見を求めてみたりするなど、自分の頭の中だけで考えずにさまざまな意見を取り入れていくことも大切です。
また、趣味や運動など、気分転換できる方法をいくつか持っておくと、ストレスの軽減に役立つでしょう。
まとめ
今回はうつ病と適応障害の違い、併発の可能性や治療法について紹介しました。
うつ病と適応障害は似たような症状もありますが異なる病気のため、自分で判断せずに病院で詳しい検査を受けることが大切です。
うつ病を発症している場合、早期に適切な治療を受けることによって症状が改善し、社会生活に復帰できる可能性が高まります。
つらい症状が続いているときは無理をせずに、早めに近くの医療機関を受診しましょう。
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