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ベンツ新型Eクラス、ついに登場。【ベンツ新型Eクラスその1】

河口まなぶ自動車ジャーナリスト

メルセデス・ベンツのEクラスといえば、アッパーミドルサルーン界における”世界のお手本”と言われてきた。つまり、このモデルが新型となれば、そこに搭載される技術やメカニズムが今後の同クラスのトレンドになるのはもちろん、数年先の自動車におけるデフォルトになるという流れが自動車業界ではなされてきた車種である。

いまや自動車はブランドによる差異が以前よりも少なくなり、技術的にも圧倒的に群を抜く…という感じでもなくなってきた。自動車がコモディティ化されていき、そこに個性や味はどんどんと失われ、違いを見分けるのはデザインと、多少の味付けの違い、そしてブランドそのもの、という傾向にあることも間違いない。

しかし、そうした時代にあって、自動車の生みの親であるメルセデス・ベンツは同社の重要基幹車種であるEクラスで何を示すのか? これはクルマに興味がある方ならば少なからず気になるところだろう。

そんなEクラスの新型を3月頭、ポルトガルのリスボンで開催された国際試乗会で試すことができた。

この新型に対するファーストインプレッションその他は動画に譲るとして、新型Eクラスは隙のない仕上がりを見せてくれた。

特に印象的なのは、安全装備。いまや自動ブレーキや、前車に追従して走れるアダプティブクルーズコントロールはこのクラスでは当然都なっているのに加え、ハンドル操作に対して半自動で動かすものがあるが、Eクラスの場合はそれに加えて歩行者の飛び出しに対するブレーキ制御を始め、高速道路等で突然前方に渋滞があるときのブレーキ制御、さらに対向車とぶつかりそうになった時にブレーキ制御を行い接触を回避する機能、複数車線を走っている時に横のクルマがボディ側面に接近した際の回避行動を行う制御など、書ききれないほどの安全装備が豊富に採用されていたことだった。

さらに本国仕様では、高速道路等でウインカーを出すとクルマが自動的にハンドルを操作して車線変更を行う機構を採用するなど、将来の自動運転に向けての布石も確実に打っていた。

また最近流行りの自動駐車システムについても積極的に便利な機能を取り入れており、ボタン操作ひとつでハンドル・アクセル・ブレーキの全てを操作して駐車してくれるのはもちろん、その途中で作動をドライバーが一時停止し、クルマから降りてそこからは携帯電話を使って駐車するという、特に欧州の狭い駐車場で有効な機能等も多く盛り込まれている。また駐車場からバックで出庫する際に、左右からクルマが来ている時にも自動ブレーキをするなどの機能も盛り込まれている。

こうした先進技術を多数取り揃えている辺りも新型車として意欲的だが、それと同時に自動車として基本性能が極めて高い次元でまとめられている点もさすがの一言。特に走る・曲がる・止まるにおいては高級車にふさわしいゆとりと心地よさを実現しつつ、サーキットでの試乗では同じクルマとは思えないスポーティな運動性能を垣間見せてくれたのだった。この辺りの両立は、自動車としての幅や深みを感じさせる部分だといえるだろう。(その2へ続く

自動車ジャーナリスト

1970年5月9日茨城県生まれAB型。日大芸術学部文芸学科卒業後、自動車雑誌アルバイトを経てフリーの自動車ジャーナリストに。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。YouTubeで独自の動画チャンネル「LOVECARS!TV!」(登録者数50万人)を持つ。

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