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5000円を超えると現金よりクレジットカードを多用…単身世帯の代金支払い方法の移り変わりをさぐる

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ 最近は交通機関系の電子マネーが使えるお店も増えている(写真:アフロ)

・単身世帯の決済手段は少額では現金、多額ではクレジットカードがメイン。

・支払金額が5000円を超えると現金よりクレジットカードの方が利用率は高くなる。

・電子マネーの利用率は上昇中だったがここ数年で頭打ち。

現金だけでなくクレジットカードなども多用する単身世帯

対価支払いには現金だけで無くクレジットカードや電子マネーなど、多彩な手段を用いることができる。単身世帯における、お金の決済手段の移り変わりと現状を金融広報中央委員会の「知るぽると」が毎年実施している調査「家計の金融行動に関する世論調査」(※)の公開結果から確認する。

まずは直近2017年における、金額別主要決済手段。4つの選択肢のうち「主なもの2つ」を答えてもらっている。

↑ 金額別主な資金決済手段(2つまでの複数回答)(2017年、単身世帯)
↑ 金額別主な資金決済手段(2つまでの複数回答)(2017年、単身世帯)

単身世帯の場合、1000円以下の小口決済では電子マネーの利用率が約3割となっている。1001~5000円以下でも約1/5が使っている。また、クレジットカードの利用率も高く、二人以上世帯では1万円超でようやく「現金利用率をクレジットカード利用率が超えた」のに対し、単身世帯では「5001~1万円以下」の区分で超えている。

これら二人以上世帯との差は、単身世帯が「世帯全体の家計」=「回答者本人のお財布」であることによるもの。クレジットカードや電子マネーの場合、利用の際に「個人の私財を使う」か「家計全体の出費とする」かによって争いごとが生じる、あるいは区別がつけられずに混乱する場合がある。一方で単身世帯の場合、本人の私財は同時に自らの世帯全体の資金でもあり、(わざわざ別口座で利用している人を除けば)もめる心配は無い。従って、クレジットカードも電子カードも気軽に使えることになる。

もっともそのような状況下にある単身世帯でも、電子マネーはまだ副次的手段であり、現金が多く使われていることに違いは無い。そして電子マネー以上にクレジットカードが大いに活用されているのも、二人以上世帯と同じ。

伸びていた電子マネーの利用率が頭打ちに

時代による変遷を見ると、(参照できるデータが2007年以降のものでしか無く、仕方が無い面もあるが、)2007年の時点で電子マネーがすでに比較的多くの人に使われていることが確認できる。

↑ 金額別主な資金決済手段(2つまでの複数回答で「現金」回答率)(支払金額別)(単身世帯)
↑ 金額別主な資金決済手段(2つまでの複数回答で「現金」回答率)(支払金額別)(単身世帯)
↑ 金額別主な資金決済手段(2つまでの複数回答で「クレジットカード」回答率)(支払金額別)(単身世帯)
↑ 金額別主な資金決済手段(2つまでの複数回答で「クレジットカード」回答率)(支払金額別)(単身世帯)
↑ 金額別主な資金決済手段(2つまでの複数回答で「電子マネー・デビットカード」回答率)(支払金額別)(単身世帯)
↑ 金額別主な資金決済手段(2つまでの複数回答で「電子マネー・デビットカード」回答率)(支払金額別)(単身世帯)

2007年の時点で2割強の単身世帯が、小口決済で電子マネーを多用している。そして主に5000円以下の支払いで利用率は増加し続けていた。「小銭代わりの電子マネー」は単身世帯にとって、第二の「小銭」的立ち位置を確かなものとしている。ただしこの数年は利用率が頭打ち状態になっているのも事実で、利用状況の上限に達している可能性はある(5000円超では少しずつ利用率は上昇し続けているが)。

一方現金は、主に少額決済で利用率を減らしている。クレジットカードの利用率も増加しており、現金から、電子マネーやクレジットカードへの流れを主なものとし、支払い対象などの場面によって、払い方を変えるライフスタイルの変化が見て取れる。

直近年ではすべての金額区分で現金の利用率が減り、クレジットカードで増加している。特に少額での増加率が著しい。クレジットカード対応店舗が増えていることが、利用率を引き上げているのだろう。

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※家計の金融行動に関する世論調査

直近分となる2017年分は二人以上世帯においては、層化二段無作為抽出法で選ばれた、世帯主が20歳以上でかつ世帯員が2名以上の世帯に対し訪問と郵送の複合・選択式で、2017年6月16日から7月25日にかけて行われたもので、対象世帯数は8000世帯、有効回答率は47.1%。単身世帯においてはインターネットモニター調査で、世帯主が20歳以上70歳未満・単身で世帯を構成する者に対し、2017年6月23日から7月5日にかけて行われたもので、対象世帯数は2000世帯。過去の調査も同様の方式で行われている。

(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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