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学童野球の送りバントと申告敬遠をどう思う?小学生に必要なのは勝利か、打ちにいく経験か。

上原浩治元メジャーリーガー
開会式にて

 夏に盛り上がるのは高校野球だけではない。「高円宮賜杯 第42回全日本学童軟式野球大会 マクドナルド・トーナメント」が8月9~14日、神宮球場や大田スタジアムなど東京都内の7球場で開催された。大会は「小学生の甲子園」と呼ばれ、全国約1万1000の軟式野球チームから前年優勝枠や各都道府県の予選を勝ち抜いた50チームが日本一をかけて熱戦を繰り広げた。

 開会式で始球式のマウンドに上がり、13日の準決勝第2試合ではライブ配信の解説も務めた。

 私自身も軟式野球出身だが、当時は個人もチームも全国レベルにはほど遠かった。解説を務めた全国ベスト4のチームのレベルの高さには驚かされることも多かった。投手は四死球をほとんど出さず、守備も手堅い。多少の失策はあったものの、あいにくの悪天候で試合が中断するなど悪コンディションの中で、手に取ったボールが滑る状況だったことを考えれば仕方ない面もあった。

 一方で、複雑な気持ちになったのは、犠打のサインに対してだ。何度かあったが、失敗はゼロ。サインを出された選手のバントがうまく、日々の練習の成果なのだろう。監督がサインを出したくなる気持ちもわからなくはない。一発勝負のトーナメント。やっている小学生も必死で「まだ小学生なんだから、バントなんて」と言ったら、「自分たちは本気で日本一を目指している」と反論されそうだ。それでも、あえて言いたい。小学生の公式戦では、送りバントを禁止にしてもいいのではないだろうか。

 選手たちの本音は打席に立てば、やっぱりバットを振って打ちたいはず。チームのための犠牲バントはもう少し上のカテゴリーに進んでからのほうがいいのではないか。犠打を禁止にすることで、もし好投手を打てないと思った子どもは考えるはずだ。セーフティーバントで揺さぶってやろうか。進塁打で走者を進めようか。自分で考えてチームバッティングに徹するのはOKだろう。

 私が解説した試合では、2死走者なしから申告敬遠もあった。打者は予選でホームランを量産していたらしい。チームが勝つためには最善の選択かもしれないが、投手は打たれて学ぶこともある。相手が強打者なら、なおさらだ。

 このあたりの是非は本当に難しいなというのも本音にある。犠打や申告敬遠が勝利に近づくというのも一理あれば、小学生のチームがそこまでして勝利を追求するのかという反対意見もあるだろう。もちろん、今大会で現行ルールでの戦術に対して、チームや監督、選手を批判するつもりは全くない。私が言いたいのは、すでにこうした大会もあるかもしれないが、今後の小学生の大会では最初から「送りバント禁止」「申告敬遠も禁止」というルールで戦ってもいいのではないかということだ。小学生の送りバント、申告敬遠、皆さんはどう思いますか。

元メジャーリーガー

1975年4月3日生まれ。大阪府出身。98年、ドラフト1位で読売ジャイアンツに入団。1年目に20勝4敗で最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率の投手4冠、新人王と沢村賞も受賞。06年にはWBC日本代表に選ばれ初代王者に貢献。08年にボルチモア・オリオールズでメジャー挑戦。ボストン・レッドソックス時代の13年にはクローザーとしてワールドシリーズ制覇、リーグチャンピオンシップMVP。18年、10年ぶりに日本球界に復帰するも翌19年5月に現役引退。YouTube「上原浩治の雑談魂」https://www.youtube.com/channel/UCGynN2H7DcNjpN7Qng4dZmg

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