「全国旅行支援」変更点を整理。年内は12月27日まで、年明けは割引20%、上限は宿泊のみで3000円
観光庁は11月25日、現在実施中の観光需要喚起策である「全国旅行支援」の年明け以降の割引率などの見直しをした上での実施を発表すると共に、これまで「全国旅行支援」の年内の対象期間を12月下旬としていたが、正式に12月27日宿泊分(28日チェックアウト分)までを対象とすることを発表した。
今回の発表を踏まえ、主な変更点についてまとめてみたいと思う。観光庁から全国旅行支援について発表された主な内容は以下の通りとなる。
今回発表の主な変更点
その1:年内の全国旅行支援を12月27日宿泊分(28日チェックアウト)までが対象になる。
※割引率は40%、割引上限は宿泊のみは5000円、交通付き旅行商品で8000円(共に1泊あたり)、日帰りは5000円が割引上限で実施。地域クーポンは平日3000円、休日1000円。
その2:年明けは割引率を現在の40%から20%に引き下げ、割引上限は宿泊のみは3000円、交通付き旅行商品で5000円になる(共に1泊あたり)。日帰りは3000円が割引上限となる。
その3:地域クーポンは年明け以降は原則電子クーポンとなり、平日は2000円、休日は1000円に変更される。
その4:年明けの実施開始時期・終了時期などの詳細は別途発表予定
■その1:年内の全国旅行支援を12月27日宿泊分(28日チェックアウト)までが対象に
これまで観光庁では全国旅行支援の対象期間を2022年10月11日~12月下旬までと発表していたが、今回12月27日宿泊分(28日チェックアウト)まで実施すると、11月25日に発表した。
現在、47都道府県の各事務局を窓口に「全国旅行支援」を実施しているが、全国全ての都道府県で12月20日宿泊分(21日チェックアウト)までを対象に旅行会社・旅行予約サイト・宿泊施設などを通じて販売している。
12月21日~27日宿泊分の予約、今後の対応は各都道府県の事務局で発表
関係者に話を聞くと、観光庁はこれまで年内の実施期間を12月下旬と設定していたことで、各都道府県の事務局としては、12月20日宿泊分までは間違いなく利用可能であるという解釈だった。
そして、観光庁が以前発表した12月下旬がいつなのかの発表がなかったことで、確実に国からの支援が受けられる12月20日宿泊分(21日チェックアウト)までに設定していたが、今回12月27日宿泊分(28日チェックアウト)までという明確な期間が観光庁から発表されたことで、今後は各都道府県の事務局が具体的な調整に入ることになる。
クリスマスの週末も利用できる可能性が出てきたが・・・
旅行を計画していた人の多くが、少なくても年内の「全国旅行支援」は、12月20日までと思っていたなか、12月27日まで使えることになり、クリスマスイブ(24日)・クリスマス当日(25日)の土日の週末も全国旅行支援の枠で予約が取れれば、割引が受けられることになった。ただ、年内の利用可能な期間が延びたことは複数の関係者に取材したところ、かなりの想定外であり、全国旅行支援の各都道府県事務局は今後、年内の延長された期間の予約をどうするかの協議に入る。早めに発表できれば、クリスマス前後の国内旅行の伸びにも繋がることになる。
ただ、12月27日宿泊分まで可能になったとしても、旅行会社・旅行予約サイト・宿泊施設に配分されている枠が追加で出ないと適用できないケースも想定されるほか、既存予約に対して対応可能であるかも現時点では未定であり、これまでの流れからすると、適用できないケースが出る可能性も十分にある。そういった点も含めて、まずは各都道府県の事務局の対応を早く出して欲しいところだ。
2:年明けは割引率を現在の40%から20%に引き下げ、割引上限は宿泊のみは3000円、交通付き旅行商品で5000円に引き下げ
11月25日の観光庁の発表で、正式に年明けも「全国旅行支援」が実施されることになった。以前から年末年始は除外する方針を示しており、早くても年末年始の繁忙期を終えた後の開始となる模様だ。旅行業界関係者の多くは成人の日の3連休後の1月10日開始を期待しているが、こればかりは政府や観光庁からの正式発表までは未定であり、早い段階での発表を期待したい声が既に上がっている。
年明けに実施する「全国旅行支援」は割引率が現在の40%から20%に引き下げられると共に、割引上限は宿泊のみは現在の5000円が3000円に、交通付き旅行商品では現在の8000円から5000円に引き下げされる(共に1泊あたり)。日帰り旅行は現在の5000円から3000円となる。更に地域クーポンも現在の平日3000円・休日1000円から平日2000円・休日1000円に変更される。
3:地域クーポンは年明け以降は原則電子クーポンとなり、平日は2000円、休日は1000円に変更
「全国旅行支援」を利用している人の楽しみが地域クーポン。平日3000円・休日(土曜日の宿泊)1000円が原則チェックイン時に付与されるが、年明け以降は、平日3000円・休日1000円に変更される。休日は変わらないが、平日は1000円減ることになる。
年明け以降は原則電子クーポンになる
現在実施中の「全国旅行支援」の地域クーポンは、ほとんどの県で紙クーポンで配布されており、電子クーポンを採用しているのは、東京都・大阪府・神奈川県・静岡県などに限られているが、年明け以降は原則電子クーポンにする運用となる見込みだ。
東京都・大阪府・神奈川県・静岡県においては、スマートフォンアプリ「regionPay(リージョンペイ)」を活用しており、チェックイン時にA4サイズの紙で渡されるQRコードが印刷された紙が渡され、「regionPay」のアプリでQRコードを読み取ることで地域クーポンの付与された額がチャージできる方式になっている。
慣れれば使いやすい電子クーポン、スマホを持っていない人への対応はどうなる?
