【周南市】モノ作りの魅力を10円単位の部品から伝え60年。アマチュア無線「ドイ音響無線」閉店へ。
今回は周南市代々木通にある「ドイ音響無線」についてお伝えしていきます。
「ドイ音響無線」は旧2号線沿いにあり、道路を挟んで代々木公園の斜め手前に位置しています。
日頃から気になるなぁと思っていたお店なのですが、2024年7月に残念な情報を教えて下さった方がいらっしゃいました。
その内容は、
というもの。
今回の情報提供は、常連さんだけではなく、お店を利用した方に幅広く閉店情報が伝われば…との思いによるものです。
「ドイ音響無線」さん。
とても珍しいお店のようですが、どんなお店なのでしょう。
残務整理でお店を開けておられる…とのことだったので、お邪魔してみることにしました。
店の前に立つと、レトロで歴史を感じる佇まいです。
店内に入ると、外観と同じくレトロな店内。
店主さんと奥様が出迎えて下さいましたよ。
専門的なお店って緊張しますが、「ここに居てもいいんだな。」と感じる雰囲気です。
奥様にお話を聞くと、
情報提供者様が教えて下さったように、やはり2023年の年末で閉店の形をとっておられるとのこと。
閉店理由は店主さんがご高齢になり、体調のことを考えられたため。
現在は残務整理のためお店を開き、店内にあるものを販売されているそうですよ。
アマチュア無線などが好きだった店主さんは80代後半。
26、27歳のときに徳山駅近くで始めたお店は、場所を変えつつも60年以上にわたって愛されていました。
忙しい時は「趣味を仕事にするものではない。」と言われることもあったのだとか。
その活躍の場は様々。
10年前には市役所の依頼で、災害時に備えて周南アマチュア無線防災ネットワークを立ち上げ、数年前まで会長を務められたそうです。
更には、お祭り、港に船が寄港する際の音響も担当されていたのだとか。
幅広く活躍された「ドイ音響無線」さん。
お店に行ったことは無くても、周南エリアの方なら知らず知らずお世話になっていたかもしれませんね。
そんなお店では、販売されているものも様々です。
アマチュア無線機の本体はもちろん、
アマチュア無線機器やテレビ、ラジオなどを手作りするための部品。
土管のようなものを使って作成されたスピーカー。
棚やサボテンも欲しい方がいれば、譲って下さるそうです。
店内に陳列された品物以外に、保管されているものも。
昭和10年代と思われる品物など、今では手に入りにくいものもあるみたいです。
現在、商品は減ってしまいましたが、部品は1個10円単位からバラ売りされていたそうですよ。
そのため、夏休みになると子どもたちがモノ作りをするために買い物に来られたのだとか。
昔、壊れたラジオを直すため、部品を買いに来た小学3年生。
現在は高専に通われ、九大への推薦入学が決まったそうです。
東京青梅に就職した子は、12月30日になると徳山に帰省。
徳山駅に着くと、まっすぐにドイ音響無線に来て、お話して、東京に戻られるのだとか。
70歳で一人暮らしとなり、モールス信号を始めた女性。
今ではモールス信号会で人気者に。英会話教室に通い、外国の方とも交流するようになったそうです。
ドイ音響無線に通っていたお客さんのことを、自分の子どもや身内ことのように嬉しそうに、楽しそうに教えて下さる奥様。
60年にわたってモノ作りをされる方、そしてアマチュア無線やモールス信号などをされる方にとって重要な存在だったのですね。
その間に築かれたものは、単なるお店とお客さんという関係では言い表せないものに違いありません。
モノ作りっていいよ、モノ作りが好きな人は人柄もいいのよ、そう語る奥様。
そして、店の奥のソファーで穏やかにお店を見守る店主さん。
お二人が守ってきたお店の歴史はとても濃くて、この記事内ではご紹介しきれません。
色々なお話を聞かせていただき、丁寧に教えていただいたのですが、機械類の知識が皆無な筆者ではとても伝えきれないものです。
だからこそ、少しでも心が動いた方には足を運んでみて欲しいな、そう思います。
残務整理でお店が開いているうちに。
もしかすると、昔の品物などが並んでいるかもしれませんよ。
きっと、モノ作りの魅力、そしてそれを通して繫がっていく人との縁を感じることが出来ると思います。
筆者も人生で「好き」が見つけられることの素晴らしさを感じることが出来ました。
【店舗情報】
店名:ドイ音響無線
所在地:〒745-0073 山口県周南市代々木通2丁目14
※残務整理のため日曜日以外の8時30分~17時にはお店にいらっしゃることが多いそうです。