二人以上世帯では96.0%…カラーテレビの普及率をさぐる(2024年公開版)
急激に伸び、最近では横ばいから低迷のカラーテレビ普及率
多くの人には今なお日常生活の上で欠かせない存在のカラーテレビ。その普及率の現状や過去からの推移を、内閣府の消費動向調査(※)の結果から確認する。
まずはカラーテレビの普及率の長期的動向。長期データが取得できるのは二人以上世帯のみなので、その実情と保有世帯における平均保有台数の動向を確認する。
有意値の確認ができるもっとも古い年、1966年にはわずか0.3%だったカラーテレビ普及率も急カーブを描いて伸び、1972年には61.1%と半数を突破(その前年1971年は42.3%)。1975年には90.3%と「10世帯のうち9世帯までがカラーテレビを保有」の状態になった。以降、99.0%付近を中心に、誤差でゼロカンマ数%の値を上下しながらの状態が続いていた。
そしてグラフタイトルにもある通り、2014年分からブラウン管テレビが回答項目から除外される。2014年において有意な形で下落を示したのは、これが原因と考えられる。実際、翌年の2015年には上昇を再開し、以前の99%台に戻る勢いを示していた。
ところが2017年では再び下落に転じ、2014年の値(96.5%)に近づく96.7%を示している。直近年では96.0%。ここ数年は96.0%ぐらいを行き来している雰囲気ではある。
保有世帯における保有台数も順調な伸びを示していたが、2005年を天井にその後は減少傾向にある。2014年以降はほぼ横ばいの動きだろうか。2024年では2.12台/保有世帯(全世帯比ではないことに注意)。少子化による世帯構成人数の減少が影響を与え始めたこと(一人で何台もテレビを所有する人など滅多にいない)、そして何より地デジ化への切り替えでテレビの買い替えが一斉に進んだ際、各保有世帯での整理統合が行われた結果と考えられる。
薄型テレビとブラウン管テレビと
カラーテレビをもう少し詳しく探ってみる。かつて公開データ上では「ブラウン管テレビ」と「薄型(液晶、プラズマなど)テレビ」の2区分について、それぞれ普及率が掲載されていた。2005年以降しか調査されておらず、やや雑なグラフになるが、薄型テレビの急速な普及率の高まり、ブラウン管テレビの処分による低下が確認できる。なお2014年分からはブラウン管テレビが回答項目から除外されているため、グラフでもブラウン管テレビは2013年で更新が終了している。
2010年にはブラウン管カラーテレビと薄型テレビはほぼ同率(それぞれ71.6%・69.2%)となり、以後両者の普及率はそれぞれ減少・増加していく。2013年時点では薄型テレビの普及率は9割5分をも超え、ブラウン管カラーテレビはその時点で1/5以下にまで低下している。また、保有世帯あたりの台数推移を見ても、2010~2011年に両者の立ち位置の転換が起きたことが分かる。
その後はブラウン管カラーテレビの減少(2013年まで)、薄型テレビの増加はそれぞれ穏やかな変移に移行している。特に薄型テレビは保有台数も普及率もほぼ横ばい。現在の平均世帯人数を考慮すると、そろそろピークに達したのかもしれない。むしろ普及率は漸減傾向とすら読めよう。
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※内閣府の消費動向調査
今後の暮らし向きの見通しなどについての消費者の意識や各種サービスなどへの支出予定、主要耐久消費財などの保有状況を把握することで、景気動向判断の基礎資料を得ることを目的としている調査。調査世帯は、二人以上の世帯、単身世帯毎に三段抽出(市町村・調査単位区・世帯)により選ばれた8400世帯。調査時期は毎月1回で、調査時点は毎月15日。毎月10日前後に調査対象世帯に調査票が届くよう郵送し、毎月20日頃までに届いた調査票を集計する。
毎月調査を実施しているが年1回、3月分において、他の月よりは細部にわたる内容を調査している。その中の項目の一つ「主要耐久消費財の普及・保有状況」を今件精査では用いている。これは「回答者の世帯において対象品目を回答時点(直近分の場合は2024年3月末時点)で持っているか否か」「持っている場合は保有数量はどれほどか」を尋ねた結果。具体的な利用状況は尋ねていない。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。
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