筆者が実際に使って良かった点としては、1円単位での決済が可能であり、非常に使いやすかった。スマートフォンを使いこなせる人においては便利であるが、スマートフォンを持っていない人やシニア向けのスマートフォンの一部でアプリがダウンロードできないケースもある。現在はチェックイン時に渡されるA4の紙をそのまま使うことも可能であるが、一部店舗での利用ができないなどの制約もある。今回、観光庁は原則として電子クーポンとしており、電子クーポンを採用していない県においては対応に迫られることになる。電子クーポンの準備が年始の開始時点で間に合うかどうかは不透明である。
地域クーポンの加盟店、全国的に2年前の「Go Toトラベル」実施時よりは少ない
地域クーポンは、旅行する県内においてレストランやお土産店、観光施設、タクシー、バスなどで利用可能になっているが、2年前の2020年7月~12月に実施された「Go Toトラベル」と比べると明らかに全ての都道府県で利用できる加盟店が少ない。その理由としては、一部の県でコンビニやドラッグストアなど生活必需品が中心のお店を除外したり(利用できる県もある)、東京都を除く46道府県で実施されていた「県民割」で発行されたクーポンは全国規模でなかったことで利用が大きく望めないことで登録を見送った飲食店なども多く、今になって申請しているケースも多いとのことだ。
2年前は、運営が政府主導で、「Go Toトラベル事務局」が中心となって地域共通クーポン(当時)加盟店を募集して多くの地域のお店などが登録したが、その登録情報は引き継がれず、新たに「全国旅行支援」として各都道府の事務局に加盟店の登録をしないと、地域クーポンの利用はできず、結果的に利用できる店舗がGo Toトラベル実施時よりは少なくなっている。
4:年明けの実施開始時期・終了時期などの詳細は別途発表予定
前の項目でも触れたが、年明けの「全国旅行支援」の開始・終了の具体的な時期は今回の観光庁からの発表では明らかにされなかった。観光庁の発表によると、開始時期については今後の感染状況の動向を踏まえつつ、別途発表するとしており、第8波が懸念されていることから、新型コロナウイルスの感染状況が悪化することで開始時期が後ろ倒しになる可能性も考えられる。
ただ、今回の制度設計としては、「全国旅行支援」実施期間中の感染拡大時における一時停止については、各都道府県の知事の判断で可能となっている。ある宿泊施設の経営者の声としては、海外からの水際対策が現状と同じであれば、「全国旅行支援」を年明けも早いタイミングで実施して欲しいという声がある。更に予算の問題はあるが、実施期間の後ろがいつまでになるのかもある程度、明確にして欲しい声がある。そのあたりも含めて早い発表が待たれる。
11月中旬以降、旅行予約サイトで販売再開の動きも見られる
今年10月11日からの「全国旅行支援」では、事務局機能を各都道府県事務局に移管し、予算配分も都道府県単位になったことで、旅行会社や旅行予約サイトを中心に全国旅行支援を使っての旅行予約が販売停止となり、一時期はほとんどの都道府県で予約できない事態となった。追加の予算配分やキャンセルに伴う枠の再利用も可能になったことで、以前に比べると予約は取りやすくなっているが、まだまだ課題も多い。
沖縄県が最も全国旅行支援の予約が取りやすい
取材を進めていると、もっとも予約が取りやすいのは沖縄県で、ほぼ全ての大手旅行会社・旅行予約サイトで「全国旅行支援」の予約枠で予約可能となっており、簡単に予約できる。
「全国旅行支援」を使って国内旅行をすることで、特に新型コロナウイルスで影響が大きく出た地方経済、旅行業界を活性化させる効果があるなかで、ストレスなく予約ができることが望ましいだろう。