高射銃で人体を粉々に…金正恩が明かした「密輸女性」の処刑場面
北朝鮮は27日午前、弾道ミサイルと見られる飛翔体を発射した。今年に入り、8回目の発射だ。ロシアのウクライナ侵攻で世界世論が軍事情勢に神経を尖らせる中でも、相変わらず「わが道」を行く姿勢を崩していない。
その一方、国際社会の経済制裁とコロナ鎖国による疲弊が重なったためか、2年も停止している貿易を巡り、ある動きが見られる。
犠牲者の名を列挙
正確な数はわからないものの、北朝鮮は中国に数多くの貿易機関の関係者を駐在させている。彼らは、北朝鮮製品を売り込み、中国製品を買い付ける、北朝鮮経済にとって欠かせない存在だ。北朝鮮当局が、そんな彼らを集めて総和(総括)を行った。
中国在住のデイリーNK情報筋は、北朝鮮当局が今月初め、遼寧省丹東にある貿易代表部の幹部を集めて総和を行ったと伝えた。同様の総和は瀋陽でも行われた。
総和の場で当局は「密貿易や不法行為に加担したのならば、一瞬のうちにしてすべてを失う」と宣言。
当局はさらに、2021年に密輸容疑で処刑された人々の名前を列挙し、その場を凍りつかせた。平壌に近い西海岸の南浦(ナムポ)で密輸を行い、逮捕された女性は高射銃で銃殺され、遺体が粉々になり跡形もなく吹き飛ばされたという。当局は、その場面を詳しく明らかにしたとのことだ。
(参考記事:【写真】玄永哲氏の銃殺で使用の「高射銃」、人体が跡形もなく吹き飛び…)
この高射銃とは、14.5ミリ口径の重機関銃を数丁束ねた対空兵器だ。これほどの大口径火器は通常、ヘリコプターや軽車両への攻撃に使うものだが、北朝鮮では金正恩体制になって以降、人々の恐怖心を高めるため、公開処刑でしばしば使われている。その様子をわざわざ海外の駐在員に語って聞かせるというのも、金正恩総書記ならではのやり方と言えるだろう。
総和の後、駐在員の間では恐怖が広がるかと思いきや、意外な反応が出ている。「国が主導する非公式貿易が拡大されるのではないか」との期待感だ。既に拡大する計画があるため「事前に国の許可を得ていない密輸を根絶しようと総和を行ったのではないか」との見立てだ。
実際、総和で当局の講演者は「今後貿易が再開される日までそう遠くない」と語ったと伝えられている。北朝鮮は国連安全保障理事会の制裁で輸出が制限されている石炭、亜鉛、マグネシアクリンカーなどの鉱物資源を公海上での瀬取りの手法で中国に密輸出してきたが、これを拡大しようというものだろう。
情報筋も、「まもなく高価な鉱物が中国に輸出されるようだ」「中国の業者たちは北朝鮮と随時連絡を取り合っている」と証言した。