マックVSケンタ「月見バーガー戦争」勃発! 月見バーガーに隠された驚くべき秘密とは?
「月見バーガー」だらけのハンバーガー業界
秋と言えば月見、月見と言えば「月見バーガー」である。「月見バーガー」とは、『マクドナルド』が1991年より秋に期間限定で販売している商品で、月に見立てた「ぷるぷるたまご」と「100%ビーフパティ」「スモークベーコン」をトマトクリーミーソースとともに合わせた人気メニューだ。
今年は9月7日から販売開始。毎年新しいアイテムを投入して話題を集めているが、今年はすき焼きフィリングを挟んだ「こく旨 すき焼き月見」が登場。他にも「栗のモンブランの月見 マックフルーリー」と、14日から販売する「安納芋のスイートポテト味の月見 マックシェイク」などのサイドメニューも揃えた(参考:マクドナルドホームページ)。
そして『ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)』でも、8月31日より「とろ〜り月見サンド」の販売を開始。こちらは2016年より秋に期間限定で販売している商品で、チキンカツと目玉焼き風のオムレツを挟んだものを提供し、人気を博している(参考:ケンタッキー・フライド・チキンホームページ)。
他にも『ロッテリア』では9月8日より「とろ〜り半熟月見」を、『モスバーガー』でも9月14日より「月見フォカッチャ」を販売開始。さらには『コメダ珈琲店』も9月7日より「フルムーンバーガー」を投入するなど、ハンバーガー業界は右も左も「月見」だらけの戦国時代へと突入した感がある。
「月見バーガー」に隠された画期的なアイディアとは?
飲食チェーンなどがこのような限定商品を投入する狙いは、新規顧客の開拓や来店動機を増やすこと。旬の食材を使って季節感を演出したり、今だけしか食べられないという稀少性をアピールするなど、特別感のある商品の開発には苦労が伴うものだ。
例えばハンバーガーで言えば、通常メニューとは違うバンズやパティ、ソースなどを開発し、さらにはその限定バーガーでしか使わない食材の調達も必要となる。ましてやマクドナルドやKFCなど多店舗展開しているチェーン店の場合は、食材の確保やクオリティの均一化も求められる。
そんな中で、この「月見」メニューはハンバーガー業界において画期的なアイディアであった。旬の食材は調達がなかなか難しいが、鶏卵は価格も含めて安定的に仕入れることが出来る。さらにただの目玉焼きであるにもかかわらず、秋の風物詩でもある「月見」と結びつけることで季節感の表現にも成功したのだ。
この画期的な「発明」によって、既存のバーガー類に目玉焼きやオムレツなどを挟むだけで、新たなシーズナルアイテムを生み出すことにマクドナルドは成功した。仕入れやオペレーションなどの追加も最低限で済む、非常に合理的な商品と言えるだろう。
ちなみにマクドナルドでは、レギュラーメニューに「エグチ(エッグチーズバーガー)」があるため、目玉焼きは通年にわたり作られている。さらに春にはてりやきバーガーと合わせて「てりたま」を期間限定で販売している。同じ目玉焼きを乗せた商品なのに、消費者は「月見バーガー」を特別なものとして受け入れている。いかにこのアイディアが画期的であるかが分かるだろう。
「月見」は元々中国から伝わってきたもので、日本では平安時代の貴族たちが中秋の名月を眺めながら酒などを楽しむ宴があったと言われている。今年の中秋の名月は9月10日。お気に入りの「月見バーガー」を食べながら、十五夜を過ごすのも一興かもしれない。
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