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コメ品薄解消なるか:東京で農家らデモ、新潟産コシヒカリ出荷始まる、新米注文殺到の影響#専門家のまとめ

松平尚也農業ジャーナリスト、龍谷大学兼任講師、AMネット代表理事。
(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

 お米の端境期とされる7月と8月が終わり、新米の収穫が始まりコメの品薄解消が期待されている。その中で、9月10日、東京の農林水産省前で全国の農家ら約200人が集まり、主食の米の安定供給のために政府に対して米の価格や生産量の安定を訴えた。

 一方で、新潟産コシヒカリの県外初出荷が12日に始まり、14日頃から都市部のスーパーで販売が始まるという。米所である新潟の今年の出来はどうだったのか?また新潟のコメ農家では注文が殺到しているということだ。現場で何が起こっているのだろうか?

ココがポイント

新米が入り品薄状況は“改善の兆し”も値段は高騰 東京では農家らがデモ「きちんとした主食の政策をとってほしい」【令和のコメ騒動】

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「本当の悲鳴に変わりそう」インターネットで新米の注文が殺到 新たな不安も【新潟・南魚沼市】

エキスパートの補足・見解

 家庭用のコメの御三家とされる「新潟産コシヒカリ」の出荷が始まった。今後は他の御三家である「秋田産あきたこまち」や「ななつぼし」といった生産量の多いコメの出荷が本格化していくことで、コメの品薄が少しずつ解消されていくと予想されている。

 一方で、米所の新潟では、新米の発注が激増しており、来年のコメの出荷が足りなくなるのではという不安も囁かれている。そのことは来年もコメの品薄が起こる可能性があることを意味する。政府の根本的な対策が必要な状況と言える。

 またコメ価格は高騰しても多くの農家らは昨年に農協等の集荷団体にコメを販売済みであるため恩恵は受けられていないという指摘もある。さらにコメ価格の高騰が続く中でも、近年のコメ価格が安かったため廃業するコメ農家が続出している。必要なのは生産・流通・消費が安定するような政策と言えるだろう。

農業ジャーナリスト、龍谷大学兼任講師、AMネット代表理事。

農・食・地域の未来を視点に情報発信する農業ジャーナリスト。龍谷大学兼任講師。京都大学農学研究科に在籍し国内外の農業や食料について研究。農場「耕し歌ふぁーむ」では地域の風土に育まれてきた伝統野菜の宅配を行ってきた。ヤフーニュースでは、農業経験から農や食について語る。NPO法人AMネットではグローバルな農業問題や市民社会論について分析する。有料記事「農家ジャーナリストが耕す「持続可能な食と農」の未来」配信中。メディア出演歴「正義のミカタ」「めざましテレビ」等。記事等に関する連絡先:kurodaira1974@gmail.com(お急ぎの方は連絡先をご教示くだされば返信します)。

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