【香芝市】“令和の米騒動”を振り返る~スーパーの店員が見た2024年の米不足の夏
10月31日はハロウィンの日。
今回は「ハロウィン=収穫祭」にちなみ、2024年の米不足「令和の米騒動」について振り返ります。
私はYahoo!ニュースを書きながら普段は、香芝市内の某スーパーの店員として働いています。
家族や周囲の人の話、お客様の話、店頭での品や価格の動きについて感じていたことをまとめ、今後、同じようなことが起こった時にできる家庭防衛術についてもふれていきます。
参考までに我が家は4人家族。高校生の息子と中学生の娘、2人とも運動系の部活をしているのと、夫と息子は毎日弁当が必要になるので、米の消費は早く、1か月半で30kg消費します。正直、米不足の衝撃は大きかったです。
2024年4~6月頃~米の価格に違和感
このころ我が家のお米は、夫が某ネットショップで生活応援米30kgを注文していました。
2024年の4月頃、いつものようにお米の注文をお願いすると夫が
「なんか米の値段が上がってる…」
と言い出したのが米の価格を意識しだしたきっかけでした。
もともとなんとなく値上がりしている感はあったそうなのですが、ちょうど新米の時期だったし、上がったと言っても数百円ずつだったため、そんなこともあるだろうと思いつつ、注文していたとのこと。
【参考】すべて30kgの生活応援米
2023年5月 A店にて7,490円
2023年6月 A店にて7,730円
2023年8月 A店にて8,880円
2023年10月 A店にて8,880円
2023年11月 A店にて9,990円(新米)
2024年1月 B店にて9,490円
2024年2月 C店にて9,230円
2024年4月 C店にて9,980円
その後6月に入り、米を買おうとしたらびっくり!
同じ店で同じ米なのに、前回の9,980円から11,880円に。
でもこの時はまだ、高いと思いつつネットショップで購入を続けていました。
2024年6~7月頃~10kgの商品が店頭から消える
6月の終り頃ぐらいから仕事中、お客様より「10kgのお米は売ってませんか」という問い合わせが増えました。
言われてみれば、店頭にある商品は5kgか2kgで、10kgのお米がない状態に。
問い合わせがあるたびに「今は置いていない」とお伝えしていましたが、今思えば、その頃から自分の職場では10kgの入荷が止まっていたようです。
しかし私は、そのような状況でも「ははーん、米の値段が上がってるのが丸わかりだから10kgの入荷をやめたのかな」(←実際はそんなことはありません)とお気楽に考えていました。
そしてほぼ同時期に、本格的に夫からも「さすがにこの米の値段の高さは異常」と。
聞けばなんと16,000円超え。1年前の同時期よりほぼ倍。
納得がいかなかった夫は、その時ネットショップで注文せず、米の価格上昇についてネットで情報収集を始めました。
その後夫より
「今どこも高いみたい。いっそ店頭で安い米を見つけた時に買う方が安く買い物できるかも」
とのこと。
そのため、しばらくは私も買い物の際や仕事の際、米の値段を注意深く見るようにしました。
2024年7月下旬〜米の入荷が減っている?
職場では米が完売になる時間が早まり、品薄感を感じ始めるように。
そのうち新聞でも米不足を報じる記事を見るようになりました。
ある日の業務中、米の業者が売場に納品しているところを見ると、台車に乗っている米が5kgの商品で10袋ぐらいしかないのに気づきました。
いくらなんでも、納品だけで10袋は少ない。いや少なすぎるだろ。
これはいよいよ、「米が足りない」ということなのか?
私はその時、自宅の米の在庫を心配し始め、その日の仕事帰りにひと袋、買って帰りました。
2024年8月上旬〜米が買えない!
米の入荷が減ってきたことにさらなる追い打ちが。
2024年8月8日の宮崎県日向灘を中心に起こった大地震。
この時に気象庁は「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表したのは、周知のところだと思います。
これをきっかけに水や乾電池、非常食になるものが飛ぶように売れ、水に至っては数量制限販売に切り替えざるを得なくなりました。
おそらくこの時に米も備蓄のために購入に走った方もおられたのでしょう。供給の少なさにさらに拍車がかかり…。当然、水と同様に米の数量制限販売となりました。
「巨大地震注意」については1週間で解除になったため、水の供給はすぐに戻りましたが、米の供給は戻るどころか、ますます入荷数が減る事態になることに。
2024年お盆頃~米騒動に地域差があることを知る
奈良県内のSNSグループ内でも、米不足の話が出始めました。
私がSNSで確認した範囲では香芝市内だけでなく、奈良市、大淀町、桜井市などでも「米が買えない」「米が異様に高い」などの声が。
一方で、全国関係なくSNSで情報を収集してみると、北陸や九州、北海道では「スーパーで普通にお米売ってるよ」との投稿がちらほら。
北海道に至っては、勤め先のスーパーで値上がりする前の金額で5kgのお米が売られている様子が画像で確認できました。
(※私がSNSで見ただけの情報なので、一部地域の話かもしれません)
少しずつ、不思議に思い始める私。
さらに驚きの話が。
お盆で、東海地方の某県で離れて暮らしていた長男が帰ってきました。
長男に「そっちではお米買えてる?」と聞くと「全然普通に買えてるで」とのこと。
そこで私が思い始めたのは…「米不足って、首都圏と関西の話なんかな」
でも、それ以外の地域には米があるってどういうこと?
