【福岡市】782年の歴史博多祇園山笠裏の行事・支え|陰で支える力があってこそ受け継がれる伝統の神事
こんにちは。地域情報Webライターのクリア水です。
博多祇園山笠は福岡市の櫛田神社の神事で、782年の歴史があります。この大切な神事を長い間支えてきたのは、目に見えないところで支えているたくさんの人たちです。
今回はクライマックス、追い山笠15日の早朝からの様子や、見えないところでこの伝統を支え続けている女性たちのことをご紹介します。
おにぎりの数などは流によって違いますが、今回は1つの流の当日本番までの準備をご紹介しますね。専門用語などは敢えて使わないようにします。
◆7月15日追い山笠当日
AM1:30
山笠を担ぐ「舁き手」が集合して町内を出発するので、その人たち向けに深夜のAM1時半に一度集まり、おにぎりを50〜60個作って渡します。
AM2時頃、一度解散して各自自宅に帰ります。そして
AM3:00 再び集合
今度は本番の「追い山笠」が終わって帰ってくる人たちのために150個くらいおにぎりを握ります。深夜2時に帰って、また3時に集合とは、眠るひまありませんね。子ども用には他のおかずもつけてお弁当として配布。大人用には仕出し屋さんからのメイン料理におにぎりを添えます。
お料理やおにぎりに汁物や、子供用のお土産を用意して帰ってくるのを待ちます。
追い山笠が終わって帰ってきた人たち
◆追い山笠前後の儀式
↑追い山笠が始まる前、ちょうちんを持って前役員をされた方に訪問し「今から集まります」と挨拶に行くときの様子。
↑今年の当番町が各町にお礼のあいさつに来られます。長はっぴ(正装)を着て向かい合い、「博多手一本」という博多独特の手締めをします。
↑来年の当番町がご挨拶に来られたところです。
◆子どもから大人へ
小学生までの子どもは、行事が終わったらお弁当とお土産をもらっておわりです。中学生からは、大人の一員として認められ、若手としての役割が与えられます。親が子供の成長を感じる瞬間です。そこから大人たちと接する中で、大人社会のルールなどを少しずつ教えられていきます。
◆本番追い山笠前の行事でもお料理・お弁当・お土産
追い山笠本番の日だけではなく、それまでも様々な行事(お汐井とりや流舁き、追い山笠ならしなど)があります。このような各行事にも子どもお弁当やお土産、大人のお料理を用意するのは地元でこの神事を支え続けているたくさんの女性たちです。
それだけでなく、毎日の洗濯も大切な役割。皆が元気に山笠を続けられるよう見えない場所で支え続けています。
◆神事に参加できることに感謝
裏でそんな支えがあるとは知りませんでした。支えている女性の一人に、大変では?と聞きました。そしたら「伝統のある神事に関わることができることを、感謝している」との回答でした。
そんな思いで見えないところで支えてくれる人たちがいるからこそ、782年も続く山笠があるんだ実感しました。
◆台上がりは名誉
山笠にはたくさんの役割がありますが、その中に「台上がり」と言う役職があります。赤白のネジネジという「たすき」、鉄砲と呼ばれる「赤い布をかぶせた棒」を持って山笠に乗る人たちです。その「台上がり」になることは名誉なことだそうです。
今年初めて台上がりに選ばれた若者は、終わった後の挨拶まわりのお酒もあり、ふらふらになってしまったとのこと。連れ帰ってくれた後輩が家の人に「小さい頃から◯◯さんの背中を見て追いかけています。」と一言。ふらふらの本人は仏壇のおばあちゃんに「この姿を見せたかった」と言っているのが聞こえてきて、その2つで家族は思わず号泣をしたとのことです。
博多祇園山笠には、陰で支える人たちと若者の成長が詰まっている神事ですね。
博多祇園山笠
伝統782年
国重要無形民俗文化財
ユネスコ無形文化遺産
HP:博多祇園山笠公式サイト
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