お金持ちは「時間の使い方」が上手 今すぐ実践可能なお金が貯まる「習慣化」とは?【特別企画】
老後2000万円問題、消費税増税、景気後退など、資産形成についての関心が一層高まる中、注目を集めているのがアジアの富裕層たちが実践しているという「習慣化によるお金の貯め方」です。
アジアの富裕層と聞くと、潤沢な資金を元手に投資などで大きくもうけながら派手な生活を送る、というイメージがあるかもしれませんが、実際にはそうではありません。
彼らはお金の使い方全てが「投資目線」となっており、余分な支出をゼロにするという習慣化が徹底されているからこそ、資産と呼べる規模にまでお金が集まってくるのだとか。
今回お話を伺ったのは、外資系投資銀行を経てファイナンシャル・プランナーとして独立、海外での投資や資産運用に興味がある人に向けて実践的なノウハウを伝えている花輪陽子さん。
2019年12月より配信開始の『アジア富裕層から学ぶお金が貯まる3つの習慣』という有料連載記事では、シンガポール在住の花輪さんが現地で必要性を実感した「習慣化」について、しっかりと学べるそうです。
シンガポールではお金の話をするのが当たり前
――世界中から超富裕層が集まるというシンガポールですが、お金に対する考え方などに違いがあれば、ぜひ教えてください。
花輪:日本との最大の違いは、シンガポールではお金の話を誰もが普通にしていることですね。
カフェや友達の家などで人が集まれば「どういう資産運用をしているの」とか「この投資が今もうかるみたいだよ」といった話を自然にします。日本では、オープンスペースでいきなりお金の話をするとギョッとされますし、何かの詐欺かもしれないぞ、と警戒される方が普通でしょう。でも、シンガポールでは普通のことなんです。
いい意味でお金に関する話のタブーがないため、もうかる話があればみんなで共有しようという空気があるんですね。そのため、金融に対してのリテラシーが平均的に高いという特徴があります。怪しいビジネスや人物についてもまわりで情報が共有されますし、目も肥えているので、単純な詐欺には引っかかりにくいと思います。
――お金の話を自然とするのが、シンガポール流なんですね。
花輪:タクシーに乗っても、運転手が普通にお金の話をしてくるんですよ。「あなたの住んでいるところの家賃っていくら?」「もうかる話ある?」といった感じで、ごく自然に。そうやって積極的に情報を集め、お金の節約や資産形成につながるような話があれば、遠慮なくドンドン切り込んでいくのです。
もちろん良い面ばかりではありません。例えばシンガポールのレストランでは「プロモーションメニュー」と呼ばれる、定価よりも安く設定されたメニューがあるのですが、これを店員から強引に押し付けられてしまうことが多いです。「4人で食べるならコレでいいでしょ、安いから!」と。日本なら、さりげなく「セットの方がお得ですよ」と伝えられるぐらいなのに、この辺りも文化の違いでしょうね。食事ぐらい、損得よりもまず好きなメニューを選びたいのに(笑)。
お金を使う時、使わない時をはっきり分けるのがシンガポール流
――お金の話を積極的にするのは、どちらかというと庶民的な層になるのでしょうか。
花輪:いいえ。ちょっとした節約や合理性を重視する考え方は、富裕層であっても全く変わりません。むしろ富裕層の方が「プロモーションメニュー!」とか「これの方が安くなる!」という話に傾倒しているかもしれません。
――お金をたくさん持っているのに、ですか。
花輪:シンガポールでは中華系やインド系の富裕層が多く暮らしているため、物事を数字で捉える習慣が定着しています。普段はとことん安さ重視を徹底、一方でお金をかけるべきタイミングではしっかりと使うのがシンガポール流です。
例えばシンガポールのランドマークとして有名な「マリーナベイ・サンズ」内で賑わっている店舗は非常に高いお店か非常に安いお店の2種類です。スペシャルな記念日には高級なレストラン、そうでない日は安い料理店や自炊といったように、みんなが出費にメリハリをつけています。そのため日本のような中間志向のお店では生き残りが大変なんです。
――本当に徹底しているんですね。
花輪:富裕層が自宅で食事する場合も同じです。シンガポールではメイドを雇用している場合が多いですが、普段は安いマーケットで購入した食材だけで料理を作ってもらっています。富裕層宅の食卓といえば、豪華なステーキやキャビア、超高級店のケータリングなどをイメージするかもしれませんが、本当に庶民的なスープや野菜料理が並ぶだけ。ビックリすると思いますよ。
