米長期金利低下のタイミングで覆面介入を実施か
11日のニューヨーク外国為替市場で、6月の米消費者物価指数の発表直後に急速に円安調整が起きて、ドル円は一時157円台半ばまで下落した。
テレビ朝日は日本の政府関係者の話として、政府・日銀が為替介入を実施したと伝え、毎日新聞も、政府関係者は日本政府・日銀が円買い・ドル売りの為替介入を実施したと明らかにしたと伝えた。
たしかにタイミングからみても介入が入ったとしてもおかしくはない。
6月の米消費者物価指数は前月比0.1%低下となり、前月比でマイナスになるのは2020年5月以来となった。前年比は3.0%の上昇と、伸びは5月の3.3%から鈍化した。
これを受けてFRBが9月に利下げに動くとの観測が強まり、米長期金利は一時4.16%に低下した(前日は4.29%)。
米長期金利の低下に合わせて、順張り的に円買いドル売りを実施するというのは、タイミングとしては適切か(介入そのものが適切かどうかという疑問は残るが)。
ただし、やや疑問も残った。時間帯からみてFRBやECBに代わりに実施してもらう委託介入となる可能性が高かったためである。もしや介入ではなかったのではないかと。その後、日銀が12日、為替介入の準備のために市場参加者に相場水準を尋ねる「レートチェック」を対ユーロで実施したことが関係者の話で分かったと、こちらは日本経済新聞が報じた。
ドル円も160円という心理的な節目を抜けてきていたが、ユーロ円はこの日175円台前半まで上昇し(円安ユーロ高)、1999年以降の最安値を更新。つまりユーロ導入後の最高値(円でみると最安値)を更新していた。
たしかに「レートチェック」も入ったようだが、日銀が12日公表した16日の当座預金残高の増減要因予想からみて介入そのものも実施された可能性が出ている。また12日にも追加の介入があった可能性がある。