知っておきたい適応障害になる前に「取り組むべき」記録の取り方とは。
こんにちは、精神科医しょうです。
進学や独立、結婚など重大な生活上の変化に適応できず、勉強や仕事などが続けられなくなる病を適応障害と言います。
この病は生まれつきの気質や性格傾向、環境上のストレスなどが影響しているとされており、発症の原因となったストレスがはっきりと特定される場合に適応障害と診断されます。
思春期や青年期に多く発症すると言われていますが、どの年代でも発症する可能性があり、男女差は特にないとされています。
適切な治療を受けていれば、多くは3か月以内で症状が改善すると言われているため、大きな環境変化の後で、気分の落ち込みや強い苦悩を感じたら、すぐに医療機関を受診し治療を開始するのが望ましいでしょう。
表面上は変わらないことも…
多くのストレスに日常的にさらされ、苦痛や苦悩を感じているにも関わらず、表面上は落ち着いて、適応しているように見える場合があります。
本人にも病識はなく、「頑張らないと!」「怠けている場合ではない!」などと、さらに自分を追い込んでしまい、症状が重症化してしまうケースもあります。
放置していると、うつ病につながるリスクもはらんでいるため、環境変化の後で職場や学校、家庭内で強い不安や緊張、憂鬱な気分が慢性的に続くようであれば、医療機関の受診を選択肢に入れた方が良いでしょう。
つらくて何も手につかなくなる前に記録を取る
心がつらい時は、つらい気分に圧倒され、何も考えられなくなるものです。
しかし、この先の生活を少しでも気分良く穏やかに送れるようにするには、どこかで「つらさの原因」と向き合う必要があるかもしれません。
「何もやる気がしない」「何も手につかない」と感じる前に、できればつらかった出来事を思い出し、ノートに記録するようにしてみましょう。
・特につらかった場面を振り返る
落ち込みや不安、怒りなどが強く生じた出来事、気分が動揺した場面など、あなたが今、抱えているつらさの原因を探っていきましょう。
つらい出来事が多く、一つに絞れない時は直近の出来事を選んで記録しましょう。
つらかった状況と気分、頭に浮かんだことをより具体的に思い出せるはずです。
また、精神面だけではなく体の変化も見逃さないようにしましょう。
「動悸がして呼吸が早くなった」「緊張して冷や汗をかいた」などの症状があれば、合わせて書き留めます。
少しつらい作業かもしれませんが、頑張って取り組んでみましょう。
・つらかった時の気分を言葉にする
つらかった出来事を書き出したら、次にその時の気分を明確にします。
「とにかくつらかった」「最悪だった」では、範囲が広すぎて原因の特定につながりません。
以下の言葉リストを参考にしながら、あなたの今の気分にピッタリ合うものを見つけてみましょう。
・憂うつ ・がっかり ・罪悪感 ・不安 ・緊張 ・悲しい ・絶望 ・うんざり
・心配 ・恐怖 ・傷ついた ・みじめ ・屈辱 ・パニック ・困惑 ・興奮 ・無力感
・失望 ・恥ずかしい ・空しい ・イライラ ・悔しい
他にも表現方法はあるかと思いますので、自分に合うものを探してみましょう。
気分を言葉にする練習を続けていると、自分を苦しめる思考と思考がもたらす気分とを分けて考えられるようになり、つらい気分に飲み込まれにくくなります。
なお、つらい時に生じる気分は一つではありません。
多くの場合、3つくらいの感情を選ぶとその時の気分を正確に表現できます。
・数値化する
気分の種類だけでなく、強さも重要です。
つらく感じた時の気分が100点満点で何点かを評価してみましょう。
複数の気分が生じている時は、それぞれの気分について点数をつけます。
動揺している瞬間は「絶望100点」「みじめ90点」というように気分を過大視しがちです。しかし、少し時間を置いて振り返ると、客観的に評価でき日を追って点数は低下していくはずです。
ネガティブな気分がゼロになることはありませんが、日々の数値の変化で効果を確かめることができます。
・自動思考に気づく
つらい気分の背景には、自分を追い詰める自動思考があります。
つらい場面で、自動的に頭に浮かんだ思考を思い出してみてください。
「失敗した自分はダメな人間だ」「人から嫌われてしまう」「良いことなんて一つもない」など、何らかの思考が生じたはずです。
おそらく、一つだけではなく立て続けに複数思い浮かんだのではないでしょうか?
忘れない内に記録をとり、最も強く苦しく感じたものをペンで囲んでみましょう。
つらさの原因となる思考を特定できると、自身の考え方や捉え方の歪みに気づくことができるはずです。
まとめ
特定の状況で生じる気分について「正解」「不正解」はありません。
また、感情の出方はひとそれぞれであり、「こんな感情を持つべきではない」などと自己否定せず、感じたことを率直に記録するようにしてみましょう。
その時々の気分を振り返る習慣を付けると、どのような感情に悩まされやすいのか?あなたのパターンが見えてくると思います。
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