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【名古屋市】飲食店にイノベーションを起こす!?ただの無人販売所ではなかった「キッチンアミーゴ」

羽矢旬良ライター(名古屋市)

国道41号線沿いの東側に建つ、ひときわ目を引くエメラルドグリーンの建物は、今年の7月にオープンした「キッチンアミーゴ」さん。1階の無人販売所には、小分けされたコストコ商品をはじめ、ラーメンや格安のドリンクを販売する自販機が並んでいます。「最近、市内でよく見かけるようになった無人販売所のたぐいかな」と思ったのですが、実は斬新なコンセプトに基づいて作られたお店でした。

まずは建物の外観を見ていただきたいのですが、お分かりでしょうか。この建物、コンテナを3段に積み上げて作られています。奥の階段室もコンテナなので、合計6個のコンテナの集合体でした。これについては後程あらためて取り上げます。

今回は、この建物のオーナーである「有限会社山都屋」の代表取締役である水谷さんにお話を伺うことができましたので、お店をオープンされた経緯と今後の展望などをご紹介します。

有限会社山都屋は、「看板マンドットコム 高辻店」という屋号が示す通り、看板に関する事業を中心に、カーラッピングや建設業など幅広く手掛けている会社です。水谷さんが海外に渡航した際にヒントを得て日本で事業化し、他者が追随することで市場が拡大したものも少なくないようで、前述のカーラッピングもその一つ。街で見かけるなごや観光バスの金色のラッピングは、こちらの会社が請け負っているものです。その他、サーキットで使われるLEDを使ったピットボードや、足場を組まない「ロープアクセス工法」を取り入れた看板の点検方法なども水谷さんが先駆けなのだとか。
これらは、先見の明もあると思いますが「困った人がいると何とかしてあげたい」と思ってしまう水谷さんの性格によるところが大きいようで、アイディアを探している人や、お金がなくて他の業者に依頼を断られた人に出会うと「自分が何とかしてあげたい」と考えてしまうそうです。
「ちろん『ビジネスになる』と思うから始めるんですけど、思いついたアイディアをお金に執着して深く追求しないから、他の人がやってもうけちゃうっていうパターンが多いんですよ(笑)」とのこと。
これはこれで、各々の得意分野を生かした、みんなが喜ぶパターンと言えそうです。

今回ご紹介する「キッチンアミーゴ」は、そんな水谷さんが今後力を入れていきたいと始めたもので、フロアごとに役割があり、それらが有機的に連携しているものでした。
まず1階ですが、ここには冷凍食品も販売できる自販機が設置された無人販売スペースです。

次に2階。こちらは瞬間冷凍機などを備えたレンタルキッチンスペース。俗に言われる「ゴーストキッチン」ですが、ここに看板屋さんならではのうれしい工夫がありました。外壁にデジタルサイネージが設置されており、キッチンを借りている時間は自分の看板で営業ができるのです。

写真提供:有限会社山都屋
写真提供:有限会社山都屋

写真提供:有限会社山都屋
写真提供:有限会社山都屋

デジタルサイネージだけの利用も可能。10秒枠が月々1万円から
デジタルサイネージだけの利用も可能。10秒枠が月々1万円から

そして3階は多目的スペース。現在はイートインになっています。

写真提供:有限会社山都屋
写真提供:有限会社山都屋

屋上は、ちょっとしたイベントを開催できる場所。

写真提供:有限会社山都屋
写真提供:有限会社山都屋

写真提供:有限会社山都屋
写真提供:有限会社山都屋

「飲食店を経営していた友人がコロナ禍の影響で廃業して勤め人になった時、『自分のお店は持てなくても、自分の料理のファンになってくれた人に、もう一度料理をふるまいたい』なんて話をよくしていたんです。聞けばそういう人が他にもたくさんいて、そうした人たちのためにプラットフォームを作ることができれば喜ぶ人がいるのではないかと考えていたところ、シェアキッチンを思いつきました。看板屋が言うのもなんですけど、看板が無くなっても、屋号は残してあげたいなと思いまして」(水谷さん)

その思いつきに肉付けをする形で「フードロスをなくすための瞬間冷凍機や真空パック機を置いて、1階を無人販売スペースにしてはどうだろうか」などと構想していたそうです。そして、その構想を基に応募した補助金が採択されたことで、今回の事業が実現しました。
冒頭で触れたコンテナで作られた建物にした理由は、火事や地震に強いため建築基準が厳しい地域にも対応できる上、経済的であること。また、自社で建設業の許可も取得しているため、これなら、建物を含めた仕組みを丸ごとパッケージ化することも可能で、将来の事業拡大も見越しての選択だったようです。

今回実現した事業について水谷さんの奥さんは、「私は夢の建物だと思っています。自分は飲食店に勤めた経験があるのですが、女の子って結婚して子供を産むと飲食店で働けなくなるんですよね。結婚する時に先輩に『結婚するかお店を持つかどっちかだよ』って言われました。でも、この業態だったら続けることができます。ずーっとお店に立ち続けるのではなくて、2階のキッチンで作って1階の無人販売所で売ることができますから。イートインで食べてもらってもいいし、ネットで販売したり出前形式にしてもいいですね」とワクワク感いっぱいでした。

「借りた人が何をするか。ここは自由に発想してもらいたいんです。いろんなアイディアを実現できる場になればいいと思っています。それから、開業資金がなくてお店を諦めている人にも、ぜひ利用していただきたいですね」と水谷さん。

また一つ、みんながよろこぶ事業がスタートしたようです。キッチンで腕をふるうも良し、販売されるものを食べて楽しむも良し。いずれにしても今後が楽しみなお店です。

店舗情報

店名:高機能シェアキッチン&枠貸し自動販売機 キッチンアミーゴ
住所:名古屋市昭和区円上町15-18
公式Instagram
オーナーFacebook

ライター(名古屋市)

名古屋生まれの名古屋育ち、現在は近郊在住。ライトなものからディープなものまで、名古屋のリアルを私情を交えてお伝えします。本業は、開業社労士。

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