【西宮市】戦後から続く和菓子店の、ぷるぷる蕩けるようなわらび餅3種と絶品いちご大福を食べてみた
今回は、終戦後の1946、1947年頃からずっと今と同じ場所で和菓子を作り、販売している「桔梗堂」をご紹介します。
甲子園筋を甲子園から真っすぐ北に。2号線に突き当たる手前にある、歴史ある外観のお店です。評判の和菓子店なので、西宮の方なら1度は食べたことがあるかもしれません。私も「冷やし白玉しるこ」(現在はお休み中)をいただいたことがあります。
「冷やし白玉しるこ」だけではないはず!と調べてみると、ショコラ、濃抹茶、きなこの3種類の「わらび餅」といちご大福なども現在販売中の人気商品なのだとか。
早速取材に伺ってみました。
この日取材に対応してくださったのは、創業者のお孫さんにあたる高尾哲司さん。現在は2代目にあたるお父様と和菓子の職人さんとしてお店を切り盛りされています。
創業者である高尾さんのお祖父様は、絵画や利き茶、短歌を嗜む文化人。戦後、手に入れるのが難しかった砂糖を使って作ったぜんざいが「桔梗堂」の始まりだそうです。ちょっとNHKの「カムカムエブリバディ」みたいですね。
高尾さんのお祖父様が、利き茶の大会に参加した際に他の参加者の方たちに、「あなたのぜんざいは、凄く美味しいから絶対商売にしたほうがいいよ」というように後押しされたのだとか。今も「桔梗堂」では当時と同じレシピで小豆を炊いています。使用している小豆は、最高級と言われる岡山備中産のもの。
当時のままのお店で、当時のままのレシピで炊いた小豆のお菓子。昭和、平成、そして令和の今も西宮のこの場所に根付くお店。ロマンを感じます。
では、食べてみた「わらび餅」と「いちご大福」についてレビューします。
まず「わらび餅」3種。きなこ、濃抹茶、ショコラ。まず驚いたのは1個がかなり大きいこと。チロルチョコ4つ分が1つになったくらいでしょうか?!
いざ口へ。
蕩けるような柔らかさだけど同時に弾むような弾力が!こんな「わらび餅」は初めてです。とってつけたような甘さではなく、ほんのり上品な甘さが口いっぱいに。まぶしてあるきなこは、深く濃く、香ばしい風味。
ショコラ味はお餅の部分にミルクチョコが使われていて、外側は純カカオがたっぷりまぶしてあります。チョコの甘さはあるものの不思議とあっさり。和と洋のコンビネーションが素敵すぎます。
濃抹茶も、クリームが入っていて優しい甘さがあり、抹茶は濃厚なのに全く苦くありません。
こんな美味しい「わらび餅」が世の中にあったとは!という表現は全然オーバーじゃないです。思えばいろんな「わらび餅」を食べました。一番最悪だったのは、手作りキットみたいなのをいただいて自分で作ったものです。あの「わらび餅」を脇に置いておいても、今まで「わらび餅」をそんなに美味しいものだと思ったことはありませんでした。「桔梗堂」の「わらび餅」にはひたすらびっくり。美味しいお店の、と言っていただいた「わらび餅」も食べたことがありますが、ここまでの感動はなかったです。
次は「いちご大福」!酸味が強めの「さちのか」といういちごが使われています。すごく上品な甘さでなめらかな餡と、これだけでも美味しいお餅に包まれています。シャキシャキしたいちごと餡、お餅の食感や風味のコントラストが絶妙!ジューシーで甘いいちごは美味しいですが、大福にならなくてもいいかもと思っていたので、「桔梗堂」の固めないちごの大福は、すっごく好みです。大福の生地は、餅米の粉と葛、砂糖、水を合わせたものだそうで、粉の配合も長年続くレシピで「桔梗堂」で行っています。最近は既に混ぜ合わせたものを業者から購入するお店も多いのだそう。
書きたいのは、「ほんとに美味しいよ」ということ。
大分前に亡くなった祖母に食べさせたかったな~と思ったのでした。祖母は和菓子で有名な島根県の松江の出身で、関西に遊びに来た時も堺のほうまで評判の和菓子を買いに行ったりしていました。こんな近くにもあったなんて。
後世に残したい西宮の歴史あるお店。西宮市民独り占めかと思いきや、最近梅田の阪神百貨店でも催事的に「わらび餅」が販売されています。他店には卸さない主義だったそうですが、バイヤーさんの情熱が通じました。大阪にお住まいの方や通勤されている方に朗報です。1階の「おやつテラス」販売日をご確認ください。
住所:兵庫県西宮市甲子園2番町1-16
TEL:0798-48-1611
定休日:不定休
営業時間:8:30~19:00(日曜は8:00~17:00)
アクセス:
・JR神戸線「甲子園口」駅南口から徒歩10分もしくは南口から阪神バス「甲子園行きもしくは経由」「県道上甲子園」下車すぐ
・阪神電鉄「甲子園」駅東口から甲子園筋を北へ徒歩約20分。もしくは西口から阪神バス「JR甲子園口行き」または「西宮行きまたは経由」に乗車「県道上甲子園」下車、向かい。