パウエルFRB議長のジャクソンホールに出席表明の意味、テーパリングは予定通りか
FRBは28日の連邦公開市場委員会(FOMC)でゼロ金利政策と量的緩和政策の維持を決めた。これは予想通り。市場参加者が注目していたのは、テーパリングに関するコメントとなっていた。
パウエル議長は会合後の記者会見で、量的緩和の縮小(テーパリング)の開始に向けて今後複数の会合で経済情勢の進捗を確認すると表明した。
すでにテーパリングの議論を開始することは以前に指摘していたことで、現実に議論は初めており、今後はテーパリング開始まで市場との対話を十分に重ねる意向を示した。特定のスケジュールは「決めていない」と語ったそうだが、それはどうであろう。
パウエル議長は会見で雇用と物価の両面で進展があったとしており、テーパリングに向けた姿勢そのものについては変化はなかった。また、新型コロナウイルスが経済に与えるリスクに警戒感を示し、物価の上昇に関しては、一時的でいずれ落ち着くとの従来の認識を繰り返していた。
変異型の感染拡大などが米国経済にとっての不確定要素になる懸念はある。これがテーパリングの時期を先送りさせる可能性もないとはいえない。物価の上昇に関しては市場がパウエル議長の判断に寄ってきた格好ともなり、米長期金利は低下基調となっていた。
さらにパウエル議長は、ワイオミング州ジャクソンホールで8月26~28日に開かれる年次経済シンポジウムに向け、講演原稿を執筆中であることを明らかにした。
内容については明言を避けたが、市場ではテーパリングに関する詳細が発表されるとの観測もある。少なくとも参加すること事態をこのタイミングで発表したことにも実は意味があるのではなかろうか。つまりテーパリングの示唆は予定通り(?)ジャクソンホールでとの可能性が強いと思われる。
ちなみに、前回、FRBがテーパリングを示唆して市場を動揺させたいわゆるバーナンキショックが起きた2013年には、当時のバーナンキ議長はショック後となるジャクソンホールで開催されるシンポジウムに異例とも言える欠席をしていた。