無料の米人気音楽メディア、年内に有料課金化へ移行
メディア業界に押し寄せてきたサブスクリプションの波は、音楽メディアにも迫っている。
世界的に人気の音楽メディア「Pitchfork」が、2019年内に有料メディアに変わる可能性が出てきた。
Pitchforkを運営する米メディア会社大手「コンデナスト」のCEO、ボブ・サウバーグ(Bob Sauerberg)が同社員向けに共有したメモによれば、同社が運営する全メディアに2019年末までに「ペイウォール」(サブスクリプション)を導入し、コンテンツの課金を始める戦略を明らかにした。
有料メディア戦略では、Pitchforkだけでなくコンデナストが運営する「Wired」「The New Yorker」「Vogue」「GQ」「Vanity Fair」などのメディアも含まれる。
これまでコンデナスト系メディアは一般的に無料で閲覧ができた。課金が始めればユーザーにどのような影響が出るか、注目される。
成果を出し始めたメディアのサブスクリプション
コンデナストはすでにThe New Yorker、Wired、Vanity Fairで有料化を始めていた。ユーザーは月間で無料で読めるのは4記事までとなり、それ以降はサブスクリプションが必要となる。サブスクリプションを導入したThe New YorkerとWiredは、オーディエンスが12%増加したことを同社は明らかにしている。
サウバーグは全てのメディアをサブスクリプション化することを明らかにしたが、読める記事数や価格は明らかにしていない。
1995年にローンチしたPitchforkは、2015年10月にコンデナストによって買収された。
2019年に入り、創業者で長年編集長を務めてきたライアン・シュライバー(Ryan Schreiber)はPitchforkとコンデナストを退職すると発表した。また2018年には編集長の交代があり、SPINの編集長だったPuja Patelが新編集長に就くなど、メディア内でも変化が起きていた。
長年フリーで読めるPitchforkは、ブログ発の音楽メディアの成功例として、2000年代以降の音楽メディアのトレンドを作った。それまで雑誌中心だった音楽メディアのパワーバランスがオンラインへ一気に移行したことの背景にはPitchforkの影響があったとも言えるだろう。
source:
Conde Nast to Put All Titles Behind Paywalls by Year End (WSJ)
‘Vogue’, ‘GQ’ and Other Conde Nast Titles Will Be Paywalled by 2020 (Fashionista)
(この記事は、音楽ビジネスメディア「All Digital Music」に掲載された記事に加筆しています)