日銀の物価目標を現在の2%から0%超にする必要はあると思う
立憲民主党は7日、次期衆院選の公約を発表した。そのなかで、日銀の物価安定目標を現在の「2%」から「0%超」に変更するなど金融政策の転換を強調した。
これは日銀が金融政策の目標としている物価水準を、現在の2%からゼロ%に引き下げるものである。だからといって金融政策で無理矢理に「0%超」に物価を引き下げようとするものではないと考えられる。
そもそも日銀にアコードと称して、2013年2月に発表された政府・日本銀行の共同声明に無理があった。この共同声明には「日本銀行は、物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率で2%とする」とある。さらに「日本銀行は、上記の物価安定の目標の下、金融緩和を推進し、これをできるだけ早期に実現することを目指す」とした。
この共同声明が発表された2013年2月の消費者物価指数(除く生鮮)の前年同月比はマイナス0.3%であった。これをどのようにして2%に引き上げるのか。それは日銀の金融政策に託された訳であり、それによって2013年4月に異次元緩和と呼ばれた量的・質的緩和策を実施した。2%の物価目標を2年で達成するとした。
1年後の2014年4月の消費者物価指数(除く生鮮)は前年同月比3.0%となっていた。見事に達成したかにみえたが、これは2014年4月の消費税の引き上げによる影響が大きかった。
その影響がなくなった2015年4月は消費者物価指数(除く生鮮)の前年同月比は0.3%となっていた。2014年10月には日銀は量的・質的緩和の拡大を決定していた。しかしそれでも2%の物価は遙か遠くにあったことになる。
2016年1月にはマイナス金利政策、9月には長期金利まで日銀のコントロール下に置いた。2016年9月の消費者物価指数(除く生鮮)は前年同月比マイナス0.5%と、2%どころではなくマイナスに落ち込んでいた。
どうして日銀は極端な金融緩和策を行っても物価を上げられなかったのか。
そもそも2%という数字に無理はなかったのか。欧米の中央銀行が2%としているから日本もということで本当に良かったのか。
その後、2022年4月から今度は前年同月比2%を超える上昇が現在まで続いている。これは世界的な物価上昇が引き金となっており、日銀の異次元緩和策によるものではない。
そうであれば、無理に物価目標を2%とする必要はない。そうでないと今後2%を下回ると、効果はほとんどなく、副作用のみ生じかねない極端な金融緩和策が再び求められるようになってしまうことになりかねない。
日銀の物価安定目標を現在の「2%」から「0%超」に変更することは理にかなっている。それとともに共同声明そのものを見直す必要もあると思う。