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1年生左腕快投!網走南ヶ丘、北北海道大会へ @北見東陵球場

川端康生フリーライター

1年生左腕、快投

網走南ヶ丘の石澤投手が素晴らしかった。173センチ、60キロ。サイズもウエイトも十分とは言えない。だが、キレがいい。特に右打者のインコース。ストレートもスライダーも、コントロール抜群で、しかも鋭い。

ランナーを背負うことは少なくなかった。初回、2回、4回……。いずれもスコアリングポジションにランナーを背負った。

それでも堂々としたマウンドさばきで後続を打ち取った。だから、試合途中まで気付かなかった。実は1年生。おまけに初先発だと聞いて、舌を巻いた。

前評判の高かった北見商業、佐藤投手を上回るピッチングだった。

見応えある投手戦

その佐藤投手、序盤は苦しかったかもしれない。ボールがまとまらない。腕の振りがボールの勢いにうまく乗っていかない感じ。

不運も重なった。初回の失点は、詰まらせて打ち取った打球がサード後方に落ちた。2回はエラーでランナーが進んだ後、バントと内野ゴロでホームインを許した。3回はうまくスクイズを外したのだが、その次の球を狙われた。

もっとも中盤以降は尻上がりに調子を上げた。指にかかったボールが決まり出した5回以降はノーヒットピッチング。好投手の噂通りの力を見せた。バッティングでも非凡なセンスを披露。2安打を放った。

北見商業にとっては、序盤、毎回のように2塁、3塁とランナーを置きながら、あと1本が出なかったのが痛かった。イニングが進んでも、スタミナ切れさえみせない1年生投手に手を焼き続けた。

7回には武田のレフト線への快打で1塁ランナーが長躯、ホームを狙ったが、レフト、ショート、キャッチャーと乱れなくつながった相手守備陣のリレーに目前で封じられた。あと1本、あと1歩の差で涙を飲むことになった。

それでも中盤以降の、佐藤と石澤両左腕の投げ合いで見応えのある代表決定戦だった。

北北海道大会は7月15日から

北見支部代表の座を勝ち取った網走南ヶ丘。

7回のカットプレーをはじめ、守備での好プレーがいくつもあった。この試合、キャッチャーとしてマスクをかぶった背番号「1」の角谷は、二盗をストライク送球で二度刺し、パワフルなバッティングも光った(2安打)。能力の高い選手だ。

そして、やはり石澤。終盤になってもキレや制球力が落ちることもなく、それどころか注文通りの組み立てで打者を翻弄する場面もあった。

地元網走三中出身。入部からまだ3ヶ月が過ぎたばかりだ。

旭川スタルヒン球場で強豪相手にどんなピッチングを見せてくれるか。楽しみな投手の出現である。

北北海道大会は7月15日から。北見支部の2校をはじめ、支部代表16校が甲子園を争う。

フリーライター

1965年生まれ。早稲田大学中退後、『週刊宝石』にて経済を中心に社会、芸能、スポーツなどを取材。1990年以後はスポーツ誌を中心に一般誌、ビジネス誌などで執筆。著書に『冒険者たち』(学研)、『星屑たち』(双葉社)、『日韓ワールドカップの覚書』(講談社)、『東京マラソンの舞台裏』(枻出版)など。

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