金正男氏を米国政府が資金援助か…殺害の引き金に!?
北朝鮮の金正恩党委員長の異母兄・金正男(キムジョンナム)氏が2月13日にマレーシアで殺害される前、米情報機関とつながりがあると見られる韓国系米国人男性と接触していたとの情報が浮上した。朝日新聞が13日、マレーシアの捜査当局の情報として伝えている。
デイリーNKジャパン編集部の取材によれば、正男氏は生前、米国政府から毎月一定額の資金援助を受けていたとの情報がある。朝日新聞の報道は、この情報が事実である可能性を補強するものと言える。
朝日新聞によると、正男氏は2月8日、マレーシア北部のリゾート地ランカウイ島を訪問。その翌日、ホテル内で男性と接触した様子がホテルの監視カメラに捉えられていた。正男氏と男性は一緒にスイートルームに入り、約2時間後に出てきた。また、同じ日に正男氏のノート型パソコンにUSBメモリーが差し込まれたことがパソコンの解析で判明しているという。
正男氏と男性はそれまでにもたびたび接触していたとされ、どのようなやり取りがあったのか興味深い。仮に、その内容を北朝鮮当局に知られていたとしたら、それこそが殺害の引き金になったとも想像できる。
(参考記事:金正男氏を死に追いやった「暴露スクープ」の中身)
実際、正男氏の旅程は北朝鮮当局によって完璧に把握されていたと見られており、少なくとも2人が接触していた事実は捕捉されていたのだろう。
(参考記事:金正男氏を「暗殺者に売った」のは誰か…浮かび上がる「裏切り者」の存在)
デイリーNKジャパンが得た情報によれば、米国政府は第三者を介し、毎月一定額を正男氏に送金していたとされるが、その額はさほど大きなものではない。基本的な生活費にはなるが、裕福な暮らしを維持できる数字ではない。
3年前に東南アジアで正男氏と接触した在日韓国人の男性によれば、「正男氏が投宿していたのは、超一流ではないが十分に高級なホテルだった」という。正男氏はおそらく、米国からの一定額の支援に加え、ほかにも収入源があったか、あるいは情報提供などの対価としてより高額な経済支援を米国から受けていた可能性もある。
しかしそれにしても、北朝鮮の権力中枢から長らく遠ざけられていた正男氏に、米国はどのような価値を見出していたのだろうか。
考えられるのは、北朝鮮の体制内部に正男氏の協力者がおり、その人物が、価値のある何かをもたらしていたということだ。