そういえば、店でも不足しているのはお米のみ。お弁当やおにぎりは通常通り入荷があるのも違和感を感じていました。
2024年お盆明け~在庫がない日も
お盆明けになると、店頭に米がない日々が続きました。
自分の職場だけでなく、近隣店舗のほとんどの売場も同様でした。
少ない米の入荷があった日は、「ご家族様1つ限り」の販売にもかかわらず、開店30分で完売する、ということが繰り返される日々。入荷がない日も。
価格も5kg3,000円を超えていましたが、皆さん値段はお構いなし。
とりあえず「売っているだけでもありがたい」と話すお客様までいました。
完売後は当然、お客様から「お米はいつ入荷するの?」との問い合わせが頻繁に。
供給が不安定な状態ではいつ入荷するかわからない状態だったので「わかりません」としか答えられない状況。そしてお客様の会話から聞こえてきたのは
「しょうがない、パックご飯買って帰ろうか」
代替品が続々と品薄に
お客様の会話を聞いてまさかと思い、パックご飯売場に行くと売場がカラに。
その後、パックご飯の入荷もしばらく止まりました。
同時期に冷凍うどんも飛ぶように売れ始める現象が起こり、主食となる代替品が次々と品薄状態に。
また、少し前までは影響がなかったおにぎりやお弁当も完売が続き、やがておにぎりの入荷数が減ってきました。おにぎりの品出しをしていた学生アルバイトの子が「おにぎりの種類が減ってる!」と驚いて話しに来たほどです。
そしてついには玄米や押し麦までも売れていきました。
(次はお好み焼きの粉が品薄になるのでは…とも思いましたが、それはさすがにありませんでした。(笑))
我が家の米もそろそろ枯渇しそう、しかも夏休みが明けたらお弁当が必要なのに…でも米が買えない…正直私もこの時期は気が気でない日々でした。
そこでとりあえず、米の流出を抑える目的で、我が家も代替メニューを取り入れました。
ある時は焼きそば、ある時はパスタ、冷凍保存していたご飯も引っ張り出して使う。これで乗り切った私、我ながら頑張ったと思います(笑)
2024年8月末頃〜やっと新米が登場!
8月末ごろ、やっと新米が20袋ほど入荷しました。
入荷初日は飛ぶように売れましたが、1週間ほどで少しずつ落ち着き始め、本格的に新米が入荷しだした9月下旬ごろには夕方まで売場に商品がある状態にまで復活。
10月に入ったらいつもの売場に戻り、お米も銘柄や値段で選べる状態になりました。
でも、価格は値上がりした状態から下がらず、ピーク時に比べ若干下がったものの、5kg3000円前後で販売されています。今も10kgの入荷はありません。
米不足の背景として言われていたこと
「なぜここまで米不足になったのか?」原因としていろいろ言われていますが、ここではYahoo!ニュースの以下の記事からまとめて紹介します。
この記事によると米不足の原因は複数の要因が重なっており、「米作り農家の減少と前年度の米の不作」「災害の影響で販売量が増えた」とのこと。
他の記事では「減反政策の結果」「インバウンド需要の増加」などがあげられていましたが、正直、ネットショップやスーパーでの値の動きや入荷、消費の状況をみるとこれらの説明でもあまりピンときません。一部地域では普通に販売されていたのも不思議です。
誰かに、納得できる説明をしてほしいぐらい。
お米の価格は今後どうなる?
2023年に鳥インフルエンザで卵が不足したことがありました。
普段は10個入139円ぐらいだった商品が、ピーク時には298円ぐらいになりましたね?
その後供給が安定し、値段が下がっても169円ぐらいで下げ止まり、値上がり前の水準に戻らないままでした。最近また値上がりし、200円を超えました。
当時を参考にお米の価格がどうなるかが気になりますが、私はすぐに値段は下がらないと考えます。供給が安定した状態が続けばいずれ、値段が少しずつ下がることはあるでしょうが、値上がり前の水準にまで下がることはもうないかもしれません。
私たちが家庭でできることは
今回のような米騒動から、いろいろなことを学びました。
その上で、家庭でできることを考えたいと思います。
1.10kg米をスーパーなどで見なくなったら要注意
今回の米に関する異変は、価格の値上がりと同時に、10kg米の販売が止まったことも兆候としてあったと考えられます。
2.店頭での販売価格は定期的に自分で記録しておく
家計簿をつけるのがベストですが、特に米や卵、乳製品、野菜などは販売価格を記録しておくといいと思います。「●●な時には▲▲の値段が上がるかも」という法則が見つかるかもしれません。
3.米以外の主食レパートリーを増やしていく
米がなくなれば世界が終わるような感覚に陥りがちですが、よく考えたら主食として食べられるのは米だけではありません。うどん、そば、ラーメン、パスタなどの麺類、ピザやお好み焼きなどの粉もの、サンドイッチなどのパン類で乗り切るすべも持っていると米が少なくなったときに「いざとなったらこれで乗り切る!」と思えます。
また、節米メニューとして具だくさんの炊き込みご飯やチャーハンという方法も。
4.高騰した価格は簡単には下がらないことを知っておく
2023年の卵不足のように、いったん上がった価格は下がって落ち着くまで時間がかかる上、値上がり前の同水準まで下がらない可能性が高いでしょう。
5.原料などの価格高騰のニュースには敏感になる
何らかの原料不足や価格高騰があれば新聞やテレビで報道されます。これらのニュースには敏感になっておくことで、買い物前の心の準備ができますし、対策をたてることもできます。
ちなみに今年の4月から、チョコレートの値段が上がっているとのこと。最近取材した複数のお店の店主さんが悲鳴を上げておられました。
今回は、香芝市から「令和の米騒動」の様子を、香芝市担当の地域クリエイターの視点で振り返りました。
今後また、同様の米価格の変動や品薄状況になった時に役に立つと幸いです。
でも、正直もうこういうのはごめんですが…。