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ゴールデンウィーク明けの「5月病」を防ぐ 生活リズムの戻し方

海原純子博士(医学)・心療内科医・産業医・昭和女子大学客員教授
写真はイメージです。(写真:イメージマート)

今年のゴールデンウィークは、3年ぶりに緊急事態宣言やまん延防止等重点措置のない大型連休になりました。平日を休みにして10連休という方も多かったようです。そこで気になるのは連休明けです。毎年連休明けには、体調を崩したり、気持ちが落ち込んだりといういわゆる5月病を起こす方が増えます。5月病は適応障害の一つと言えますが、今年は特に、行動制限がないなか久しぶりに旅行などで過ごした方も多いと思われ、仕事や勉強に戻る時の適応がうまくいくかどうかが心配です。対策を考えます。

連休明け不調の原因と対策

連休明けに不調を起こす要因は、生活リズムの乱れです。休みの間、夜遅くまで起きていて朝起きるのが遅くなることで生活リズムが後退しやすくなります。こうした状況からまた仕事に戻ろうとしても時差ボケのような状態に陥り胃腸障害や集中力低下などが起こりやすくなります。ですから生活リズムを素早く元に戻すことがポイントです。

対策1.起きる時間を決める

起床時間を普段どおりに戻すことが必要です。仕事や学校のある平日と同じにします。休み中も普段より2時間以上遅くならないようにすると生活リズムは乱れにくくなります。夜眠れないから朝起きられないという方は、まずは朝早く起きることを目指しましょう。朝に太陽の光を浴びることで脳の松果体から睡眠を導入するホルモンのメラトニンが放出され14~16時間後に自然に眠くなります。起きて太陽を浴びた時間に合わせて夜眠くなるのです。

対策2.散歩や運動で身体を動かす

昼間軽い運動をしたりストレッチをしたりすることで適度な疲労感が起こり夜の寝つきをよくすることができます。またリラックスすることで交感神経の緊張を緩め睡眠の質を改善できます。

対策3.昼間太陽の光を浴びる

太陽の光に含まれるバイオレットライトを浴びると網膜にあるオプシン5という受容体が活性化されますが、このオプシン5は脳機能に影響することが報告され、うつの予防などに効果がある可能性が示唆されています。また網膜のオプシン4という受容体は、太陽光に含まれるブルーライトに反応して概日リズムのコントロールに影響を与えています。朝起きたら窓を開けて陽の光を浴びる、昼間お天気がいい日は戸外を歩くなどが生活リズムのキープに役立ちます。

対策4.食事時間を一定にする

休み中は食事時間が不規則になりがちです。食事時間を決めていつも通りにすることで生活リズムが整いやすくなります。

今年の5月病のリスク

今年は3月の「まん延防止等重点措置」全面解除後、4月から様子を見つつリモートワークから出社に変わった職場も多く、出社に慣れないうちに連休入りした場合は適応障害が起こりやすくなります。

また新入社員は入社間もなく連休に入り、学生時代の外出自粛状態から解放されて間もないだけに適応が難しい場合が予想できます。

会社員以外でも年齢を問わず、久しぶりに家族で外出したり友人知人と会ったりと、自粛からの環境が変化し生活リズムが乱れた方も多いでしょう。

それぞれ対策をとって連休明けをぜひ乗り切ってほしいと思います。

博士(医学)・心療内科医・産業医・昭和女子大学客員教授

東京慈恵会医科大学卒業。同大講師を経て、1986年東京で日本初の女性クリニックを開設。2007年厚生労働省健康大使(~2017年)。2008-2010年、ハーバード大学大学院ヘルスコミュニケーション研究室客員研究員。日本医科大学医学教育センター特任教授(~2022年3月)。復興庁心の健康サポート事業統括責任者(~2014年)。被災地調査論文で2016年日本ストレス学会賞受賞。日本生活習慣病予防協会理事。日本ポジティブサイコロジー医学会理事。医学生時代父親の病気のため歌手活動で生活費を捻出しテレビドラマの主題歌など歌う。医師となり中止していたジャズライブを再開。

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