赤ちゃんのネントレ成功率が変わる!見落としがちな要素8選【専門家監修】
ネントレとはねんねトレーニングのことを指します。
このようなトレーニングはどんな赤ちゃんにも必要なものではありませんが、世の中には赤ちゃんがあまりにも寝てくれなすぎて日中にお世話する気力がなくなってしまったり、赤ちゃんを可愛く思えなくなってしまうママパパもいます。産後うつや育児ノイローゼに近い症状ですね。
そういった状況になってしまう場合は、トレーニングをしてでも赤ちゃんにねんね上手になってもらうことが家族全体のためになると考えて、小児睡眠の専門家としてその方法を日々お伝えしています。
しかし、ネントレ経験者の中には
「ネントレしてみたけどうまくいかなかった」
「せっかくやったのに効果がなかった」
「うちの子は寝ない子だから意味がなかったのかな…」
という声を挙げられる方もいます。
せっかくやるなら成功させたいですよね。でも実は、少なくない方々が準備しきれていない状態だったり失敗の要因になるようなやり方をしてしまって、うまくいかなかった!と相談に来られているのが現状です。
今回は小児スリープコンサルタントのねんねママ(和氣春花)が、ネントレ成功率を上げるために知っておきたい、失敗原因8つについてお伝えします。
ねんねトレーニングの具体的な方法については、YouTubeのいくつかの動画で解説していますのでそちらをご覧ください。
ネントレ失敗の原因①突然はじめる
「赤ちゃん、泣かせっぱなしにしとくと寝るようになるんだよ」という話を聞いたことはありますか?
普段は根気強く抱っこや添い寝で寝かしつけしていても、あるとき堪忍袋の尾が切れちゃうことってあるんですよね。
そのときにふとこの話がよぎるんですよ。そういえば泣かせておけば勝手に寝るって聞くよな…もう疲れたし、このまま泣かせておこう…って発想になって突然始めるパターン。
でもこれはとてもよくある失敗ポイントです。突然ネントレを始めて成功するのはなかなか難しいのです。
ネントレは事前準備が大事です。ある日急に突き放されても赤ちゃんとしては「なんで?!なんで昨日まで抱っこしてくれてたのに今日は怒っていなくなっちゃったの?もう僕は捨てられるの?!不安!」となってしまいます。稀にうまくいくこともありますが、なかなかこの精神状態で寝られないですよね。
ネントレをするならちゃんといつ始めるか決めて、1週間前くらいから赤ちゃんに予告しましょう。長期休みや週末など、スタートはパパが休みの日に合わせると良いと思います。
この日になったらやろうと覚悟を決めることで、逆にその日までは添い乳も抱っこしてもいいやと気持ち的に楽にもなります。しっかりその日に向けて準備と予告をしてから始めてくださいね。
ネントレ失敗の原因②対応の基準が曖昧
ネントレをするとどうしても、泣いてるのにママがあやしてくれないという時間が発生します。
「よし!今日からネントレするぞ!泣いても見守るぞ!」と始めたけれど、「あ〜やっぱり寝てくれない…どうしよう。こんなに泣かせてかわいそうかな。ママを信頼できなくなったらどうしよう…30分も頑張ったからやっぱり今日は抱っこで…」と抱っこしてしまう。これでは赤ちゃんが混乱してしまいます。
これは「頑張って泣いたら最終的に抱っこして寝かせてもらえた!」と赤ちゃんが思ってしまうことにつながるのです。
「これがママの予告してたやつか?な〜んだ!抱っこしてもらえるのか!基準はよくわかんないけど、とりあえずがんばって泣けばいいのか!」と、不安な30分を過ごした上に導き出された答えがこうなってしまうのです。
ではそうならないためにどうすればいいのか。
それはやると決めたら対応に一貫性を持つ、ということです。ルールとしてどこまでOKにするのかはご家庭ごとに決めて構いません。
部屋に一切入らない一番ハードな方法(エクスティンクションメソッド)もあれば、ファーバーメソッドのように部屋に時々見に行きはするが抱っこしないものや、傍についてあげつつもトントン以上はしない(見守りネントレ)など、家庭ごとにできそうなもので決めてください。そして決めたらルールを徹底しましょう。対応の基準をバラバラにしないのが大事なポイントです。
見守りネントレのやり方はこちらの動画で解説しています。
ネントレ失敗の原因③長く泣かせた末に抱っこ紐
②でもお伝えしましたが、長く泣かせた末に抱っこ紐で抱っこするとそれが報酬になってしまいがちです。頑張って泣いたから得られたご褒美、と思ってしまいます。
そうすると抱っこ紐が出てくるまでギャンギャン泣くようになるので、それだけは避けたいですよね。
ではどうするかですが、抱っこするのであれば15分以内で抱っこしに行く!という方法です。できれば抱っこ紐ではなく素手での抱っこが望ましいです。
なぜ素手が良いかというと、赤ちゃんを布団に置いていただきたいからです。抱っこしたらずっと抱っこするのではなく、「寝そうになったら布団におくよ、あなたは布団で寝ないといけないからね」と教えたいので赤ちゃんをスッと置ける素手の抱っこが望ましいのです。
腕が痛いなど身体の不調もあると思うのでヒップシートなどのアイテムも使いながら、継続的に降ろせるようにトライしていただくといいと思います。
やり方はYouTube動画でも紹介しているのでチェックしてみてください。
