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経済学者47人による意見の場、極論のようなものがまかり通りるのを防ぐ役割も

久保田博幸金融アナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 日本経済新聞社と日本経済研究センターは経済学者に政策の評価を問う「エコノミクスパネル」の第1回調査の結果をまとめた(29日付日本経済新聞)。

 これは日経と日経センターが研究業績や発信力に優れた経済学者47人を専門家の助言を得て選び、重要な経済課題について問うていくものだそうである。

 欧米の大学や研究機関が有力な研究者を集めて実施しており、政策形成に一定の影響力を持っているそうで、その日本版というか日経版となる。

 これは良い試みというか、もっと早めにやってほしかったと思う。ネットなどでは一部偏った意見が広まりやすい傾向がある。

 ある意味、極論のようなものがまかり通り、メディアでの露出の多い経済学者などの意見が鵜呑みにされることがある、というかそれが多い。

 第一線にいる経済学者たちは本当はどう考えているのかが、あまり示されず、極論のみが拡がってしまう傾向もある。

 これもネットのひとつの弊害かと思われ、極論に対して、第一線にいる経済学者たちが果たして共感しているのか、それとも別な意見を持っているのか。それが確認出来る場となるのではないかと思う。

 第1回目の調査は石破政権の経済政策をテーマに15~20日に実施し、46人から回答を得た。物価高対策に加えて「年収の壁」、最低賃金について質問したとか。

 まず、石破茂政権が経済対策に盛り込んだ電気・ガス料金への補助を「不適切」と答えた割合は77%に上った。

 これは意外と思われた人も多いのではなかろうか。政府が物価高対策を行うのは当然だろうと。

 しかし、「特定の財への補助は価格メカニズムを通じた適切な資源の配分をゆがめる」、「補助は物価抑制には逆効果で、環境保全にも悪影響を及ぼす」との指摘があった。

 補助による財政支出の拡大はむしろ物価を上げる要因ともなりうることで、補助を行えば良いというものではない。こういった指摘を確認出来る場が新たに設けられたことは良いことではなかろうか。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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