池ポチャ後の2ペナに激怒し、USGAとPGAツアーを侮辱的に批判したC・ホフマンのプロ意識の欠如
米ツアーで最大級の観客動員数を誇る賑やかなフェニックス・オープンで、なんとも情けない出来事が起こった。
米ツアー4勝を誇るチャーリー・ホフマンといえば、フェニックス・オープンのタイトル・スポンサーである「ウエイスト・マネジメント」の契約プロであり、つまりは大会ホストだ。PGAツアーの選手会の理事も務めている。
そんな重要な立場にありながら、ルールに従って科された2罰打に激怒したホフマンは、こともあろうにUSGAとPGAツアーを批判する侮辱的発言をSNSで発信し、大騒動になった。
2日目の13番(パー5)でティショットを右サイドの池に入れてしまったホフマンは、1罰打を加え、ルールに従ってドロップしたが、最終的にボールは再び池の中へ転がり込み、さらに1罰打が科され、このホールでダブルボギーを喫した。
ホフマンは、この日、1オーバーの72で回り、通算3アンダー、44位タイで決勝進出となったのだが、13番で2ペナを食らったことへの腹立ちを、彼はホールアウト後、こんな怒声に変えて、インスタグラムに投稿した。
「まるでジョークだ。2度ドロップしてから短い芝の上に置いたけど、それでもボールは転がり始め、水の中に落ちた。USGAはルールをちゃんと変更してくれたのだと思っていたけど、どうやらそれは僕の思い違いだったらしい。僕はルールブックに従ってすべてを行なった。何も間違ったことはしていない。(USGAの)アマチュアたちがプロのゴルフを仕切っているってことが、まさに驚きだ。PGAツアーのルール・オフィシャルも、あんなことが起こる場所にペナルティエリアのラインを引いていることが問題だ。説明責任もまるでない。プレーヤーがまったく守られていない」
ホフマンは、そう発信した上で、さらにこんな発言を続けた。
「なぜ、みんなが、もう1つのツアーへ乗り換えたがっているか?プレーヤーは透明性と保護と一貫性を求めているからだ。現体制の下では、それが得られない」
言うまでもなく「もう1つのツアー」とは、サウジ・マネーをバックにして立ち上げられようとしているSGL(スーパー・ゴルフ・リーグ)を指している。
ホフマンが発信したUSGAとPGAツアーに対する批判的、侮辱的コメントに対し、フィル・ミケルソンは「そうだよね」、ブライソン・デシャンボーは「心から同意する」と、賛同するコメントを書き込んでいたが、「そこに打つなよ」とユーモラスな一言を書き入れていたエミリアーノ・グリリョのリアクションが痛快だった。
グリリョが指摘した通り、そもそもホフマンがティショットをそこ(池)に落としてしまったことが、すべての始まりだったわけで、ホフマンの言動は、お門違いも甚だしい。
もしも現行ルールに関して本当に不満や批判すべきと思う点があるのなら、それをUSGAやPGAツアーに申し立てることは、もちろん可能だが、それは冷静にきっちりと申し立てるべきものであり、怒りの矛先として侮辱的な言葉を一方的に発信するべきではない。
ましてや、大会ホストであり、選手会の理事でもあるという自身の立場や役割を忘れ、怒りに任せて、しかも「もう1つのツアー」などというタッチーな事柄を持ち出して言うべき言葉では決してない。
もちろん、ホフマン本人も、しばらくして我に返ったのか、今度はPGAツアーのジェイ・モナハン会長への謝罪の言葉を発信。
「ごめんなさい、ジェイ!選手会を代表する僕自身も含めて、プレーヤーたるものは、すべての面において、もっとベターにならなくてはいけない。そうでなければ、ツアーの存続はできない。すぐにでも変わらなければならない」
謝罪はしたものの、「覆水盆に返らず」という面は否めない。ホフマンの言動は、あまりにもプロ意識が欠如した情けないものだった。
この出来事をきっかけとして、PGAツアーやゴルフ界を「もっとベター」な未来へ導くような努力を、せめてホフマンが見せてくれることに期待したい。