メンタル崩す「ダブルバインドのメッセージ」が話題 言われたらどう対処する?
最近「ダブルバインド」に関するツイートが話題になったようです。ダブルバインドとは二つの相反するメッセージを受けることで心理的にどうしていいかわからない状態に陥ることを意味します。その対処法を考えます。
1950 年代に文化人類学者のグレゴリー・ベイトソンが家庭内のコミュニケーションがダブルバインドの場合、そうした状況に置かれた人が、混乱して精神的な不調を起こすことを報告したことで知られるようになりました。ツイートで指摘されているのは、学校の先生によるダブルバインドの問題ですが、家族の中で親が子どもに与えるダブルバインドの場合も子どもの自己肯定感を低下させることが指摘されています。更に家庭内だけではなく職場におけるダブルバインドも気になるところです。私はこうしたダブルバインドによるメッセージで悩む方からの相談を受けることがしばしばです。
新入社員と上司に関係で起きるダブルバインド
新入社員が直属の上司から、「わからないことはとにかく何でも聞くことが大事だよ」と言われたので、聞いたら「周りを見て自分で考えてくれ」と言われ、聞いたらまずいのかと思い、周りを見て判断したら「何で聞かないんだ。勝手にやるな」と言われた、と悩んでいました。
女性の管理職が受けるダブルバインド
部長になった時上司から「なんでも気がついたことをどんどん提言するように」と言われたが幹部が集まる会議で発言したら、「女性はもう少し周りを見て意見を言うのがいい」と言われてやる気がなくなったそうです。
親子のダブルバインド
母親は、「自分らしく生きるのが大事」と言っていたがいざ国際結婚しようとしたら、「少しは親のことを考えたら?私たちの面倒は誰が見るの。親不孝ね」と言われた。なんかがっかりというケースもあります。
こうしたダブルバインドの影響を受けているとやる気が失われたり、どうしていいかわからなくなったり混乱してしまいます。さらにそのことで自己肯定感が低下したり自分は何をしてもだめという気分になるものです。
ダブルバインドの発言をしてしまう人は、冷静で客観的な視点を失っていることに気がつかないといえます。親、上司、教師など指導的立場にいる人は自分の発言がダブルバインドになっていないか時々発言を振り返ってみる事が必要です。
ダブルバインドを受けた人の対処法
1.相手を怖がらない
もし自分がダブルバインド発言を受けたと思ったら、相手は感情的になっていると思うことです。怖がることはありません。感情に駆られて混乱しているのだ、と認識します。
2.信頼できる人に相談する
第三者に「こんなことを言われましたがどうしましょう」と冷静な意見を聞いてください。中立的な考えがわかるはずです。職場の場合、産業医に相談することも選択肢に入れてください。
3.相手の真意を探る
ダブルバインドを発する相手の真意が何かを知ることは必要です。
「わからないことは聞いてほしい」と言いながら、質問すると「自分で考えろ」という上司は、部下に対して、ある程度までは自分で考えて、さらにわからないことがあれば聞いてほしいと思っているのかもしれません。こうした場合は相手の真意に沿った対処で解決していくことができます。例えば「自分はこう考えていますがどうでしょうか」というように質問するとコミュニケーションが成立することがあります。
一方、女性部下にどんどん発言してほしいと言いながら、「わきまえろ」という上司は「一般的には」「建前は」積極的に発言してほしいというのは言葉だけで、実際は、わきまえてほしいのでしょう。母親も建前は、子どもに自分らしく生きてほしいが、自分の娘は自分の思い通りになってほしいと考えているのだと思います。こうした相手に対しては、自分の味方を作りながら発言を続け、自分を抑圧しないことが自分の心を守るために大事です。