評価急上昇の柴崎岳、安易にスター化するメディアに釘を刺すセルジオ越後と誰よりも冷静な柴崎自身の言葉
10月10日、日本代表はキリンチャレンジカップ2014でジャマイカ代表と対戦し、1−0の勝利を収めた。ハビエル・アギーレ体制3戦目にしてつかんだ初勝利。サッカー界のご意見番、セルジオ越後氏はこの勝利をどう見たのか。試合後、ジャマイカ戦の印象を語ってもらった。
アギーレ監督 初勝利にも「満足していない」と課題・収穫挙げる
アギーレジャパンの3戦目、ジャマイカ戦は1−0で日本の勝利だった。アギーレ体制での初勝利ではあるが、相手のレベルと試合展開を考えればもう3、4点取るべき試合だった。物足りなさは否めない。
決定力とはすなわち技術だ。下手だから外す。それ以外にない。ゴール前、ペナルティエリア内での技術は、日本代表だけでなく、日本のすべてのカテゴリーにおいて足りないね。決定力不足という抽象的な言葉でごまかすのではなく、単純な技術不足と認識して取り組んでいかなければならない。
唯一の1点、オウンゴールを生んだ柴崎岳はこの2試合で急激に評価を上げている。たしかにこの試合でも前に出ていく姿勢がチームに推進力を与えていたように思う。けれどその評価は次のブラジル戦まで待たなければならない。彼はウルグアイ戦には出場していない。本当に強い相手と戦った時にどういうプレーをできるかで見極めるべきだ。それは武藤嘉紀にも言えることだね。
だから、早速スターシステムに乗っけようとするメディアの動きには辟易するよ。ブラジル・ワールドカップの敗戦から何を学んだのだと言いたくなる。もっとも、当の選手たちはよく分かっていると思うけど。
そういう意味で、ウルグアイ、ベネズエラ、ジャマイカ、ブラジルというマッチメークの並びは面白いね。次のブラジル戦が、アギーレジャパンの最初の“現在地”と呼べるものになるだろう。評価はそれからだ。
ジャマイカ戦で相手DFのオウンゴールを誘発し、攻守両面で存在感を放った柴崎岳については、アギーレ監督も試合後「彼はワールドクラス。(本田)圭佑、(香川)真司と自然にプレーできている」と称賛。「まるで20年も経験を積んだかのようなプレーを見せてくれる。彼はかなり遠いところまで行きつくことのできる選手」とたたえた。
一方の柴崎は、「アタッキングサードでのクオリティはもっと上げないといけない」と課題を口にし、「まだフレンドリーマッチで2試合消化しただけ。アピールは続けたいと思います」と冷静に試合を振り返っている。
熱く、冷静に…変わらない柴崎のスタンスの原点。ブラジル・ワールドカップを1年後に控えた時期、彼に聞いた言葉を思い出す。
アギーレジャパンの4戦目は14日のブラジル戦。あくまで冷静な柴崎の「アピール」と、日本代表の“現在地”に注目したい。