特にインド系の人々は割高なお店を選びませんし、オーダーも最小限。決して無駄なものを買いません。家計を切迫させる「無駄遣い」という脂質を徹底的に排除し、浮いた分のお金は投資に回すことで、アスリートのように強い筋肉を手に入れていくようなイメージです。
クレジットカードやキャッシュレスアプリについても、複数は使わないという特徴があります。無自覚にお金を払ってしまうような行為を嫌っているからで、富裕層であっても明細をしっかり見ることを心がけています。日本では電子マネーにチャージした後、使い方までは気にしないという人も多いですが、こちらでそれはタブーな行為ですね。
もっと日本人がシンガポール富裕層から学ぶべき「習慣化」とは
――富裕層の人たちの行動から影響を受け、実際に習慣化されたことはありますか。
花輪:シンガポールでは、コンビニがあまり利用されません。商品自体が日本ほど魅力的ではないという事情もありますが、「コンビニはただ単に高いお店」と捉えているからです。水やお茶、ご飯などは、他でもっと安く入手できますからね。私自身もコンビニの利用回数は激減しました。
とくに飲み物については、富裕層であっても水筒を持ち歩くという習慣が徹底しています。銀行のラウンジでペットボトルが出たり、イベントのノベルティとして水筒がよくもらえるのは、そういう国民性の影響でしょうね。
あとは「飛行機の搭乗時間」ですね。昼便と夜便があれば、富裕層ほど昼便を選びます。昼便の方が時間を有意義に使える上に、人気がないので安いというのが理由です。
例えば日本へのフライトの場合、昼便であれば夜7時ぐらいに東京に到着します。夜ご飯を食べて次の日に備えることができ、体への負担も軽減できますよね。一般的な夜便の場合は朝に到着してそのまま仕事となってしまうため、あまり良いパフォーマンスが発揮できません。お金持ちほど、お金だけでなく時間の使い方、つまり自分自身への投資が上手なのだと思います。
――自己投資は日本でもそのニーズが高まっているように感じますが、まだまだ習慣化というレベルまでには至っていない印象です。
花輪:自分でしっかり将来に備えないと飢えてしまう、というリスクが日本よりも圧倒的に大きいという事情もあります。
例えば日本のメディアからは叩かれがちな「厚生年金」ですが、海外では優れた制度だと褒められることも実は多い。シンガポールや香港などにも似た制度がありますが、基本的に貯金に近い制度で、長生きリスクに備えた保険や相互扶助という仕組みではありません。
それゆえ「国に対して負担も少ない代わりに、国に頼らず自己責任でなんとかする」というフラットな考え方を持つ人がアジアには多く、さまざまな節約習慣が定着しやすいのだと思います。
――なるほど。そういうアジアの富裕層の習慣からは、私たち普通の日本人も学ぶべき点が多そうですね。
花輪:お金の使い方を変えたり適切な節約をしたりという習慣化は、富裕層の人に限らず誰でもできることなんです。お金に振り回されるような生き方は疲弊してしまいますし、ギリギリまで切り詰めての生活は長続きしません。節約自体が誰にでもできることだからこそ、賢くお金のかからない生活習慣を、健康的に定着させないといけません。
今回の連載で「富裕層から学ぶ」と銘打っているのは、富裕層ほど合理的に、脂質のように無駄なお金をしっかり削っているからです。彼らのノウハウや考え方というのは、実際に海外に住まずとも学べる点が非常に多い。『アジア富裕層から学ぶお金が貯まる3つの習慣』では、読むだけで資産が増えるような情報を提供していく予定です。
特に今回は有料での連載ということもあり、お金を貯めるために必要な考え方や家計管理について、最初の一歩からご紹介していきます。
もちろん、読んだ当日からすぐ習慣化できるような情報も発信していきます。本連載の購読をきっかけに、自身の資産形成につながるような習慣が定着させられれば、お金も自然と貯まっていくようになると思いますよ。
花輪 陽子(はなわ ようこ)
外資系投資銀行を経てFPとして独立。『少子高齢化でも老後不安ゼロ シンガポールで見た日本の未来理想図』(講談社+α新書)など著作多数。日本テレビ「有吉ゼミ」、フジテレビ「ホンマでっか!? TV」などテレビ出演多数。「100 My Life Plan」という、アジア圏に住んでいる方のお金に関する悩みを解消するサイトの運営も。
【この記事は、Yahoo!ニュース 個人の定期購読記事を執筆しているオーサーのご紹介として、編集部がオーサーにインタビューし制作したものです】