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婚姻率や離婚率の移り変わりの実情をさぐる(2023年公開版)

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
日本では毎年どれほどの結婚が行われ、そして離婚が生じているのか(写真:アフロ)

婚姻率は高度成長期から減少傾向

男女間の法的な配偶関係の締結を意味し、人生における分岐点に違いない「結婚」。法的、公的な場面では結婚している状態も含め「婚姻」と呼ぶことが多い。今回は多くの人が気になるであろう、日本における婚姻数・率の実情を厚生労働省の定点観測調査「人口動態統計」の公開結果から確認する。また、婚姻とはセットで語られることが多い離婚の実情も合わせて確認する。

「婚姻件数」「離婚件数」はそのまま、その年に結婚した・離婚した人の数(「現在結婚している人の数」ではないことに注意)。比率は「%」表記のない限り、基本的に日本における日本人人口の1000人比。

まずは婚姻件数・婚姻率の推移。これを1899年以降継続して2022年分まで、そして戦後と今世紀に限って再構築したもの、計3つをグラフ化した。

↑ 婚姻件数・婚姻率
↑ 婚姻件数・婚姻率

↑ 婚姻件数・婚姻率(戦後限定)
↑ 婚姻件数・婚姻率(戦後限定)

↑ 婚姻件数・婚姻率(今世紀限定)
↑ 婚姻件数・婚姻率(今世紀限定)

戦前は婚姻率はほぼ横ばい。人口が増加していることもあり、婚姻件数も漸増傾向を示している。そして太平洋戦争中は半ば形式的な、戦時状態を鑑みた上での見合い結婚などもあり増加。そして戦後は各種束縛から解放され、あるいは戦時下で延期していた婚姻を取り行うなどで急増(第一次結婚ブーム)、そして団塊の世代が誕生する。

以後婚姻率はしばらく横ばいの動きを見せたあと、団塊の世代が成人したことによる第二次結婚ブームが起きる。同年齢階層の行動様式が同じなら、約20年後に再び第三次結婚ブームが起きるはずだが、結婚のする・しない、結婚時期の分散のため、1980年代後半以降に見られる婚姻率の上昇はさほど大きくない。結婚に対する価値観の変化も少なからず影響しているものと考えられる。

また昨今における婚姻数・婚姻率の低下は、社会的価値観の変化(見合い結婚比率の減少含む)だけでなく、経済面などにおける結婚そのものの難しさ、そして若年層人口の減少、さらに婚姻率の低下に限れば人口に占める婚姻適齢期層の比率低下が要因として挙げられる。

ちなみに直近、2022年においては婚姻件数は50万4930件、婚姻率は4.1(/1000人)である。改元が影響したことによる増加の反動と、新型コロナウイルスの流行で婚姻機会が減ったために、2020年は前年から大幅減となったが、2021年では通常の減少ぶりに戻り、そして直近2022年ではそれら減少の反動による影響か、多少ながらも増加している。

戦後は漸増状態だった離婚率

一方離婚率は婚姻率とはやや異なる動きを示している。

↑ 離婚件数・離婚率
↑ 離婚件数・離婚率

↑ 離婚件数・離婚率(戦後限定)
↑ 離婚件数・離婚率(戦後限定)

↑ 離婚件数・離婚率(今世紀限定)
↑ 離婚件数・離婚率(今世紀限定)

19世紀末の離婚率が比較的高く、太平洋戦争の終戦に向けて漸減しているのが意外に思える人も多いだろう。これは江戸から明治に時代が変わり、さまざまな法令が定められ、その中の家制度(1898年制定の民法で規定された家族制度)の概念が浸透していったことが原因。見方を変えれば、江戸時代は離婚に関してもある程度緩やかな考えだったことが分かる。

太平洋戦争が終わると、婚姻率の上昇と合わせる形で離婚率も上昇したあと、1960年代までは漸減。その後ゆっくりと上昇に転じる。1980年代後半には婚姻数・率の減少に影響される形でやや凹みを見せるも、上昇を再開。2000年代初頭にピークを迎えた後は、婚姻率の低下に連動する形で、再び漸減傾向を見せている(婚姻しなければ離婚はできない。離婚率は「人口比」のため、婚姻している人が少なくなれば離婚の可能性も少なくなる)。

ちなみに直近2022年における離婚件数は17万9099件、離婚率は1.47(/1000人)である。

婚姻率や離婚率は少子化、高齢化社会、さらには単身世帯に絡むさまざまな問題とも浅からぬ関係がある。100余年にわたる変移の中で、どのような社会・周辺環境が影響を及ぼしあっていた・いるのか。今後の動向を推測し、対策を練るのにも、今件のような時系列データは必要不可欠となる。細かい部分はともかく、大まかな流れだけでも覚えておくことをお勧めしたい。

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グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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