金正恩の処刑部隊が持ち出した「太さ7センチ」の残虐行為
北朝鮮で強化されている、中国キャリアの携帯電話の所持・使用に対する取り締まり。運悪く取り締まりに引っかかってしまった女性が、取り調べ中の暴行で死亡したと、咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。
事件の概要は次のようなものだ。
咸鏡北道保衛局(秘密警察)は先月10日、中国キャリアの携帯電話を使っていた容疑で、30代女性のキムさんを逮捕し、スパイ容疑者を勾留する拘禁所にぶち込んだ。公開処刑や政治犯収容所の運営を担う保衛当局は、金正恩体制の恐怖政治を支える実動部隊だ。
キムさんがスパイ容疑を受けたのは、彼女の携帯電話から韓国との通話記録や国内の画像を送った記録が見つかったからだ。当局は、違反者の携帯電話にカカオトークやWeChatなどのメッセンジャーアプリがインストールされている場合、また韓国との通話記録がある場合には、無条件でスパイ扱いして、拘禁所送りにしている。
キムさんは取り調べ初日から「南朝鮮(韓国)にどんな情報を送って、いくら受け取ったのか」「南朝鮮のどんなやつと取り引きしていたのか」と追及を受けた。これに対してキムさんは「情報を渡した覚えはない」「生きていくために、送金のやり取りをしていたに過ぎない」と抗弁した。
すると取調官は、太さが7センチほどもある棍棒で、キムさんの頭、足を殴りつける拷問を行った。そして今月9日、キムさんは会寧(フェリョン)市病院に担ぎ込まれる事態となった。
(参考記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面)
情報筋によると、搬送されたキムさんは、腕と足に力が入らない状態だったという。そして3時間後、彼女は死亡した。
取り調べの過程で拷問死させても誰一人責任を問われる者はおらず、当事者はむしろ「スパイ行為を行った者は死んで当然」だと吐き捨てる。
情報筋によると、国際社会の目を気にして一時は諌められていた拷問だが、最近になって再び当たり前のように行われるようになり、死んでもかまわないと考えられるようになっているとのことだ。
両江道(リャンガンド)保衛局の場合、昨年1年間の一連の取り締まりで逮捕したのは数百人。そのほとんどが20代から40代の女性で、多くが送金ブローカー業や密輸に加担していたものと思われるが、取り調べを受けた後、教化所(刑務所)や管理所(政治犯収容所)送りになっている。