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【尾道市】セックスって何?と聞かれたらどう答える? 自分を大切にする現代必須の教育「包括的性教育」

mio地域ニュースサイト号外NETライター(尾道市など)
性教育に関する書籍や絵本

タイトルにドキッとする方が多いのではないでしょうか。かくいう私もその一人です。その「ドキッ」とはどういう感覚ですか? 恥ずかしい、気持ち悪い、馬鹿らしい、おもしろい・・・色々な気持ちが入り混じるような感覚があるのではないかと思います。
2024年12月10日(火)に土堂公民館で行われた「10代を見守るための包括的性教育を知る会」昼の部に参加しました。

講師は、出張専門かたつむり助産院 院長の澁谷奈津美(しぶや なつみ)さん。長年産科医療に携わった後、岡山で助産院を開設し助産師として従事。現在助産師はお休みされていて、講師として全国で活躍されています。

包括的性教育とは?

この会の本題でもある「包括的性教育」、この言葉を知ったのは今回が初めてでした。性や生殖に関する知識だけでなく、人権やジェンダー、人間関係、幸福などを含んだ教育のことを包括的性教育と呼ぶそうです。

日本ではsexを子どもたちに教えることができない!?

前半は歴史から見る性や世界の動向、包括的性教育とはどういうものかを知る話でした。その中で一番気になったものが、日本の性教育の現状です。日本でも20~30年前は世界と同じような性教育をしていたけれど、七生養護学校事件がキッカケで「はどめ規定」というものが1998年度に制定され、日本の性教育が遅れてしまったとのことでした。例としては以下の通り。

小学校の理科で「人の受精に至る過程は取り扱わないものとする
中学校の保健体育で「受精・妊娠までを取り扱うものとし、妊娠の経過は取り扱わないものとする

【理科編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説
【保健体育編】中学校学習指導要領(平成29年告示)解説

文部科学省は、はどめ規定について「一律に指導する内容としては取り扱わない」と説明をしているが、教育現場では性教育は教えてはならないと捉えられている場合もあって、現場の先生たちも性教育を扱いづらいというのが、日本の現状としてあるようです。

赤ちゃんってどうやってできるの? この質問にどう答える?

後半は少人数のグループで話し合う機会が多い時間でした。幼少期に多いこの質問「赤ちゃんってどうやってできるの?」に対して、澁谷さんの答えの1つは、科学的に答えること。淡々と事実だけを述べるそうです。子どもは何回も聞いてくるけど、何回も同じように答えるのだそう。国語も算数も1回では定着しないのと同じで、何度も反芻して理解していくとのこと。

なかなか人と話す機会がない性の話、ましてや初対面の人との話し合いだったので最初はドキドキしながらでしたが、笑いあり、みんなで悩む時間あり、ざっくばらんに話ができ、とてもいい経験でした。

親子で遊びながら学べるカルタなど教材もたくさん見られました
親子で遊びながら学べるカルタなど教材もたくさん見られました

今すぐできる性教育

子どもの年齢に関わらず、家庭で今すぐできることは、怒らない・ごまかさない・嘘をつかないこと。恥ずかしいからといってごまかしたり、怒って違う話にしたりすると、正しい知識を得るチャンスを失ってしまうし、子どももその対応を真似してしまい、自分の気持ちに蓋をしてしまったりするとのことでした。どう答えたら良いかわからない時は、「どう答えたら良いか考えているから少し待ってくれる?」や「一緒に調べてみる?」など、焦らず・慌てず・素直に対応することが大事だと学びました。最近では性教育に関する書籍や絵本も充実しているので、そちらを利用するのも良い手段だそうです。

会場となった土堂公民館の廊下
会場となった土堂公民館の廊下

澁谷さんが一番伝えたいこと

人という生き物はとても美しくて完全体なんです。

ポジティブに自分のことを受け止められるかどうかで、人生の幸福度が変わります。
今ポジティブでなくても、これからそうなる可能性があるということを知ることが大切で、どんな状態でも、その時その時の自分を受け止めるだけでいいんです。

単純にポジティブが良いとか、ネガティブが悪いという話ではなく、自分を善悪判断せずに、その時の自分の状態を受け止める。そのサポートがしたいと話されていました。今回の会を通して、澁谷さんには、人を外面的にも内面的にも丸ごと全肯定する大きな愛を感じました。

澁谷さんがまとめた性について学べるサイトや相談先
澁谷さんがまとめた性について学べるサイトや相談先

「性」とは、「生きる」こと

先述のはどめ規定をはじめ、性に関する様々な用語や世界や日本の性教育事情について、私は知らないことばかりでした。大人が知らないことを子どもたちが知っているはずもなく、今の日本にはそれを知れる教育が少ないことも、子どもを持つ親として歯がゆい思いがありました。

「性」とは「生きる」こと、生きていくのに切り離せないことです。人権やジェンダー、人間関係、幸福などをまとめて包み込んだこの学びは、自分のことも相手のことも大切に思うことができる教育だと感じました。これからの時代に生きる人全員に必要な包括的性教育、これからの日本にもっともっと広まっていってほしいと強く思います。

※全て主催者、講師の許可を得て撮影・掲載しています。

イベント詳細

ローカル子育てサミット#6
10代を見守るための「包括的性教育」を知る会
日時:2024年12月10日(火)
場所:土堂公民館(住所:広島県尾道市西土堂町6-44)
主催:NPO法人むかいいまseeds
参考サイト
出張専門かたつむり助産院 ホームページ

出張専門かたつむり助産院 Instagram

NPO法人むかいしまseeds Instagram
ユースセンターズオノミチ ホームページ

地域ニュースサイト号外NETライター(尾道市など)

尾道市在住、のんびり大好き、子育て奮闘中の3児の母mioです。生まれも育ちも生粋の大阪の人。2022年夏に尾道市民になり、山も海も島もある穏やかな尾道が大好きになりました。モットーは『シンプルに楽しく美しく生きる』。ご縁をいただいて2023年より地域ニュースサイト号外ネットで「尾道市・府中市・世羅町」を担当しています。全国的に有名な尾道市だけど、もっともっともっと知ってほしい!尾道周辺地域の魅力、情報を発信します。

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