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「ニキビ腐った」金正恩氏の健康異常に注目…皮膚に大きな異物

高英起デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト
2021年12月の金正恩氏(朝鮮中央テレビ)

 韓国紙・中央日報は2日、北朝鮮の金正恩総書記の左頬に「大きな皮膚のトラブル」が見られると報じた。最近の金正恩氏の写真を見ると、たしかに左頬に吹き出物、あるはイボのようなものが見られる。記事にコメントを寄せた皮膚科専門医は「イボあるいは皮角、ケラトアカントーマの可能性がある」と述べている。

「皮角」や「ケラトアカントーマ」がどのようなものなのか、記事の説明を呼んでもいまいちわからないのだが、どうやら「大ごとではない」といったニュアンスだ。

 それに、金正恩氏の皮膚のトラブルはこれが初めてではない。2021年12月末に開かれた朝鮮労働党の重要会議に登場した際には、後頭部に医療用テープを貼ってはがしたような跡が見られた。このときは感染内科教授がやはり中央日報に寄せたコメントで、「にきびが腐ったり、脂肪腫ができたりした可能性があるが、2つとも健康に大きく問題になるようなものではない」としていた。

 中央日報は、最高指導者である金正恩氏がなぜ、こうした皮膚のトラブルを「なぜ放置するのか」と不思議がっている。

(参考記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

 その答えはおそらく2つある。まず、本人が頓着していないということ。そしてもうひとつは、最高指導者の健康問題は国家の最重要事項であり、へたに問題を指摘したら最悪、死刑になりかねないからだ。

 自分の命をかけてまで、金正恩氏のお肌のトラブルに言及する人間はいないということだ。

 ただ、今回は大したことはなさそうだが、金正恩氏の健康問題はわれわれにとって関心事であり続けるしかない。北朝鮮は独裁国家であるだけに、独裁者の生死は体制に巨大な影響を与える。

 もしかしたら北朝鮮の核開発は、そういう展開の上でしか解決されないかもしれない。

 また、金正恩氏が連れ歩く娘が後継者となる可能性が取り沙汰されているが、もしそうなるとしてもだいぶ先の話だ。同氏の健康が急激に悪化するようなことがあれば、朝鮮半島には激動が訪れかねないのである。

デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト

北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。関西大学経済学部卒業。98年から99年まで中国吉林省延辺大学に留学し、北朝鮮難民「脱北者」の現状や、北朝鮮内部情報を発信するが、北朝鮮当局の逆鱗に触れ、二度の指名手配を受ける。雑誌、週刊誌への執筆、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に『コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記―』(新潮社)『金正恩核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』(宝島社)『北朝鮮ポップスの世界』(共著)(花伝社)など。YouTube「高英起チャンネル」でも独自情報を発信中。

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