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【一宮市】60余年の歴史に幕。戦後から愛され続けた銭湯の最終日に行って学んだこと。

でめ地域ニュースサイト号外NETライター(一宮市)

戦後間もなくから今日まで街の皆さんに愛されてきた愛知県一宮市の銭湯「浜湯」が、2021年6月30日(水)をもって閉店しました。

営業最終日に、店主さんご夫婦から色々なお話しを伺い、閉店せざるを得なかった状況などを伺うことができ、色々な問題に直面してきましたので、この場でご紹介していきます。

閉店せざるを得なかった一番大きな原因は、建物機器の老朽化によるものだそうです。修理する人がいなくなってしまい、その仕事を継ぐ人もいない為、今は、どこの銭湯も存続が困難になっているということを知りました。

では、どうしてスーパー銭湯などのチェーン店は営業を続けていけるのでしょうか。

店主さんにお話を伺っていく中で、公衆浴場である銭湯は、スーパー銭湯の機器とは違い、全部の機器を総入れ替えする必要があり、昔ながらの修理方法でないと対応できないということがわかりました。

それに、木造だから余計に修理が大変なんだそうです。

私が、「閉店されることは残念ですが、お元気でここまで来られて何よりでした。」と店主さんに声をかけたところ、本当はもっと続けていきたかったこと、続けるために策を模索してきたことも教えてもらうことができました。

息子さんがいらっしゃるのですが、跡は継げないということ。資金を借りて改修工事をしたいけれど、なかなか難しいこと等。

店主さんの銭湯存続への想いを知り、とても切なく、やるせなかったです。

私が伺った閉店の日には、今まで浜湯のことが大好きだったお客さんが代わる代わる足を運び、最後の日を惜しんでおられた姿がとても印象に残っています。

浜湯は、一宮市の中に残っている数少ない銭湯で、全国の銭湯ファンの皆さんにとっても、大切な場所でした。

Twitterでも浜湯の閉店情報を知った多くの方々が話題にされており、その存在の大きさに気づかされました。

閉店から数日経った今、カウンターにあった、きれいに紙に包まれたカミソリは、どうなっているのか・・・、気になります。

そして、味のあるシャンプーやリンスのこの光景も・・・。

銭湯ではお馴染みのこの冷蔵庫も、今では飲み物が入っていない状態なんですよね。とても寂しいです。

入浴後、おばあちゃんによくジュースを買ってもらいました。

下駄箱もこんなに味があって、まだ現役で使えますし、

壁にはマツコ・デラックスさんのサインも。

※マツコさんのサインは、マツコさんのマネージャーさんが浜湯近くの一宮出身のため、持ってきてもらえたそうです。

隣にはくりぃむしちゅーさんのサインもありました。

大切に飾られているところに、また胸がきゅんとしめつけられます。

コロナ禍になってからは、スーパー銭湯の営業も困難となる一方で、浜湯には、銭湯を必要とする銭湯のない地域(岩倉や小牧、犬山、稲沢)の方からの問い合わせが多かったお話も伺いました。

私が思っていた以上に銭湯を必要としている方々が多いのです。

店主さんは、引き続き市内の銭湯で入浴券が使えるように、引継ぎの案内も忘れていませんでした。

入浴券は「杉戸浴場様」、「はなぞの湯様」にてご利用可能とのことです。

浜湯は、戦後間もなく他の方が開業し、営業されていたそうなのですが、平成2年より今の店主さんに引き継がれ、今日までご夫婦お二人で続けられてきました。

一宮市の銭湯の歴史がまたひとつ、幕を閉じることとなります。

今まで本当にお疲れさまでした。ここに「浜湯」があったことを忘れません。

こちらは最終日にお客さんに配られていた赤の牛乳石鹼。

私には取材の最後にボディシャンプーをプレゼントして下さいました。なんだかもったいなくて、というか、とっておきたくて、ずっと机においたままになっています。

最後に店主さんに思い切って、「何かこれからの銭湯のことで伝えていきたいことはありますか?」と伺ったところ、銭湯を続けていけるような、市からの支援に期待をしたいとのことでした!

店主さんご夫婦がこれからも元気でいられますように。

一宮市では現在、「一宮市後継者人材バンク」という制度の登録があるそうです。これらの制度があるということも、これから伝えていけたらと思いました。

▼浜湯の場所はこちら
〒491-0035 愛知県一宮市大浜2-2-36
あいち銭湯のホームページ

地域ニュースサイト号外NETライター(一宮市)

一宮市をこよなく愛す、地域ニュースサイト号外NET一宮市担当ライター。一宮市の旬な話題を求め、日々市内を駆け巡っている3人の子供達の母。得意分野は食レポ。一宮モーニングや尾州織物など一宮市が誇る文化を探求中。好きなアーティストがBTSなので、時々一宮市におけるBTSの記事を書く時がある。プラハ在住の時期があり、海外にも目を向けた言葉を届けたいという想いが強い。気持ちはいつも20代、でも実際は40代の、自称まだおばさんじゃないお姉さん。座右の銘は、Love my self , Love your self

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