ネントレ失敗の原因④日中寝かせないようにする
よく寝てもらうためには昼間寝かせないように…なんて思われがちですが、それは赤ちゃんに関しては逆効果になることが多いのです。
3歳くらいになると長いお昼寝で夜寝づらくなることもあります。しかし0~1歳の場合は連続で長く起きてしまうと脳が興奮して寝づらくなってしまうんです。
寝かしつける時間の目安は下の活動時間目安表を参考にしてください。
この表のタイミングを大幅に超えて連続で起きてしまうとせっかくネントレしてもうまく行かず、ギャーギャー泣いて眠れない、ということに繋がりかねません。
月齢ごとに適切な睡眠時間や、寝かせるタイミングの目安があるのである程度それを参考にしながら適切に寝かしつけをすることをおすすめします。
ネントレ失敗の原因⑤寝室環境を整えていない
ネントレ前にしっかり寝室環境を整えてあげることがとても大切です。いつものように抱っこもトントンもしてもらえずに寝ろと言われ只でさえ難しいのに、寝づらい環境では余計に眠れません。
子供自身が本来持っている眠る力を発揮できるように最大限環境を整えてあげることはとても大事なのです。
そのうちの重要なのが光と温度と安全性です。
1)光
次の⑥でも触れますが、刺激になるので光っているものは塞ぎましょう。
【刺激になる光の例】
- 家電の電源ランプ
- カーテンの隙間
- ドアの隙間
2)温度
大人が少し涼しいと感じる温度にしておきましょう。または大人が丁度いい温度で、赤ちゃんは1枚少な目に着せるなどして調整してください。
暑すぎると乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクになりますし、寝返りが増えて起きやすくなります。
見落としがちなのは湿度で、40~60%が望ましいでしょう。
3)安全性
安全性が整っていないと、親がつい手を出すことに繋がります。危ないよ!触らないで!など、必然的に親が子供に触ってしまうとネントレになりません。
そもそも部屋に置いて出ていくようなファーバーメソッドのようなタイプのネントレをする場合、お部屋が安全でないと子供を1人で置いて出ていけないので成立しないですよね。
ネントレを始めるときは子どもを1人にしても安心なように寝室環境を整えておきましょう。
一番安全なのはベビーベッドですが、お布団の場合もサークルで囲んだり、部屋の中どこにいっても安全なようにするなどの対策が必要になります。安全に1人でいられて転落しない環境を整えてあげて下さいね。
ネントレ失敗の原因⑥光っているものがある
⑤でも少し触れましたが、光は脳の覚醒原因になります。
カーテンはできるだけ等級の高い遮光カーテン(1級遮光、100%遮光)にするのがおすすめです。
そしてテープやマジックテープなどでカーテンをとめるなどし、カーテンの隙間も塞ぎましょう。
YouTube動画でも詳しく説明しています。
授乳にライトは使っても良いですし、必ずしも真っ暗である必要はないです。
ただその光っているものが視界に入ると覚醒させてしまう要因になるので、授乳ライトや必要な明かりは足元や目に入らないところにおくなど工夫してください。
ライトをクッションや壁の裏などに置いてもいいので、寝ている時に光源が直接目に入らないようにし、最低限の明かりにしましょう。
ネントレ失敗の原因⑦ごめんねと言う
ネントレでは泣かせなければいけないシーンが出てきます。するとつい言ってしまうのが「ごめんね」という言葉。でもその言葉や罪悪感は必要ありません。
ネントレは家族みんなの快適なねんねのために、そして赤ちゃんのためにやっています。親のエゴだと言われてしまうこともありますが、子供自身、夜中に何回も目が覚めてその度にママに泣いてお願いして寝かしつけしてもらって…なんてするより、自分の力でで朝まで寝られた方が楽ですよね。
赤ちゃんにとってネントレの結果パパやママがぐっすり眠れて日中にこにこ接してくれるんだったらその方がよっぽどいいですよね。親のエゴではないですし、ごめんねではないのです。
ごめんねと言われると、子供は「なにか悪いことされてるんだ」って受け取りかねません。そうではないからこそ「ごめんね」とは言わないでください。
ネントレ失敗の原因⑧家庭内で合意できていない
ネントレ失敗あるあるの1つで、パパとママが協力してネントレ頑張ろう!となっていない状態のことです。
ママは当事者でしんどい思いをしているので本やYouTube動画でネントレの勉強をしてやる気満々な一方、パパは理解を示しておらず「かわいそうじゃない?」と言ってしまう、というパターンですね。
泣かせるネントレだけでなくゆるいネントレもあるので、どんな方法が自分たちにとって良いのか、ぜひ一緒に考えてみてください。ネントレを始めるときは必ず家庭内で合意してから一緒に頑張っていきましょう。
おわりに
以上8つがネントレの失敗原因でした。
中でも見落としがちな「⑦ごめんねと言うこと」、最も多い失敗ポイント「⑧家庭内で合意できていない」には特に気をつけてください!
ネントレを頑張るのであればすんなり上手くいって、ネントレやってよかった!と思っていただきたいです。心配なことはぜひ専門家に確認しながら、自信を持って取り組んでください!応援しています。
▼YouTube動画でも詳しくお話しています。