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単身世帯の代金支払い方法の移り変わりをさぐる(2020年公開版)

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ 最近は交通機関系の電子マネーが使える場面も増えている。(写真:アフロ)

現金だけでなくクレジットカードなども多用する単身世帯

代金支払いには現金だけでなくクレジットカードや電子マネーなど、多様な手段を用いることができる。単身世帯における、お金の決済手段の移り変わりと現状を金融広報中央委員会の「知るぽると」が毎年実施している調査「家計の金融行動に関する世論調査」(※)の公開結果から確認する。

まずは直近2019年における、金額別主要決済手段。4つの選択肢のうち「主なもの2つ」を答えてもらっている。

↑ 主な資金決済手段(単身世帯、2つまでの複数回答、支払金額別)(2019年)
↑ 主な資金決済手段(単身世帯、2つまでの複数回答、支払金額別)(2019年)

単身世帯の場合、1000円以下の小口決済では電子マネーの率が35.6%となっている。5000円以下でも27.6%が使っている。また、クレジットカードの率も高く、二人以上世帯では1万円超でようやく「現金の率をクレジットカードの率が超えた」のに対し、単身世帯では「5001~1万円以下」の区分で超えている。

これら二人以上世帯との差は、単身世帯では「世帯全体の家計」=「回答者本人のお財布」であることによるもの。クレジットカードや電子マネーの場合、利用の際に「個人の私財を使う」か「家計全体の出費とする」かによって争いごとが生じる、あるいは区別がつけられずに混乱する場合がある。一方で単身世帯の場合、本人の私財は同時に自らの世帯全体の資金でもあり、(わざわざ別口座で勘案している人を除けば)もめる心配は無い。従って、クレジットカードも電子カードも気軽に使えることになる。

もっともそのような状況下にある単身世帯でも、電子マネーはまだ副次的手段であり、小口決済においてですら現金が多分に使われていることに違いはない。そして電子マネー以上にクレジットカードが大いに活用されているのも、二人以上世帯と同じ。

急速に利用が伸びる電子マネー

続いて経年変化を確認する。

↑ 主な資金決済手段(単身世帯、2つまでの複数回答で「現金」率、支払金額別)
↑ 主な資金決済手段(単身世帯、2つまでの複数回答で「現金」率、支払金額別)
↑ 主な資金決済手段(単身世帯、2つまでの複数回答で「クレジットカード」率、支払金額別)
↑ 主な資金決済手段(単身世帯、2つまでの複数回答で「クレジットカード」率、支払金額別)
↑ 主な資金決済手段(単身世帯、2つまでの複数回答で「電子マネー・デビットカード」率、支払金額別)
↑ 主な資金決済手段(単身世帯、2つまでの複数回答で「電子マネー・デビットカード」率、支払金額別)

小口決済でおサイフケータイをはじめとする電子マネーの率は増加し続けている。「小銭代わりの電子マネー・デビットカード」は単身世帯にとって、第二の「小銭」的立ち位置を確かなものとしつつある。ただし5000円以下の区分に限れば、この数年は利用率が頭打ち状態になっていたのも事実で、利用状況の上限に達している可能性はあった。

ところが直近の2019年ではどの金額区分でも大きく率を伸ばしている。2019年の調査は2019年6~7月に実施のため、キャッシュレス・消費者還元事業の影響は生じていないはず。あるいはこの事業に備えて事前に使い始める人が増えたのかもしれない。

一方現金は、主に少額決済の面で利用率を減らしている。クレジットカードは増加しており、「現金」から、「電子マネー・デビットカード」や「クレジットカード」への流れを主なものとし、支払い対象などの場面によって、払い方を変えるライフスタイルの変化が見て取れる。

直近年ではすべての金額区分で「現金」の率が減り、5万円超以外の「クレジットカード」で増加している。クレジットカード対応店舗が増えていることが、利用率を引き上げているのだろう。

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※家計の金融行動に関する世論調査

直近分となる2019年分は二人以上世帯においては、層化二段無作為抽出法で選ばれた、世帯主が20歳以上でかつ世帯員が2名以上の世帯に対し訪問と郵送の複合・選択式で、2019年6月14日から7月23日にかけて行われたもので、対象世帯数は8000世帯、有効回答率は40.3%。単身世帯においてはインターネットモニター調査で、世帯主が20歳以上70歳未満・単身で世帯を構成する人に対し、2019年6月21日から7月3日にかけて行われたもので、対象世帯数は2500世帯。過去の調査も同様の方式で行われている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

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(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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