名古屋で宇宙が熱い！過去最高の115名が参加

12月6日（金）に名古屋商工会議所ビルで開催された「名古屋宇宙会」には、115名が集まり過去最高の参加者になりました。

名古屋を中心とする「宇宙産業・中部ベルト」を掲げ、地域企業が集結する名古屋宇宙会は、次世代の宇宙産業の可能性を切り拓く場として注目されています。

名古屋宇宙会は、人工衛星の製造や推進装置、大気圏突入技術等で宇宙産業を牽引しているElevationSpaceが主催し、名古屋商工会議所が共催しています。

ElevationSpace事業開発Director 大川創富一氏が「業界の垣根を越えた交流と連携が、新たな事業の創出に繋がる」という想いを元に宇宙会が発起され、名古屋宇宙会は今回で第4回目となり、多くの宇宙関連企業の関係者が集まりました。

宇宙ビジネス100兆円時代への挑戦

「Space Approach Forum」など名古屋商工会議所では、積極的に宇宙ビジネスを応援しています。

宇宙ビジネスが100兆円を超える市場規模と言われており、大きな可能性を秘めていることが紹介されました。

今後、名古屋が宇宙産業の拠点として注目される期待が高まります。

宇宙産業大注目の大学&企業による発表

■宇宙材料実験の展望（神戸大学大学院工学研究科 田川雅人氏、九州工業大学大学院工学研究院 岩田稔氏）

宇宙環境での材料劣化を調べるには、実際に宇宙で試験を行う「軌道上試験」と、地上で模擬環境を再現する「地上試験」があります。

軌道上試験では本物の環境で材料を観察できますが、時間と費用がかかります。

一方、地上試験は手軽ですが、宇宙の条件を完全に再現するのは難しいため、両方を組み合わせることが重要。

その具体的な研究について発表されました。

■GSユアサの宇宙用途向けリチウムイオン蓄電技術（GSユアサ）

GSユアサは宇宙用途向けリチウムイオン蓄電池等を開発・製造している会社です。

この蓄電池は、人工衛星が地球の影に入ったとき等に電力を供給します。

これまで250以上の宇宙機に使われており、とても信頼性があります。

特に新しい技術により、軽くてたくさんの電気を貯められるようになり、将来、宇宙開発分野において、より多くの場面で活用されることが想定されます。

宇宙で活躍する技術が日本から生み出され、日々進化し続けています。

■宇宙流体制御の何でも屋～スラスターバルブからビール醸造まで～（高砂電気工業株式会社）

多数のメディアから「下町ロケット in 名古屋」と紹介されている高砂電気工業株式会社は、流体制御技術を活かし、宇宙ビジネスに挑戦しています。

同社はマイクロポンプやバルブなどの製品を提供し、NASAやJAXAの実験装置に採用されています。

さらに、宇宙機推進システムや月面での資源探査用バルブ、宇宙での細胞培養装置など多岐にわたる分野で活躍。

2040年代には月面居住を視野に入れ、宇宙醸造ビールなどのユニークな開発も進行中です。

■開発・事業計画 中部圏での宇宙産業活性化案（PDエアロスペース株式会社）

PDエアロスペース株式会社は、ジェットとロケットの切替エンジン技術を基盤に宇宙飛行機「スペースプレーン」を開発。

名古屋市を拠点に、宇宙旅行や物資輸送を可能にする新技術を目指しています。

スペースプレーンは空港から離着陸することが可能。

これにより低コストで持続可能な宇宙輸送を実現します。

様々な企業と連携し、2027年からの商業運航を目指しています。

■有人宇宙学：安全性設計・評価（名古屋大学 名古屋宇宙会会長 田中秀孝氏）

NASAやJAXAで活躍された名古屋大学の田中秀孝氏が「有人宇宙学」をテーマに、安全設計の重要性について話されました。

火災、減圧、有毒ガスなどのハザードを徹底的に分析し、リスクを最小化する設計が行われ、また、ハザードの除去や制御、安全装置の導入、非常時の対応策など、多岐にわたる取り組みが搭乗員の安全を守っています。

この研究は、有人宇宙探査の安全性の向上に大きく貢献しています。

ただ今、名古屋大学の一般の方も参加できる無料講座「民間における宇宙利用」2週間上級コースの受講生が募集中です（詳細はこちら）。
※2025年1月31日(金) 午後5時まで。ただし、実習を除くオンラインの講義・演習は2月14日(金)まで受け付けます。

名古屋宇宙会が秘める可能性

講演の後は「気楽に会食しながら未来を語る」というテーマの交流会がありました。

名古屋宇宙会は、企業間連携を深めるだけでなく、宇宙産業の発展を支えるコミュニティという面もあります。

今回の参加者の中には、新たなプロジェクトや事業提携の可能性を模索する企業も多く、実り多い交流の場となりました。

宇宙産業に興味がある企業の方は、名古屋宇宙会に参加してみてはいかがですか。（次回は2月28日開催予定）
新しい宇宙産業の一歩を踏み出すきっかけになるかもしれません。
※宇宙会についての詳細はこちらよりご覧いただけます。