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自衛隊への好印象度は90.8%

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
自衛隊への国民の評価は(写真:イメージマート)

自衛隊に好印象を持つ人は約9割

内閣府が発表した自衛隊・防衛問題に関する定期世論調査(※)の結果報告書によると、自衛隊に対してよい印象を持つ人は90.8%に達することが分かった。年齢階層別ではおおよそ高齢層ほど、強い形での「よい印象」を持つ傾向が確認できる。

「全般的に見て」陸上・海上・航空すべてを合わせた自衛隊そのものに、回答者がよい印象を持っているか、それとも悪い印象を持っているかに関して、「よい」「どちらかといえばよい」(以上「よい派」)「分からない」「無回答」(意見留保派)「どちらかといえば悪い」「悪い」(以上「悪い派」)の5段階評価で尋ねたところ、全体では90.8%の人が「よい派」に該当する回答を示した。「悪い派」は5.0%にとどまっている。

↑ 自衛隊に対する印象(属性別)(2022年)
↑ 自衛隊に対する印象(属性別)(2022年)

男女別では男性の方が、年齢階層別ではおおよそ高年齢ほどよい印象を示している。年齢が上になるに連れて「悪い派」の値は減る傾向にあるが、その一方で「分からない・無回答」の回答が増えてくる。

この「よい派」「悪い派」の動向について、前回調査(2018年実施)の結果と比較し、「よい派」から「悪い派」をそのまま引いた値と、「分からない・無回答」の回答値それぞれについて、その変化を見たのが次のグラフ。「よい-悪い」の値がプラスならその属性は4年間で好印象派が増え、マイナスなら悪印象派が増えたことになる。「分からない・無回答」がプラスなら評価を留保する人が増え、マイナスならば自衛隊などに対する評価を固めた人が増えたことを意味する。ただし2018年時点の調査は調査員による個別面接聴取法で行われていたいたため、厳密な比較とはいえず、参考値レベルの精度となる。

↑ 自衛隊に対する印象(2018年→2022年の変移、属性別、ppt)
↑ 自衛隊に対する印象(2018年→2022年の変移、属性別、ppt)

全体的には「よい-悪い」はプラスに動き、「分からない・無回答」は減っており、意見を留保していた人が「よい派」にシフトした感はある。

他方20代では「よい-悪い」の値がプラスに、30代ではマイナスに大きく振れており、その振れ幅は「分からない・無回答」の減少幅を大きく超えている。それぞれ「よい派」「悪い派」の間で行き来があったようだ。この年齢階層で何があったのか、気になるところではあるのだが。

自衛隊への印象の経年推移は

男女別・年齢階層別で多少の差異はあれど、自衛隊への印象に関しては「よい派」が圧倒的なのがひと目で分かるが、これは経年推移の上でも特筆すべき傾向。「よい派」「悪い派」に単純化した上で、1969年以降の調査結果の推移をグラフ化したのが次の図。

↑ 自衛隊に対する印象
↑ 自衛隊に対する印象

「よい印象」がイレギュラー的に減り、「悪い印象」が増えた年を調べると、軍事関係で大きな歴史的出来事が起きているのが分かる。繰り返しテレビや新聞でそれらの事象が報じられ、多かれ少なかれ直接に関連する形で、あるいは文言では語られなくとも印象的に自衛隊との連動イメージ(概して悪い方)が刷り込まれ、結果として調査にも反映する面があったものと思われる(2009年の減少はリーマンショック直後であることから、景気悪化などから生じた社会体制への不満が飛び火したものと思われる)。

一方、最近の動きで目にとまる、2012年の調査結果における「よい印象」の大幅な上昇は、言うまでもなく東日本大震災における自衛隊の活躍によるところが大きい。無論縦横無尽の活動を行ったのは自衛隊だけでは無いのだが、今調査では自衛隊への印象のみを聞いており、このような結果が出て当然の話。

中長期的に見ると、自衛隊の印象は概してよい方向に移行する動きを示している。現状認識・認知がされて、浸透が進んできたということだろう。

今後は周辺情勢や国際的立ち位置を踏まえ、実績や意義、責務に見合うだけの環境整備が求められるのは言うまでもない。

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※自衛隊・防衛問題に関する定期世論調査

2022年11月17日から12月25日にかけて、層化二段無作為抽出法によって選ばれた18歳以上の日本国内に在住する日本国籍を持つ人に対し、郵送法で行われたもので、標本数は3000人、有効回答数は1602人。有効回答者の男女構成比は757対845。年齢階層別構成比は18~29歳が170人、30代が162人、40代が240人、50代が276人、60代が306人、70歳以上が448人。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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